まるで「下町ロケット」レーシングチーム!

全日本ロードレース・JSB1000クラスに、またひとつ楽しみなチームが誕生しました。それが、岡谷雄太が自ら立ち上げた新しいレーシングチーム「HICityレーシングaprilia」=エイチアイシティ・レーシング・アプリリアです。
岡谷雄太は、ここレーシングオートバイで紹介したこともある、日本人で初めてのワールドスーパースポーツ300(=WSS300)のエントラントであり、日本人として初めてWSS300でポールポジションを獲り、日本人初ウィナーとなったライダー。全日本選手権には、J-GP3クラスに参戦していた2018年以来の参戦となります。

その岡谷、東京都は大田区の出身、今も大田区在住のライダー。2025年に新チームを結成するにあたり、地元・羽田のバックアップを取り付けて発進するのです。
大田区・羽田エリアと言えば、日本屈指の「まち工場」エリア。かつては「工場」の数が東京ナンバー1になり、金属加工、樹脂成型や、切削、穴あけや研磨、めっきや鋳造などのクラフトマンが住む町で、池井戸潤さん原作の「下町ロケット」のモデルになった町でもありますね。

画像: 17歳で全日本J-GP3クラスデビューウィンの鮮烈デビューを果たして7年 岡谷も25歳になりました

17歳で全日本J-GP3クラスデビューウィンの鮮烈デビューを果たして7年 岡谷も25歳になりました

「きっかけは、もちろん大田区が僕の地元ってことで、友人や知人が多く、その中に商工会議所青年部や、羽田イノベーションシティでお仕事されている方がいたり、というところでした。そこで、みんなの輪の中に入って行って、最初は食事会や飲み会といった席だったんですが『おー、大田区にバイクのレーサーがいるのかー!』とか認識してもらったのが始まりです」と岡谷。

大田区のまち工場というのは、職人さんが4~5人なんて規模の工場でも、1ミクロン(0.001mmですね)単位の金属加工ができたり、人工衛星や航空機、ジェットエンジンの部品を作っていたりする、スゴいところ。日本の宇宙開発プロジェクトに名前が入っていたりするのも「下町ロケット」で見ましたよね。あれはTVドラマだけれど、佃製作所のバルブシステムを帝国重工が欲しがったりと、『巨大企業ができないことを下町のまち工場がやってのける』っていうのは、実際にあることなんだそうです。

その大田区に生まれ、育った岡谷が思ったのは、こんなスゴい技術を世界中のみんなは知ってんのかなぁ、ってことだったそうです。たとえば、大田区のまち工場で作ったパーツをレーシングマシンに使ってみたら、アピールできるんじゃないかな――食事会でそんなことを漏らしたところ、そういう活動をぜひやっていきたい、と話が進んだのだといいます。

その先頭に立つのは、羽田に2023年にできた「羽田イノベーションシティ」。羽田空港そばにある、研究開発施設や先端医療センター、観光体験施設を伴なうスマートシティ。なんかホラ、ロボットオンリーでオペレーションするカフェが話題になったところ! そこに、大田区の、日本の先端技術が集結しているんです。

画像: 発表会の会場は羽田イノベーションシティ ごらんのように地元のビジネスマンが会場に詰め掛け、僕らバイク関連はごく少数でした! こういう発表会も珍しい!

発表会の会場は羽田イノベーションシティ ごらんのように地元のビジネスマンが会場に詰め掛け、僕らバイク関連はごく少数でした! こういう発表会も珍しい!

こうして、2025年のレース活動をするにあたり、岡谷は「羽田イノベーションシティ」のサポートを得て発進することになりました。これまでのレーシングチームとスポンサーのような関係性ともちょっと違って、羽田エリアを中心とした大田区の町おこしも考えながら、地域のバックアップを受けてのレース活動になります。

「いずれは、レーシングマシンのパーツを大田区メイドにしてみたいし、すでにいくつかのパーツを作ってもらう話も進んでいます。大田区のまち工場って、金属加工とか樹脂成型が得意な小規模工場が多いんですけど、たとえばそういうまち工場が航空機のカーボンボディを作っていたり、数立方メートル単位の巨大アルミブロックからマシニング削り出しをしたりと、モータースポーツにすぐに関係できるような技術がたくさんある。僕はその技術をレースに使いたいし、それが広がればうれしい、そして大田区の金属加工、樹脂成型がレース界をきっかけに、もっと一般の目に触れたらいいなぁ、と思うんです。そういうプロモーションができたら、大田区への恩返しにもなるし」

