2017年に登場したスズキの150ccネイキッドバイク『ジクサー』。2020年に仕様変更される前のモデルは中古でリーズナブルな手の届きやすいモデルだけど、バイクの楽しさを体験するにはぴったりなバイク!

<試乗インプレ>SUZUKI GIXXER(2017年)

SUZUKI GIXXER(2017)

画像: <試乗インプレ>SUZUKI GIXXER(2017年)

文:太田安治
※この記事は2017年3月4日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。

ライトスポーツの楽しさを理屈抜きに味わえる1台

オートバイの魅力は、生身の体では不可能な速度や移動距離の実現と、意のままに機械を操る面白さにあると僕は思う。それが手軽に手に入ればライダーの数は確実に増える。だからジクサーの登場は嬉しい。マニュアルシフトを操り、パワーを引き出して走る醍醐味が税別30万円以下で手に入るからだ。

ジクサーは軽二輪区分の排気量だが、サイズはかつての125ccロードスポーツと大差なく、ビギナーでも身構えずに扱える車格。ストリートファイター系の精悍なルックスで、価格から想像するチープさもなく、所有感も満たしてくれる。

画像1: ライトスポーツの楽しさを理屈抜きに味わえる1台

スペックで特出した部分はないし、斬新なメカや装備もないが、ジクサーは乗ると純粋に楽しい。50ccなどの小型モデルでオートバイの魅力を知ったライダーなら、この「理屈抜きの楽しさ」がよく分かるだろう。

楽しさの理由は第一にエンジン特性。ボア56.0mm×ストローク62.9mmというロングストローク設定が低中回転域での粘り強さを生み、市街地での扱いやすさは言うことなし。ゼロ発進も坂道発進も力強く、6000回転程度でシフトアップすれば交通の流れを楽々とリードできる。

高回転まで引っ張ってもロングストロークにありがちな重ったるさはなく、レブリミットの1万回転超まで振動もノイズも増すことなく、スムーズに回る。メリハリの効いた特性ではないが、軽やかな吹け上りはスポーツ心を刺激し、タコメーターを見ながらシフトチェンジを決める面白さも味わえる。小気味よい反応が楽しいのだ。

画像2: ライトスポーツの楽しさを理屈抜きに味わえる1台

第二の理由は剛性感と乗り心地が高レベルでバランスしている操縦性。強引な切り返しや深くバンクさせたままのブレーキングでも車体がよじれるような挙動は出ず、タイヤのグリップ状態も伝わってくる。

これは太いフロントフォークの剛性と幅広のタイヤ、前後サス設定のバランスが見事に取れているから。乗り心地も上々で、余裕あるポジションとあわせ、体への負担は少ない。オーナーは「市街地の足だけではもったいない。ツーリングに行こう!」という気になることだろう。

ジクサーの魅力を語る上で、重箱の隅をつつくようなインプレは不要だ。フルサイズの足回りとマニュアルミッションの組み合わせには、ミニバイクやスクーターとは全く違う楽しさがあることを知ってほしい。僕の子供が普通二輪免許を取ったら勧める、というより買わせたくなる一台だ。

文:太田安治
webオートバイ編集部
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