ゼッケン1が復帰! ホルへ・マルティンがカタールで出走
シーズン前のテスト、そしてリバビリでの転倒により開幕戦から欠場が続いていたホルヘ・マルティン(Aprilia Racing)が復帰するとアプリリア・レーシングがレースウィークに発表。メディカルチェックもクリアし、いよいよ前年王者が選手権に帰ってくることが決定した。
右手の第5中手骨頭の骨折と左足の第3、第4、第5中足骨、左手の橈骨、舟状骨、三角骨、そして右の踵も骨折と満身創痍であったマルティン。手術後はリバビリに励み、開幕3戦を欠場していた。
マルティンの体力面が100%に戻っていないことはあきらか。さらに今季からアプリリアへのスイッチということもあり、難しい週末になることはいうまでもない。
完走できれば「勝利」という本人のコメントにもあるように、MotoGPマシンを操る体力を戻し、アプリリアに順応することが最大のターゲットである。
M.マルケスがスプリント4連勝でランキング首位に
スプリントの前に行われた予選では、マルク・マルケスが新コースレコードを樹立。開幕から4戦連続でポールポジションを獲得した。2番グリッドにはアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)、そしてファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)が今季最高位となる3番グリッドを獲得してみせた。
レース前に、ジョアン・ミル(Honda HRC Castrol)が体調不良を理由にスプリントを欠場することがチームから発表された。これは、日曜日の決勝レースに出場するための決断とのことだ。
ナイトレースで行なわれるカタールGP。気温29度、路面温度33度のドライコンディションのなか、11周のスプリントがスタートした。

スタートを決めたマルク・マルケスがホールショットを奪う。
マルク・マルケスがホールショットを奪い、アレックス・マルケスとクアルタラロが続く。兄を逃したくないアレックス・マルケスは、2周目のターン1で仕掛けるも抜くまでには至らず。マルク・マルケスがトップの座を守っている。
予選で見事な走りを見せ、3番グリッドを獲得したクアルタラロ。しかし、スプリントではフランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)に先行され、4位での走行となる。

初日から好調のモルビデリはクアルタラロとバトル。
チームメイトのマルク・マルケスが先頭を走るなか、フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は予選から不調であり、11番グリッドからスタートし8位争いに巻き込まれる。
その集団では10番グリッドからスタートした小椋藍(Trackhouse MotoGP Racing)が躍動。ペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)やマーベリック・ビニャーレス(Red Bull KTM Tech3)といった実力派を相手にバトルを演じていく。
今回もマルケス兄弟の優勝争いになるかと思われたが、マルク・マルケスが徐々に弟とのギャップをひろげにかかり、バトルにはならず。
最終的には1.5秒ほどの差をつけての優勝となった。これでスプリントで4連勝となったマルク・マルケスが再びランキングトップに返り咲いている。
2位はアレックス・マルケス、3位にはクアルタラロとフェルミン・アルデゲル(Gresini Racing MotoGP)の猛攻を防いだモルビデリが獲得している。
小椋はバニャイアやアコスタ、ビニャーレスの前でフィニッシュし7位入賞。力強い走りで3ポイントを獲得した。バニャイアはなんとか8位、復帰戦のマルティンは16位で完走している。

ドゥカティの異なる3チームがトップ3を占めたスプリント。
マルク・マルケスが優勝、ビニャーレスが2位も内圧違反で14位に降格

シーズン唯一のナイトレースであるカタールGP。
気温27度、路面温度32度のドライコンディションのなか、22周で争われる決勝がスタート。
ポールシッターのマルク・マルケスがホールショットを奪うも、ターン1で挙動を乱し、アレックス・マルケスと軽く接触。この接触により、マルク・マルケスのリア周りのエアロパーツが破損してしまう事態となった。
このマルケス兄弟の接触の間にトップに出たのがモルビデリ。以下、マルク・マルケス、アレックス・マルケス、ファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)、ビニャーレス、そして11番グリッドからスタートしたバニャイアがスタートを決め6位までポジションを上げている。
4周目、3位争いを行っていたディ・ジャナントニオとアレックス・マルケスがターン12で接触。両者ポジションを大きく落としてしまい、接触の原因となったアレックス・マルケスにはロングラップペナルティが科されている。
この2台の後退もあり、バニャイアは一気に3位に浮上。5周目のホームストレートではチームメイトのマルク・マルケスを抜き2位にあがり、トップのモルビデリとのギャップを詰めていく。
しかし、マルク・マルケスも黙ってはいない。7周目のホームストレートでバニャイアを抜き返し2位に返り咲く。その背後にはビニャーレスが迫る。
ビニャーレスは最終コーナーの飛び込みでバニャイアをパスし3位に浮上。さらに10周目のターン1でマルク・マルケスをオーバーテイクしてみせたのだ。
勢いの止まらないビニャーレスは翌周にモルビデリを抜きついにトップに立つ。マルク・マルケス、バニャイアもモルビデリを攻略しビニャーレスを追う。
ビニャーレスとマルク・マルケスのトップ争いは16周目に動きが。ターン6でクリップを外したビニャーレスのインをついたマルク・マルケスがトップに浮上。そこからはペースをあげ2位以下に対しギャップを拡げていく。
最終的に1.5秒差をつけたマルク・マルケスがトップチェッカーを受け今季3勝目。2位にはビニャーレスが入り、KTM移籍わずか4戦目で表彰台を獲得する快挙となった。しかしレース後、ビニャーレスにはタイヤの内圧違反が見つかり16秒のペナルティが加算。14位に降格となった。
11番グリッドスタートながらもバニャイアが3位でフィニッシュ。ビニャーレスの裁定もあり、最終結果は2位となった。小椋はトップ10を争うも、最終的に15位でゴールし、1ポイントを獲得している。

苦手なサーキットでの優勝にご満悦のマルク・マルケス。
次戦は4月25日から27日にかけて行われるスペインGP。いよいよヨーロッパラウンドが開幕する。多くのライダーにとって母国戦となる舞台はヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトだ。
マルク・マルケスがシーズンを席巻している今年。マルケスにとっても母国戦となるスペインGPで彼の勢いを止める存在が現れるのか、それともマルケスの連勝街道が始まるのか。ヨーロッパラウンドの初戦も見逃せない。
2025 MotoGP 第4戦カタールGP 決勝結果

レポート:河村大志