そして、岡谷がレース機材として選んだのが、アプリリアRSV-4 1100ファクトリー。もちろん、ホンダやヤマハ、スズキやカワサキのマシンも考慮したそうですが、そこに岡谷の将来を考えて、あえてアプリリアを選んだ、ということです。
「国産のマシンを使うとしたら、雄太ならすぐにいいセンまで走れるようになって、そこから先に行くのが難しい。ご存知のように、トップチームしか使えないパーツ、メーカーに認められたチームじゃなきゃできない体制ってものがあるから、そういったしがらみがない、パフォーマンスで勝負できるアプリリアで行こう、となったんです。僕も数年前にこのマシンでレースをしていて、未完だけれど、速く走れるヒントをたくさん持っているつもりなので、それを雄太に実現してもらいたいと思っているんです」というのは、エグケンガレージを主宰する江口謙。岡谷とともにHICityレーシングの運営をする、チームの軸となるようです。
江口は2022年まで、今シーズンもアプリリアでST1000クラスに参戦する「チームTATARA」からアプリリアで全日本ロードレースに参戦。「あ、こうやれば速く走れる!」ってヒントを得て、実際にタイムをグンと伸ばしたのが最終戦だったと。それをずっとモヤモヤとして抱えていたんだそうです。

画像: まるで「下町ロケット」レーシングチーム!
画像: 会場となったイノベーションシティ・ターミナルZEROでのapriliaRSV-4 カッコいい!

会場となったイノベーションシティ・ターミナルZEROでのapriliaRSV-4 カッコいい!

こうして、日本人初のWSS300ライダー岡谷雄太+大田区羽田エリアの技術力+ポテンシャルの伸びしろが大きいアプリリアRSV-4の組み合わせで「HICityレーシングアプリリア」が船出にこぎつけました。もちろん、まだまだどうなるかわからない、岡谷も日本最高峰のJSB1000クラスの、どのくらいの位置を走れるかも未知数です。
それでも、ひとつのまちからバックアップを受けたレーシングチームというのは珍しいし、なによりイノベーションシティの皆さんからしてみれば、岡谷は「大田区発の、大田区初のレーシングチーム」をスタートさせたのですから、今までにない、新しい形のレーシングチームなのです。

HICityレーシングは、全日本ロードレースにフル参戦、鈴鹿8耐にも「エクスペリメンタルクラス」に参戦する方向で動いているようです。エクスペリメンタルクラスっていうのが、HICityレーシングらしいところですね。全身フルカーボン、アルミ削りバリバリのMotoGPマシンみたいなアプリリアで、カーボンニュートラル燃料とかで出場してくれると楽しいのになぁ♪
「僕自身も、全日本ロードレースで勝ちたいとかチャンピオンになりたいという気持ちはもちろんありますが、それより世界選手権のレースに、大田区で作ったオリジナルフレームで参戦したい、という究極の夢があるんです。オリジナルフレーム使えるスペインのジュニアGPとかにマシンを作って、僕は(小椋)藍がワールドチャンピオンになったMoto2を大田区生まれのマシンで走りたい」

画像: まだシェイクダウンで数時間しか乗っていないマシン「まだペースは上げていませんけど、乗っていてすごい楽しかった! あれ?レーシングマシンってこんなに?ってびっくりしました」と岡谷

まだシェイクダウンで数時間しか乗っていないマシン「まだペースは上げていませんけど、乗っていてすごい楽しかった! あれ?レーシングマシンってこんなに?ってびっくりしました」と岡谷

実は、同世代の岡谷と小椋は中学生時代くらいからのバチバチのライバルで、今ではアライヘルメット+クシタニのレーシングスーツを使用することで、何かと顔を合わせることが多く、仲がいい友人。岡谷は、小椋のワールドチャンピオン獲得を自分のことのように喜ぶ半面、ライダーとして先を行かれたことが悔しくてしょうがない--小椋がチャンピオンを決めた2024年のタイGPを、いまだに見ていないそうなんです。

画像: チームは最小限の人数でスタート。右から2番目に江口がいます

チームは最小限の人数でスタート。右から2番目に江口がいます 

まずは4月19-20日に行なわれる「全日本ロードレース開幕戦」もてぎ2&4レースに注目。きっと観客席に、ほかのレースファンとはちょっと毛色の違った、イノベーションシティのみなさんも観戦、応援に来てくれていることでしょう。

画像: HICityレーシングを立ち上げと同時に「岡谷雄太ファンクラブ」も始動 詳細はhttps://rocuichi61.bitfan.idへ

HICityレーシングを立ち上げと同時に「岡谷雄太ファンクラブ」も始動 詳細はhttps://rocuichi61.bitfan.id

写真提供/HICityレーシングaprilia 写真・文責/中村浩史

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