以下、文:横田和彦/写真:関野 温
ホンダ「GB350 C」VS ロイヤルエンフィールド「クラシック350」|比較インプレ

Honda
GB350 C
総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:800mm
車両重量:186kg
税込価格:66万8800円

ROYAL ENFIELD
CLASSIC 350
総排気量:349cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:805mm
車両重量:195kg
税込価格:69万4100円~72万8200円

王道を行くクラシック350に寄せていったGB350C!
「アジア諸国はバイクブームに湧いている」。そんな話はよく聞くけど、実際どんな感じなのだろうか。現地へ行ったことがないので情報から推測するしかないが、ある資料によるとロイヤルエンフィールドの生産国であるインドで2023年に販売された二輪車は1700万台以上。
同じ年の日本での販売台数が40万5千台というからまさに桁違い。こりゃ日本のメーカーもそこで売れるバイクを目指して開発するわけだと納得する。そして現地で人気が高いロイヤルエンフィールドは約90万台生産しているというから驚き。1メーカーで日本全体の売上げの倍。インドがバイクブームというのは間違いなさそうだ。
ロイヤルエンフィールドの主力となる350ccモデルは、前述したようにバリエーションが豊富。その中から今回試乗したのはクラシック350だ。英国車の歴史をそのまま受け継いでいる、異国情緒あふれるスタイリングは、周囲の空気まで変えるほどの存在感がある。
この雰囲気に魅力を感じる人が多い。しかも見た目はレトロだが中身は現代。インジェクションを装備して高い始動性を持ちながら環境規制をクリアしているし、ヘッドライトには明るいLEDを採用するなど安心して乗れる構成だ。ロングストロークのエンジンはアイドリングで適度な鼓動感が伝わってきてレスポンスも穏やか。

CLASSIC 350
低〜中回転域のトルクが太いので、スタートで重量感ある車体をグイッと押し出してくれる。エンジンの回転フィーリングにはわずかにザラツキ感があり、それが良い意味でのハンドクラフト感につながっているように感じる。
実際に走ってみると車の流れにあわせて、ゆったり流すのが最高に気持ちイイ。アクセルオンで軽く路面を蹴りながら走る感覚は“鉄馬”という表現が似合う。普通二輪でこれが味わえるのがイイよね。高速道路では微振動を感じるけど、クルージングは問題なくできる。シートの座り心地も良いから長距離もこなせそうだ。
GB350Cに乗り換えて最初に感じたのは「寄せてきたな〜」ということ。それを外観や、GB350の標準モデルよりハンドリングがわずかにゆったりしているあたりから感じた。その大きな要因は鉄製の大きな外装部品が増えていること。

GB350 C
車体の中心から遠い所にある前後のディープフェンダーやサスペンションカバーが重たい鉄製になっていることが挙動に落ち着きが加わった理由だ。GB350のエンジンはロイヤルエンフィールドよりもロングストローク。さらに内部のフリクションロスが少ないので、低〜中回転域でのドコドコ感がよりクリアに伝わってくる。
またクランクの重量があるのでアクセル開度に対しての追従がわずかに遅れてくる感じだが、極低回転域でラフなアクセル操作をしてもエンストする気配を見せないのはスゴイ。技術レベルが高いことを感じさせる。その単気筒らしさをうまく演出したエンジンと独自のボディワークによって重量が増した車体との組み合わせが、クラシカルながら質の高さを感じさせる走行フィーリングにつながっている。
ただちょっと気になる点も。それは高速道路の合流などで、アクセル全開で加速していると高回転域で唐突に頭打ちになること。急に強いエンブレがかかるような特性に慣れないんだよねぇ。もう少し穏やかにならないかなって感じるシーンがあった。
英国で始まったロイヤルエンフィールドの歴史を継承し正常進化したクラシック350と、インド市場をターゲットに開発されたGB350をベースにクラシカル路線に振ったC。両車のフィーリングは似てはいるが同じではない。その違いはどこから出てくるのだろうか。それを追求するために、さらに走り込んだ。

GB350 C|峠道から高速道路まで、どんなシチュエーションでも抜群のスタビリティを見せる。誰にでもオススメできる乗り味だ!

CLASSIC 350|フロント19/リア18というホイールサイズもあって、ハンドリングは安定志向。バンク角は少なめなので、無理に寝かせて曲がるようなコーナーリングは向いていない。