400㏄優位をひっくり返した俊足スプリンターNSR
2スト250㏄と4スト400㏄の混走もあった80年代のプロダクションレース。僕はFZ400RやGSX-Rで走っていたが、ホームコースにしていたSUGOの登り坂では250と400のパワー差が如実に出て、RZ、MVX、Γ、RZ-Rは相手にならなかったし、TZRもスリップストリームを使えば難なくパスできた。
だが87年にNSRが登場したことで400優位の時代は終わる。軽さを活かしたコーナリングスピードに400と同等のストレートスピードが加わり、ラップタイムは400より速い。さらに88年型NSRはカタログ値こそ45馬力だが、電気系を少しいじるだけで60馬力、チャンバーを交換すれば65馬力と言われるほどのパワーだった。
ただ、87年型NSRは車体の剛性バランスがおよそ公道向きではなかったし、バイアスタイヤからラジアルタイヤへの移行期間に重なった88〜89年型もハイグリップタイヤを装着してこそのハンドリング。最も好みなのは90〜91年型(MC21型)で、公道でも乗りやすく、F3レーサーに仕立てれば市販レーサーのRS250と変わらないポテンシャル。まさに最強のレーサーレプリカだった。
撮影でワークスNSRに乗る小林大さんや、青木兄弟(宣篤くんと拓磨くん)と一緒に走ったのもいい思い出。今でも91年型のTZR250SPかNSR250SPを手に入れたいと半分真剣に思い続けている。
PHOTO:長野浩之、南 孝幸、松川 忍