2027年から3カテゴリー全てでピレリタイヤがサポート
第2戦終了後の3月6日、最高峰クラスとFIM Enel MotoE World Championship(MotoE)のタイヤサプライヤーを務めるミシュランが、2026年限りで撤退することが発表。併せて、2027年シーズンからピレリが同カテゴリーのタイヤサプライヤーを務めることが決定した。
2016年からMotoGPクラスのタイヤサプライヤーを務めていたミシュラン。これまで契約を延長し、最高峰クラスの足元を支えてきたが、2026年シーズンをもってサポートを終了する。
ピレリは2027年から2031年までの5年間と新たな契約を締結し、MotoGPクラスおよびMotoEにタイヤを供給することが発表された。
つまり、ピレリはMotoGPで開催される全てのカテゴリーでタイヤサプライヤーを務めることになる。
2027年といえば、排気量が1000ccから850ccに変更されるなど大きな変化のある年でもある。ミシュランもこの変革に備え、タイヤの開発をおこなっていたようだ。
しかしながら、MotoGPのプロモーターであるドルナスポーツは、ひとつのタイヤサプライヤーが選手権全てを支えることを望んでおり、ミシュランはカテゴリーを拡大する意志はないことからこのような結論に至ったという。
大きな変化となる2027年シーズンは、現在の勢力図を塗り替えるかもしれない。
マルク・マルケスが「庭」であるCOTAでスプリント優勝!

COTA名物の急勾配を上りターン1に侵入していくMotoGPマシン。
土曜日に行われた予選では大方の予想通りマルク・マルケスがポールポジションを獲得。これまで弟のアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が続いていたが、今回マルケス兄弟に割って入ったのがファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)だ。
ドゥカティの最新型マシンがフロントローを占める中、不調が続くフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は6番グリッドからのスタート。チームの母国GPとなる小椋藍(Trackhouse MotoGP Racing)は予選で18番グリッドと低迷、レースでの巻き返しを図る。
同じく土曜日に行われたスプリントは気温28度、路面温度46度のドライコンディションとなった。
10周のスプリントは6番グリッドスタートのバニャイアが好スタートを決め、一気にトップに浮上。しかし、マルク・マルケスがすぐに首位の座を奪いかえした。

抜群のスタートを決めたバニャイアがターン1でトップに浮上。
トップグループはマルク・マルケス、アレックス・マルケス、バニャイアのオーダーに。これまで他車との駆け引きを行うことが多かったマルク・マルケスだったが、今回は序盤から2位以下を引き離しにかかる。
その後方ではこちらもスタートを決めたファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)、フランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)、ディ・ジャナントニオらが4位集団を形成しバトルを展開。この結果、トップ3台が抜け出す格好となった。
その中でもトップのマルク・マルケスがトップ集団から抜け出し独走体制に。アレックス・マルケスがなんとか喰らいつくも、バニャイアは離されてしまった。
マルク・マルケスは弟のアレックスとのギャップをコントロールし余裕を持ってフィニッシュ。スプリントレースで開幕3連勝を達成した。
2位はアレックス・マルケス。開幕戦で兄弟ワンツーフィニッシュという快挙を挙げたマルケス兄弟だったが、早くも3度目の達成となった。

マルケス兄弟の強さが際立つ中、復調の兆しを見せたバニャイア。
バニャイアは3位に終わったが、これまでの2戦に比べ見せ場を作っており、決勝での巻き返しに期待がかかる。
18番グリッドからスタートした小椋は、スプリントにも関わらずポジションを大幅にあげ9位でフィニッシュ。チームの地元で印象的な走りを見せ、見事ポイントを獲得してみせた。
バニャイアが今季初優勝! マルク・マルケスがまさかの転倒リタイア
決勝日は、直前に行われたMoto2クラスの決勝でウエットコンディションとなり、MotoGPクラスの決勝レース前も弱い雨が降っている状況に。レース前にウエット宣言となった。
フラッグトゥフラッグのマシン乗り換えも許可される中、各車はグリッド上でタイヤ交換を敢行。大半のライダーがレインタイヤを選ぶ中、小椋、ブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)、そしてエネア・バスティアニーニ(Red Bull KTM Tech3)の3名は、スリックタイヤのままスタートすることを選択した。

小雨が降る中スタートした決勝レース。
気温22度、路面温度28度のウェットコンディションの中、19周の決勝レースがスタート。ポールポジションのマルク・マルケスがトップのままターン1をクリアし、アレックス・マルケス、バニャイア、ディ・ジャナントニオが続く。
トップのマルク・マルケスが逃げにかかる中、2位のアレックス・マルケスと3位のバニャイアが接近戦を演じていく。
アレックス・マルケスがバニャイアの攻めを防いでいたが、4周目のターン1でバニャイアがオーバーテイクに成功し2位に浮上した。
先頭のマルク・マルケスはこれに反応したのかペースを上げ、バニャイアの接近を許さない。両者の差は2秒にまで拡大した。
8周目、8位のペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)がターン1で転倒。そして9周目のターン4でトップのマルク・マルケスもまさかの転倒を喫してしまった。
マルク・マルケスはすぐにコースに復帰するも、転倒の際に右のステップとリアブレーキペダルが損傷しており、13周目にピットに戻りリタイア。今季初のノーポイントに終わり、開幕からの連勝がストップした。
難しいコンディションの中、その後も転倒者が続出。ヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)やフェルミン・アルデゲル(Gresini Racing MotoGP)もウェット路面の餌食となった。

好調のアレックス・マルケスを寄せ付けない走りを見せたバニャイア。
マルク・マルケスの転倒でトップに立ったバニャイアは、2位のアレックス・マルケスに2秒差をつけレースを支配。トップチェッカーを受け、念願の今季初優勝となった。
2位はアレックス・マルケスが入り、3戦連続ポディウムフィニッシュを達成。兄マルクのリタイアもあり、ランキング首位に躍り出た。3位はディ・ジャナントニオが入っている。
小椋は難しいコンディションの中、しっかりと走り切り、スプリント同様9位でフィニッシュ。貴重なポイントを獲得している。
次戦は例年開幕戦の舞台であり、シーズン唯一のナイトレースでお馴染みのカタールGP。1kmのロングストレートが特徴のサーキットで、これまで通りドゥカティ勢の優位は続くことが予想される。
しかし、マルク・マルケスの連勝がついに止まった。バニャイアやアレックスの逆襲があるのか、はたまたマルク・マルケスの強さが際立つのか、注目のレースとなる。4月11日から13日にかけて開催予定だ。
2025 MotoGP 第3戦アメリカズGP 決勝結果

ドゥカティ勢の表彰台独占は変わらずも、開幕2戦とは違ったメンツとなったアメリカズGP。

レポート:河村大志