バイクに乗る前に確認しておきたいことのひとつである「タイヤの空気圧」。なぜ空気圧を見ておくことが大切なのでしょうか? この記事では、タイヤの空気圧を適正値にしておくことの大切さと、測定方法・空気の入れ方をまとめて紹介します!
レポート:岩瀬孝昌

「タイヤの空気圧」をチェックする理由

画像: 「タイヤの空気圧」をチェックする理由

教習所やライディングスクール、二輪の安全運転講話などでも、バイクに乗る前のチェック項目として必ず挙げられる整備箇所のひとつが「タイヤ」。

異物が刺さっていないか、オイルなどが付着していないか、スリップサインやひび割れなどが起きていないか、など、タイヤそのものの状態を確認するのに加えて、忘れてほしくないのはタイヤの空気圧のチェックです。

ご存じのとおり、バイクは基本的に前後2つのタイヤ(※例外もあります)で走行するモビリティです。つまり、走行中に地面と設置している部分はタイヤだけですから、スムーズな走行のためにはタイヤの空気圧が適正値であることがキーとなるのです。

タイヤの空気は、たとえ乗らずに放置していたとしても、徐々に抜けていってしまうものです。安全にバイクに乗るためにも、できることならバイクに乗る前、最低でも月に1回は空気圧のチェックを心がけましょう。

Q.タイヤの空気圧が高すぎる、低すぎるとどうなるの?

画像1: タイヤの空気圧の測定方法と空気の入れ方を解説! バイクに乗る前にチェックを習慣化して乗り味・燃費・安全性もアップ【初心者向けバイク講座】

例えば、空気圧が規定値よりも高い場合、段差や路面の衝撃を吸収しにくくなるので乗り味が硬くなります。ギャップによる衝撃がダイレクトにライダーに伝わりやすくなり、加えてタイヤそのものへのダメージも大きくなります。摩耗しやすく、タイヤの寿命も短くなってしまうのです。

逆に空気圧が規定値よりも低い場合、タイヤが通常よりも大きくたわむことで「ころがり抵抗」(地面に押し付けられてたわんだタイヤが元に戻ろうとする力や、路面との摩擦による抵抗)が増え、結果的に燃費の悪化に繋がります。加えて走行時の安定感が失われ、ハンドリングも重く感じます。

さらに、本来想定された場所でないところに負荷がかかるので、タイヤの劣化も早くなります。変形量が大きくなりすぎるとタイヤが耐え切れず、走行中にバースト(破裂)するなんて危険性も。

タイヤの空気圧チェックを怠ると、快適性や経済性が損なわれてしまうのはもちろん、あわや大事故にもつながりかねません。

タイヤ空気圧のチェック方法を紹介

1.車種ごとの適正空気圧を確認する

今回はCL500を例として空気圧をチェックしていきます。

画像: ホンダ「CL500」

ホンダ「CL500」

タイヤの適正空気圧はそれぞれ車両によって異なります。もっと言えば、積載する荷物の量や、タンデムするか否かによってもそれぞれ適正値が異なるので、自身がどのようなスタイルでバイクに乗るのかを考慮した上で適当な値にあわせましょう。

その車種の規定空気圧は「コーションラベル」に記載されています。このラベルはチェーンカバーやスイングアームなどに貼られています。

画像: CL500のコーションラベル

CL500のコーションラベル

写真の赤い枠内をご覧ください。一番上と真ん中の行に書かれているのがCL500の適正空気圧で、一番下にはタイヤのサイズが記載されています。

一番上の行に書かれている空気圧の値はCL500の乗車定員である2名が乗ったとき、真ん中の()内の値はその記載の通り、1名で乗る場合に参照する値です。

この表記に従うと、例えば一人でツーリングに出かけるときは前輪が225kPa、後輪が250kPaが適正値となり、大きな荷物を積載する際やタンデム走行時には、前輪は250kPa、後輪は290kPaに合わせれば良いということになります。

