入場無料の公開事前テストです
スケジュールの関係で、4月中旬と開幕が遅くなった全日本ロードレース。そのレースロスをなくすためか、今シーズンは、新しく「プレテスト ラウンドZERO」というイベントが4/9~10の2日間にモビリティリゾートもてぎ(MRもてぎ)で行なわれます。イベントとはいえ、チームやライダーにとっては、レースに向けてのいつもの事前テスト。このテストを公開して、観戦を無料にしようという新しいトライなのです。
このイベントの観戦は無料で、MRもてぎ観戦席とパドックエリアへの入場も無料ですが、入場料と駐車料金がかかります。2日間ともお昼にピットウォークが開催され、これも無料。ちなみに、4月19-20日の開幕戦「もてぎ2&4レース」の前売り観戦券をお持ちの方は、「プレテスト ラウンドZERO」への入場料&駐車料金は無料になります!
走行スケジュールは下の表のとおり。J-GP3/JSB1000/ST1000/ST600の順で、初日の午前→午後、2日目の午前→午後と各クラス4回の走行があります。この間、ファンのみんながどの時間帯からパドックに入れるのか不明ですが、おそらく朝イチからパドック立ち入りフリーのはず。
さらに両日とも12時過ぎから13時過ぎまで、ピットウォークと各クラス集合写真撮影の時間帯があります。この集合写真の撮影風景もファンのみんな、見られちゃうんですね。なんてことないふうけいだけど、リラックスした選手たちの様子を見られるのがいいかもしれませんね。

実際にお客さんが入場できるのは4/9(水曜)と4/10(木曜)です
そして、この「Round-ZERO」へのJSB1000クラスの参加ライダーが事前に発表されました。これ、ちょっとところどころサプライズがあって、ちょっと面白そうじゃない?って感じなのです。まぁ、まずは下のRound-ZERO参加リストをどーぞ。

どこまでテストでどこまで競争心を出すのか!2日目午後にありそうなタイムアタックに注目!
ビッグニュースはTeamSUZUKIの参加でしょう。ご存知の通り、東京モーターサイクルショーでTeamSUZUKI CNチャレンジの2025年鈴鹿8耐への継続参戦が発表されましたが、このテストに、という計画なのか、津田拓也を擁しての「Round-ZERO」への参加が決まったようです。
TeamSUZUKIがこのまま全日本ロードレースに参加する可能性はないようですが、少なくとも開幕戦への出場の可能性はあります。Teamスズキとしても鈴鹿8耐に向けて単独でテストするより、まわりのライダーとの比較もできる合同テストに参加したかったのだと思います。

TeamSUZUKIのCNチャレンジは2年目へ。写真のマシンも25年モデル、ウィングレットがデカいです
ふたつめのサプライズはTeamHRCも、このRound-ZEROに参加すること。ライダーは高橋巧で、実は高橋は、今シーズン全日本ロードレースのエントリーリストに名前がありません。つまり、おそらくHRCのテストに専念するということで全日本ロードレースには参戦しない予定のようですが、その高橋が開幕戦に「TeamHRC」として参加するのがビッグニュースなのです。
もちろん、HRCと高橋も鈴鹿8耐へ向けてのテストなんですが、高橋の全日本ロードレース参戦もこの開幕戦だけで、第2戦・菅生大会への参戦はなさそう。これは、菅生大会の翌日に鈴鹿でのテストが予定されているためで、チームが菅生→鈴鹿の即日移動ができないため、チームは鈴鹿テストに専念、高橋のTeamHRCからの菅生大会への参加もないようです。

昨年の鈴鹿8耐での高橋巧 ホンダCBRは、今年のWSBKで明らかに戦力アップしています!
さらに鈴鹿8耐へのカムバック参戦が発表されたヤマハレーシングチームも、このRound-ZEROに参加。全日本ロードレースへのテストなのはもちろん、中須賀克行による鈴鹿8耐仕様マシンでの走行もあるはず。あとは、全日本ロードレースへの参戦が2年目となるDUCATI TEAM KAGAYAMAも、昨年惜しくも獲り逃がした表彰台、そしてDUCATI悲願の鈴鹿8耐優勝のためのテストも行なうはず。
つまり、ホンダ、ヤマハ、スズキの3大ワークスチーム、そしてDUCATI TEAM KAGAYAMAによるドゥカティのワークスマシンも含め、4台のワークスマシン、さらにオートレース宇部のワークスマシンスペックのBMW M1000RRも含めると、5台のワークスマシンが参戦するテストとなるのです! うわぁ、これでBbKRT(=ビモータbyカワサキレーシングチーム カワサキ+ビモータのワールドスーパーバイクチーム)まで鈴鹿8耐参戦を考えてくれたらスゴいのになぁ!と思ってしまうのであります。

このTestZEROでは、上のカラーリングのマシンが走るのか、それとも…

こっちのカラーリングが走るんでしょうか
それにしても、この顔ぶれの豪華さは、実はTEAM KAGAYAMAの加賀山就臣監督のおかげもあると思うのです。加賀山はちょうど1年前ごろ、自らドゥカティワークスマシンを全日本ロードレースに引っ張り出したことで、日本のワークスチームの参加を呼び掛けたことがあります。
「うちのチームがドゥカティで勝っちゃったら、ホンダ、スズキ、カワサキは悔しくないのかな。ホンダは8耐で使うワークスマシンがあるでしょ? スズキだってヨシムラがワークスマシン同等だし、カワサキはワールドスーパーバイクにワークスマシン持ってるじゃない? 『出てこいHRC!』って書いといてね」(加賀山)
もちろん、すべてが加賀山のおかげじゃないとは思います。でも、ほんのちょっとでも「加賀山にあんなこと言われるならヨーシ!」って気持ちがあったらイイですね。そうじゃなきゃ、日本のレースが盛り上がることなんてないもの。その意味で、ヤマハはずっとワークスチームで全日本ロードレースに参戦していて、本当に頭が下がります! だからヤマハは常勝チームでいられるし、それに対抗してワークスチーム編成をしない他メーカーは「負けて悔しくないってことだね」と思われてもしょうがないんであります。

文字通り旋風を巻き起こしたDUCATI TEAM KAGAYAMA。昨年はパニガーレで初めてだらけのサーキット。でも今年はすべて経験済み--勝ち数もグッと増えるかもしれません

スペインスーパーバイク帰りの浦本修充がM1000RRをライディング このマシン、エンジンはワークスマシンスペックなんです!
しかし、こんな面白そうなイベントなのに、全日本ロードレースのファンサイトはサラリとした告知だけで、さっぱり盛り上げようという気概が感じられません。2025年シーズンへの盛り上げもないし、レース人気を上げなきゃいけない、ってスタートしたファンサイトがこれではねぇ。
こういうところですよ!レース人気が盛り上がらないのは!
写真・文責/中村浩史