過給エンジン特有の獰猛さを巧みに調教!

H2の魅力は、その個性的なフォルムと天井知らずのパワーを発揮する過給エンジン。それが生み出す強烈な瞬発力と、SS顔負けの走りもこなす高いスポーツ性能は圧巻。車体の適応力が高く、ハンドリングも扱いやすいが、過給エンジンは思い通りに力を制御するのに慣れがいる。なにしろ、ちょっとイジれば300PS近くを発揮する余力を持ったエンジン。クセがあるのは当然だ。

画像: 最高出力:200PS(ラムエア過給時 210PS))13000rpm 最大トルク:14.0kg-m/9500rpm 価格:237万6000円 発売予定:2018年3月1日 上級グレードのSEはグリーンとブラックの2トーン、装備を簡素化したSXはグレーのみというカラー構成となる。

最高出力:200PS(ラムエア過給時 210PS))13000rpm
最大トルク:14.0kg-m/9500rpm
価格:237万6000円 発売予定:2018年3月1日
上級グレードのSEはグリーンとブラックの2トーン、装備を簡素化したSXはグレーのみというカラー構成となる。

画像: インパクト満点のフロントマスクやトレリスフレーム、片持ちリアアームなど、H2の特色をすべて備えながら、巧みにツアラースタイルを実現。実車はさすがに大柄だが、ZX-14Rより若干コンパクト。

インパクト満点のフロントマスクやトレリスフレーム、片持ちリアアームなど、H2の特色をすべて備えながら、巧みにツアラースタイルを実現。実車はさすがに大柄だが、ZX-14Rより若干コンパクト。

そんなH2の「ツーリングスポーツ」バージョンがH2SX。正直、最初は「H2の走りを知る者にとって、ツーリングスポーツなんて…」と思っていた。だって、SXの姿はほぼH2。ちょっと特殊なバイクだろ! と思っても不思議はない。

でも、試乗してみると、実に普通に扱いやすいツーリングスポーツだったのだ。

最高出力は200PS。H2同様の強烈なトルクも発揮する。一番の懸念は「それを使えるように調教してあるかどうか」だ。フレームとスイングアームの変更でホイールベースは伸びたとはいえ、25㎜という微々たるもの。物理的なジオメトリーだけでは車体の安定性や接地性を保つのは難しい。やはりトラコンやエンジンマネージメントは不可欠となっている。このSX、その電子制御がすばらしい。

実用域を意識したエンジンは、300PSものポテンシャルを抑え込んで、新型タービン採用と高圧縮化を実施。これで過給圧の穏やかな上昇とリニアに応答するトルクの強さを獲得したことが生まれ変わりのカギだ。

懸念されていたパワーはマイルドで優しいものに変身。100㎞/h・6速は4000回転ほど。これはまだ本領ではない。5000〜6000回転を境に過給圧が高くなり、言わばパワーバンドになるのだが、H2ではその後8000〜1万2000回転あたりでもう一段強力になる。SXも同じく強力になるが、途中がトルキーで穏やかなのだ。しかも、その後すぐにレブリミッターが効くH2より伸び感もある。しかも、H2では非力だった6速・1400回転の40㎞/h以下からでもノッキングなしで加速もできる。

H2では過給圧変化の関係で4000〜4500回転あたりでは思い通りに制御するのが難しい傾向だった。SXにも多少ソレはあるが、気にしなくてもいいレベル。試乗中はほぼずっと、最もパワフルでトラコン介入の少ないモードで走ったが、SXはそのままでクイックな峠道から、高速道路、渋滞路まで、どんな道でも扱いやすかった。

画像: 過給エンジン特有の獰猛さを巧みに調教!

スポーツツアラーを超えたツーリングスーパースポーツの誕生‼

前後カヤバ製のサスはSS用と同等の高級品。動きが滑らかで、低速減衰と高速減衰域の繋がりも良く、どの速度レンジでもしっとりとしている、上質なツアラーに相応しい乗り心地だ。

セミアクティブサスではないが、この足回りの守備範囲も広い。ローや2速を使い、1万回転以上でスポーティな走りをする時も路面の荒れをほとんど気にしなくていいスタビリティを発揮。3速で1万回転以上を回すような速度レンジでも全く音を上げない。

ただ、同じカワサキのZXー14Rもそんなオールマイティな走りに対応しているが、ああいう感じとはまた違う。「ツーリングスポーツ」としてのスポーツ性ではなく、SXはSS顔負けの運動性能を「ツーリングスポーツらしい気楽さ」で実現するのだ。しかも、コーナーから立ち上がりではSSにほとんど引けを取らない。言わば「ツーリングスーパースポーツ」なのだ。