1名乗車時とタンデム時とでタイヤの空気圧が異なるのは、1名乗車時に比べて2名の時の方がタイヤにかかる重さや圧力が大きいので、それに対応してタイヤの空気圧も高くしておく必要があるためです。

「タイヤの空気圧」の単位をおさらい

空気圧の単位はさまざまですが、国際単位となるのが「kPa(キロパスカル)」「kgf/cm²(キログラムフォース)」です。

国内メーカーのほとんどのモデルはこの表示に統一されています。そのほか「BAR」や「PSI」などもありますが、どれも同じ空気の圧力の単位です。

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2.実車の空気圧を確認する

タイヤの空気圧を計測するためには、専用の計測器である「エアゲージ」または「タイヤゲージ」を使います。

下のエアゲージは、空気を入れるためのコンプレッサーとセットになっているものですから、空気圧を図るのとあわせて空気を入れることができます。

画像1: 2.実車の空気圧を確認する

空気圧の測定、および空気の補充は、ホイールから突出した「エアバルブ」から行います。バイクを前後に動かしてバルブを触りやすい場所にくるよう調節したら、スタンドをかけます。

下の写真のように、金属のバルブにはキャップが付いていますので、まずはこれを取り外します。

画像3: タイヤの空気圧の測定方法と空気の入れ方を解説! バイクに乗る前にチェックを習慣化して乗り味・燃費・安全性もアップ【初心者向けバイク講座】

このとき、バルブキャップをなくしてしまう事故が多いです! あらかじめトレーなどを準備してキャップを入れておくのが良いでしょう。

画像4: タイヤの空気圧の測定方法と空気の入れ方を解説! バイクに乗る前にチェックを習慣化して乗り味・燃費・安全性もアップ【初心者向けバイク講座】

バルブのキャップを外したらエアゲージの先端をまっすぐ差し込みます。このとき、プシュー……という音が聞こえたら、バルブがしっかり差し込めておらず、空気が抜けてしまっている証拠です(逆に空気圧が高すぎたらこの方法で空気を抜きます!)。

そんな時は焦らず、位置を調整しつつ奥までぐっと差し込みましょう。しっかり差し込めると、音がしなくなるのとあわせて現時点での空気圧がエアゲージに表示されます。そのメモリを見て、必要であれば空気を補充しましょう。

画像2: 2.実車の空気圧を確認する

先に話した通り、エアゲージとコンプレッサーが一体になっているこのタイプでは、上の写真の状態のまま空気を入れることができます。

メモリの空気圧を見ながら規定値まで入れ、規定値に達したらエアゲージの先端を引っこ抜き、キャップを締めたら完了です。

ご自宅にエアゲージやコンプレッサーがない場合、近くのガソリンスタンドに行けばエアゲージつきのコンプレッサーを使わせてもらえることが多いです。ほかにも、バイク屋や洗車場、二輪用品店などにも置いてあることがあります。

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画像5: タイヤの空気圧の測定方法と空気の入れ方を解説! バイクに乗る前にチェックを習慣化して乗り味・燃費・安全性もアップ【初心者向けバイク講座】

自宅にコンプレッサーはないし、出先でいちいちガソリンスタンドを探すのも大変……。そんな方におすすめのアイテムがポケッタブルな電動エアコンプレッサーです。

空気圧をあらかじめ指定してエアバルブと繋げると、指定の値まで空気を自動で入れてくれる優れモノで、片手で持てるほどの大きさなので持ち運びにも便利です。

ここまで、タイヤの空気圧の図り方、空気の入れ方について紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

先にも書きましたが、タイヤの空気圧が適正でないと、本来の乗り味や安全性を維持・発揮できないほか、お財布にも優しくありません。

安全に、楽しくバイクライフを送るために必要なメンテナンスですから、少なくとも月に1度はタイヤの空気圧を確認してみてくださいね!

まとめ:岩瀬孝昌

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