インターモト2018のスズキブース。新型カタナ発表の晴れ舞台に登場した、ひとりのイタリア人がいた。彼の名はロドルフォ・フラスコーリ氏。新型カタナのデザイナーにして、そのきっかけを作ったコンセプトモデル「カタナ3.0」のデザイナーでもある。オートバイ誌はフラスコーリ氏に、新型カタナ誕生の背景について独占インタビューに成功した。
新型誕生のきっかけはイタリアから始まった。
カタナをデザインする「夢」が現実のものに。
「まだ少年の頃、カタナを見て衝撃を受けました。それから40年近くが過ぎ、まさか自分がこうして、カタナのデザイナーとしてステージに立っているとは想像もできませんでした。まさに夢のようです」と語るのはロドルフォ・フラスコーリ氏。新型カタナ、そしてその原型となったコンセプトモデル「カタナ3・0」のスタイリングを創り上げた工業デザイナーだ。
昨年の11月、イタリア・ミラノで開催された国際ショー「EICMA」で、イタリアを代表するバイク雑誌「モト・チクリスモ」誌のブースにカタナ3・0の実車が展示されたところから、新型カタナ誕生という運命の歯車は回り始める。会場での熱狂的な反応、世界中のメディアの注目。しかし、それ以上に、カタナ3・0を見たスズキ自身がこれに刺激を受け、市販化に向けて動き出そうと決断するのである。
「モト・チクリスモ誌の編集長ともともと親しかったという縁もあって、現代の技術でカタナを創ろう、というカタナ3.0のプロジェクトを始めたわけですが、市販化の話をスズキからいただいたときは、興奮でいっぱいだったのを覚えています。私自身、ファーストカタナが非常に大好きで、カタナをデザインするのが私の夢でしたから。
カタナ3・0にスズキが理解を示し、反応してくれて、市販化しようと決めてくれた。もう、言葉では言い表せないくらいに嬉しかったし、誇らしかったし、夢のようでした」
自身が熱狂的なカタナファンだというフラスコーリ氏。そんなフラスコーリ氏にとって「ケルンの衝撃」と言われた初代のカタナ・GSX1100Sはどんなイメージのバイクなのだろうか。
「初めてファーストカタナを見たとき、このバイクはまさにレボリューションだ、と思いました。スタイリングは非常にユニークで、斬新で、アイコニックなもので、他にこんなデザインのバイクは見当たりませんでしたから。ライディングポジションも独特で、非常に革命的だと思いました。
その頃の他のバイクと比べても非常に先進的で、まるでバイクの未来を見せられているかのようでした。すごいな、このバイクは10年以上先を行っているんだな、と感じたのを覚えています。カタナという日本語のネーミングもこのデザインに合っている、素晴らしいものでした」…(続きはオートバイ2018年12月号にて)