文：宮崎敬一郎、オートバイ編集部／写真：南 孝幸
サクマエンジニアリング「CL250+ガンマ1800サイドカー」インプレ（宮崎敬一郎）
SAKUMA ENGINEERING
Honda CL250 + GANMA1800 SIDE CAR
総排気量：249cc
エンジン形式：水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高：790mm
税込価格：135万円（試乗車参考価格）
販売元：サクマエンジニアリング
サイドカーの醍醐味を軽二輪で気軽に楽しむ
サクマエンジニアリングの新作「ガンマ1800」は舟の全長1800mmと長めの軽二輪規格サイドカー。クラシカルな造形が特徴で、舟自体が低く長く、小柄なライダーなら足を伸ばしてくつろげるゆとりがある。乗車エリアの開口部も広く、軽二輪サイドカーにしては乗り降りが楽なのも魅力だ。
今回のパッケージは250にしては大柄なボディのホンダ・CL250との組み合わせ。もともとCLは決してパワフルではないし、減速比なども変えていないというのに、試乗してみるとライダーひとり＋パッセンジャーを乗せても意外に元気がいい。100km/hくらいまでの速度レンジならまわりのクルマをリードできるし、サイドカーの扱いに慣れたライダーが操ればかなりキビキビ走る。
ただ、軽二輪規格のサイドカーはトレッド幅が1300mm以内に限定されている。舟やフレームも軽くなるよう工夫されており、ウエイトまたはパッセンジャーを乗せていないと左コーナーでカーがリフトしてしまう。しかし、乗り手が体重移動して行なうバランス補正はかなりしやすい方だ。
また、CLの大きさが効いているのか、この組み合わせは加減速で過度に走行ラインが乱れない。サイドカーの舟というのは、言ってみれば車体の横に張り出たウエイトなワケで、母機が加速すればカー側に車体を持っていかれるし、エンブレを掛ければ舟とは逆の方向に曲がろうとする特性がある。乗り手はこれを利用して、左右のコーナリング操作のキッカケにするのだが、これが敏感すぎると、スロットルのオンオフのたびにそれを抑える必要があるのだ。
その点、このパッケージではそんなサイドカー独特のクセは驚くほど少なくマイルド。駆動力の強い1～3速で加減速しても走行ラインは安定していて、ちょっとハンドルを押さえれば真っ直ぐ走れてしまう。
また、サイドカーはそのマッチングによって舟とバイクの揺れが共振してハンドルを揺らすことが多々あり、それを抑えたり低減するために様々な細工をするのだが、このパッケージの場合、わざと荒れた路面でスロットルを開け閉めしたり、ギャップでフロントを弾いてみても共振振動は今回の試乗で一度も経験しなかった。
サイドカーはふつうのバイクとは異なる操縦テクニックが求められる乗り物で、クセもたくさんあったりするのだが、今回試乗したCLとガンマ1800の組み合わせは非常に取っ付きやすいパッケージになっている。
手頃な軽二輪サイドカーでありながら、サイズは十分大きい。パッセンジャーは舟で仮眠だって取れるだろうし、舟をカーゴキャリアと考えれば、豪華なキャンプ道具一式を余裕で運べる。
独特で乗りこなすための難易度は高いが、その分奥も深く、一度その魅力を味わってしまえば実に面白い。発想次第で色々な使い方ができるのもサイドカーの魅力だ。
