文:横田和彦、オートバイ編集部/写真:赤松 孝/車両協力:ホンダドリーム宇都宮
LEGARE「CB650R LS Sopra」インプレ(横田和彦)

LEGARE
Honda CB650R LS Sopra
総排気量:648cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:775mm
車両重量:205kg/207kg(Eクラッチ)
税込価格:132万6600円/138万1600円(Eクラッチ)
※試乗車はEクラッチモデル
足がしっかりつく安心感が生む余裕
憧れのバイクにまたがってみたら片足のつま先しか届かずテンションが下がった。そんな経験を持つ小柄なライダーも多いはず。僕も小柄で足が短いので気持ちはよく分かる。だが最近はパーツの交換や加工でローダウンし、憧れのバイクに乗るという手法が定着してきた。レガーレが手掛けたCB650R LS Sopraもそんな1台である。
ローダウンの手法は、リアサスペンションをナイトロン製の専用ショックに交換すると同時にフロントフォークを5ミリ突き出すというもの。聞けばセッティングと実走を何度も繰り返してたどりついたセットアップだという。以前乗ったレガーレのローダウンもかなり印象が良かったので期待が高まる。

車体を眺めると、少しリアが下がっているように見える。といっても極端なものではなく、言われてみればそうかな、という感じ。しかし、またがると足つき性が格段に向上していることが体感できる。CB650Rの場合、STDだと両足のつま先1/3が接地する程度だが、こちらはわずかにかかとが浮くくらい。片足ならベタ付きで、バランスが取りやすく安心できる。ただわずかだが、シートの後ろが下がっている印象は受けた。
実際に走らせると、ショート化されたリアサスの動きはSTDよりやや締まった印象だが、実走テストを繰り返してセッティングを煮詰めただけあって、市街地でのハンドリングはニュートラル。最初は段差で突き上げがあるのではと警戒したが、それほどでもない。ナイトロン製ショックの懐の深さを感じた。高速道路で直進性がやや高くなったように感じたのはリアが下がってキャスターが寝たためだろうか。しかし車線変更への影響はほぼない。このステージで感心したのは、路面のうねりに対してリアタイヤが常に接地しているように感じられたこと。路面追従性が向上している証拠だろう。ロスなくパワーが路面に伝わるフィーリングは気持ちがいい。

ワインディングでもその魅力は体感できた。バンクしながらコーナーの出口に向かってアクセルを開けていくと、リアタイヤにトラクションがキレイにかかるのだ。少し路面が荒れた場所でフロントが少しブレてもリアで収束するのは、リアショックユニット自体の作動性が良く減衰力設定が適切なため。リアが低くなっているにも関わらず切り返しがスムーズにこなせるのも、実走を重ねてセッティングを煮詰めた効果だろう。
ローダウンも手法によってはハンドリングに悪影響が出るものもある。実際に色々なローダウン車に乗って経験してきたことでもあるが、サスペンションユニットの交換は最適解のひとつではないかと思う。試乗車のCB650RはEクラッチ搭載ということもあって、これならビギナーにも人気が出そう。足つきが不安なライダーに、レガーレのCB650R LS Sopraは安心して薦めることができる。