唯一無二の雰囲気を醸し出すルックスなど、SSにはない個性もあるし、積載能力に扱いやすさと快適さもある。間違いなく、最強のスポーツツアラーだ。

画像: スポーツツアラーを超えたツーリングスーパースポーツの誕生‼

SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 2135×775×1205/1260(SE)㎜
ホイールベース 1480㎜
最低地上高 130㎜
シート高 835㎜
車両重量 256/260(SE)㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998㏄
ボア×ストローク 76×55㎜
圧縮比 11.2
最高出力 200PS(ラムエア過給時210PS)/11000rpm
最大トルク 14.0kg-m/9500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 19L
キャスター角/トレール 24.7度/103㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ250㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17

DETAIL

画像: パワースペックこそ同じ200PSだが、H2とは異なり、新作のスーパーチャージャーを採用し、圧縮比アップなどエンジン本体も改良。扱いやすさと省燃費も獲得している。

パワースペックこそ同じ200PSだが、H2とは異なり、新作のスーパーチャージャーを採用し、圧縮比アップなどエンジン本体も改良。扱いやすさと省燃費も獲得している。

画像: バランス型スーパーチャージャーは、ブレードの形状や角度を最適化した新形状のインペラーを採用。スムーズな出力特性を実現している。

バランス型スーパーチャージャーは、ブレードの形状や角度を最適化した新形状のインペラーを採用。スムーズな出力特性を実現している。

画像: コーナリング時にバンク角に応じて自動的に3段階に点灯し、旋回する方向を明るく照らすコーナリングランプはSE専用の装備だ。

コーナリング時にバンク角に応じて自動的に3段階に点灯し、旋回する方向を明るく照らすコーナリングランプはSE専用の装備だ。

画像: テール周りの構造が積載を意識したものになり、テールランプのデザインも新作に。オーソドックスな形状のLEDランプを採用する。

テール周りの構造が積載を意識したものになり、テールランプのデザインも新作に。オーソドックスな形状のLEDランプを採用する。

画像: 個性的な表情を見せるH2の基本イメージは受け継ぐが、フロントマスクはSX専用の新デザイン。SEはハイスクリーンを標準装備する。

個性的な表情を見せるH2の基本イメージは受け継ぐが、フロントマスクはSX専用の新デザイン。SEはハイスクリーンを標準装備する。

画像: シートはクッションの厚いものを採用。ロングツーリングを視野に入れたものとなっている。SEはステッチや表皮の異なる専用品を装備。

シートはクッションの厚いものを採用。ロングツーリングを視野に入れたものとなっている。SEはステッチや表皮の異なる専用品を装備。

画像: マフラーは右側2本出し風だったH2に対してシンプルな1本出しに。サイレンサー容量はダウンしたものの大幅な軽量化も達成した。

マフラーは右側2本出し風だったH2に対してシンプルな1本出しに。サイレンサー容量はダウンしたものの大幅な軽量化も達成した。

画像: 上級モデルとなるSEでは、多機能液晶にTFTカラー液晶を採用。表示モードをツーリングとスポーツの2パターンから選択できるのもSEのみ。

上級モデルとなるSEでは、多機能液晶にTFTカラー液晶を採用。表示モードをツーリングとスポーツの2パターンから選択できるのもSEのみ。

画像: ステアリングヘッド周辺に補強を新設、さらに剛性の高いシートレールを融合した、新作の鋼管トレリスフレームを採用。最大積載量はH2の105㎏に対し、195㎏となる。

ステアリングヘッド周辺に補強を新設、さらに剛性の高いシートレールを融合した、新作の鋼管トレリスフレームを採用。最大積載量はH2の105㎏に対し、195㎏となる。

COLOR VARIATIONS

画像: エメラルドブレイズドグリーン×メタリックディアブロブラック

エメラルドブレイズドグリーン×メタリックディアブロブラック

画像: メタリックカーボングレー×メタリックマットカーボングレー

メタリックカーボングレー×メタリックマットカーボングレー

RIDING POSITION 身長:176㎝、体重:68㎏

SEのスクリーンはSTDより大きいものが付く。ハンドリングを邪魔することなく、3速を回し切るような速度まで、ライダーに強い風圧を感じさせない。ポジションも決して強前傾ではなく、ロングランでも疲れにくい。

画像1: RIDING POSITION 身長:176㎝、体重:68㎏
画像2: RIDING POSITION 身長:176㎝、体重:68㎏

(写真/赤松 孝)

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