完全新設計モデルとして登場した「RX-03 SpecR」!
250㏄クラスに続いて125㏄ロードスポーツモデルの人気も急速に盛り上がり始めた。こうした本格的スポーツ性能を備えたモデルが揃ったことで、スポーツライディング指向のライダーも増えている。となれば気になるのがオートバイの性能を余すところなく引き出し、ライダーの操作に応えて走りのレベルを大きく引き上げるスポーツタイヤ。
サーキット走行やモタードレース、ジムカーナ競技などで最強のバイアスタイヤと評されているのがIRCのRX-01SPEC R(以下01R)だが、その後継となるのがRX-03SPEC R(以下03R)。01Rの改良版ではなく、完全な新設計モデルだ。
CBR250RRに装着して一周620mほどのミニサーキットで試乗したが、最初に感じたのがウォームアップ性能の良さ。テスト日は気温22℃だったが、2〜3周でタイヤが暖まってグリップ感が出てくる。さらに2〜3周して合計4㎞ほど走ったあたりでグリップ力はMAXに達する。これなら真冬以外はタイヤウォーマーを使う必要はないだろう。
グリップの高まりと同時に感じるのが旋回力の高さ。寝かし込みと同時にフロントからグイッと曲がるフィーリングはレーシングタイヤ的で、バンク角が深くなるほどに旋回力が増していく。最初の数周はスピードの落ちるタイトコーナーで思った以上にインに切れ込んで慌てたが、この旋回特性に合わせたアプローチアングルと進入速度を覚えてしまえば、コーナーをスパッと鋭角に切り取るようなライン取りが可能。ビギナーでも扱いやすい特性とは言えないが、スポーツライディング経験のあるライダーなら強力な旋回力とグリップを活かし、特にサーキットで大きなアドバンテージが得られることは間違いない。
もうひとつ感心したのは高速コーナーでの安定性。ステップから盛大に火花が散るようなバンク角での路面にビタッと張り付いている感覚と、深いバンク角のままギャップを通過したときの収束性の良さはズバ抜けている。このあたりはラジアル構造のスポーツタイヤ的で、バイアス構造のネガ要素は一切感じなかった。
スポーツ走行に割り切った設計なので耐摩耗性は犠牲になっているはずだが、ストリート向けのタイヤでは絶対に味わえない領域に躊躇なく踏み込めるのが03Rの魅力。この圧倒的なパフォーマンスは一度体験したら忘れられなくなる。
IRC 井上ゴム工業 アールエックス03 スペックR 価格:オープン
[サイズ]
フロント: 110/70ー17(発売中)、120/70ー17 (来春予定)
リア: 130/70ー17(2018年夏頃予定)、140/70ー17(発売中)、150/70ー17(来春予定)
[ 問 ]アイ・アール・シー 井上ゴム工業 TEL.0120ー041718
写真/南 孝幸
テスター太田安治の欲張りリクエスト
フロントタイヤの舵角が小さいままバンク角に応じて旋回力が増すハンドリングはバイアス構造らしいが、深いバンク角での安定性はラジアル的で、軽量車にマッチした特性。ライダーにスキルを求める性格だが、『スペックR』だからこれでいい。不満はありません。
IRC 井上ゴム工業 公式サイト