注目モデルが続々と発表され、大変な盛り上がりを見せている250アドベンチャークラス。ますますヒートアップしているが、各モデルで個性も守備範囲も違っているのも実に興味深い。今回はこの2台に、このクラスの草分け・ツーリングセローを加えた3台を乗り比べながら、それぞれの魅力に迫ってみよう
ダカールマシンのDNAが活きる
HONDA CRF250 RALLY/ABS
●水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
●249㏄ ●24PS/8500rpm
●2.3㎏-m/6750rpm ●155(ABSは157)㎏
●10ℓ ●895㎜ ●3.00-21・120/80-18
CRF250Lをベースに生まれたラリーレイドイメージの精悍なデュアルパーパス。法定速度+アルファくらいから振動が多くなるのが気になるが、80〜100㎞/hくらいならゆとりをもって快適にクルーズできる。ノンビリ走るには十分な巡航性能だが、このバイクがもっとも得意なのは80㎞/hくらいまでの速度域で、空いた田舎道や山岳路を流すような走り方。足回りの味付けは極めてしなやかで、十二分に減衰力が作用する落ち着いたもの。
歩くような速度で握りこぶしふたつ分ほどのゴロ石を踏んでもハンドルは弾かれないし、40㎞/hで10センチほどの丸太や段差に乗り上げても車体は暴れない。舗装路の荒れ、凸凹などをほとんど気にせず走れるバイクだ。だが、それなりに大きく重く、大きな魅力である外装はオフで倒れればすぐに傷だらけになる。オフ指向の強さを秘めたスポーツツアラーであり、スキルさえあれば山道でも面白く、愉しいバイク。
等身大で楽しめるトレッキング・ツアラー
YAMAHA TOURING SEROW
●空冷4ストOHC2バルブ単気筒
●249㏄ ●18PS/7500rpm
●1.9㎏-m/6500rpm ●130㎏ ●9.6ℓ
●830㎜ ●2.75-21・120/80-18
小柄でスリム、今ではもっとも軽い250デュアルパーパスモデルのセローをベースに、ツーリング適性を強化したパーツを搭載したコンプリートモデル。重積載に耐えられるようにフレーム補強を兼ねたキャリアなどが組み込まれているが、それでも車体の軽さを活かした扱いやすさが光る。
のんびりとトコトコ移動するのが得意で、カタログスペックのパワーは非力にも見えるが、ケモノ道のようなところに入り込んでしまっても何とか走破してしまう粘りと瞬発力を秘めている。それにこの軽さが身のこなしを自由にしている。しなやかな足回りも悪路走破性に特化しており、どんな場所でもハンドルを弾かれる事なく乗り越える。このバイクの魅力はこの軽さや手軽さを活かした、キャンプツーリングや林道ツーリングで光る。気の向くまま、ハンドルの向くまま、気軽にどこでも入りこめる、オフ指向の強いノンビリ派のデュアルパーパスツアラーだ。
PHOTO:南 孝幸/赤松 孝/柴田直行