スタイルも走りも際立つ文句なしに楽しい1台!
「KTM、やるなあ!」思わず声に出た。ひたすら速いとか、とにかく快適というモデルは珍しくないが、乗っているだけでワクワクするオートバイは久しぶり。今回は峠道中心の試乗だったが、時間が許せば一日中走り回っていたいと思った。
新型390DUKEが楽しい理由はいくつもあるが、核となるのは軽量な車体と元気いっぱいのエンジン特性だ。125、250と基本的に共通のコンパクトでスリムな車体は装備重量で160㎏程度と軽いうえに44馬力のエンジンだから、動力性能の高さは推して知るべし。単にパワー・ウエイトレシオが小さいだけではなく、「ファンライド」というフレーズがピッタリのキャラクターだ。
国産車にはない個性際立つキャラクター
ポジションは旧型よりもやや前傾度が増してモタードっぽさが薄れ、コーナリング中の人車一体感がアップ。最初は後退したステップ位置に対して高め・広めのハンドルに違和感を感じるが、少し腰を引けば余分な力が入らないし、車体が暴れた時の押さえも効く。低速域ではハンドリングが車重の割に粘っこいが、このハンドル幅のおかげで不自然さはない。むしろビギナーには安心だろう。
約400㏄の単気筒エンジンだが、例えばヤマハSR400とはキャラクターがまるで異なる。SRは低中回転トルク重視で、爆発ごとに路面をタンタンッと蹴るような感触だが、DUKEのエンジンは単気筒らしからぬ軽やかさで、約1万回転でリミッターが作動するまで一気に吹け上がる。
パワーバンドもハッキリしていて、7000〜1万回転の間はまさに弾けるようなフィーリング。微妙なスロットル操作にも忠実に反応し、コーナリング中のライン変更も容易だ。中高回転域でのダイレクト感と引き換えに5000回転以下ではやや眠たげな反応だが、ユルユル走りたいときにはちょうどいい。
6速・100㎞/hは約6000回転。この回転域のピックアップは適度で、追い越し加速でのシフトダウンも不要。風圧はダイレクトに受けるが、高速道路のクルージングも苦にはならない。
だがやはり、この390DUKEが輝くのはワインディング走行。WP製の前後サスはスプリングとダンピングのバランスをスポーツライディングに合わせ込んであり、標準装着のメッツラー・スポルテックM5とのマッチングもいい。
ワイドに開けたまま登り勾配のコーナーに入っていくとフロントの接地感が少し頼りなくなるが、これをスロットルワークや荷重移動で修正できるのも面白いところ。コーナリングスピードが驚くほど速いので、峠道やミニサーキットなら最新のスーパースポーツにも引けを取らないはずだ。
国産車にはない個性際立つキャラクターで言うことなしの楽しさを与えてくれる390DUKE。税込み62万円という価格は間違いなくお買い得だと思う。
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2072×831×1109㎜
ホイールベース 1357±15.5㎜
最低地上高 185㎜
シート高 830㎜
車両重量 147㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量 373.2㏄
ボア×ストローク 89×60㎜
圧縮比 12.5
最高出力 44HP/9500rpm
最大トルク 3.7㎏-m/7000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 13.4ℓ
キャスター角/トレール 66.5度/88㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ディスク・φ230㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 110/70ZR17・150/60ZR17
DETAIL
RIDING POSITION(身長:176cm)
アップハンドルなので上半身は軽い前傾だが、ステップ位置はスーパースポーツ的。前後左右への体重移動がしやすく、バイクが暴れても抑え込みやすい。シート高は125や250と共通だが、390は前後サスペンションが硬めで沈み込み量が少ない。足着き性は良好だ。
問い合わせ:KTMジャパン
TEL.03-3527-8885