スズキの名を知らしめた世界戦略モデル・カタナ

81年に世界デビューを飾ったカタナは、ついにカワサキZ、ホンダCBの2大巨頭に肩を並べることになる。もともと性能的には世界ナンバー1と言われたGSX1100Eのパフォーマンスに、センセーショナルなスタイリングを得たことで、当時のメインマーケットであるヨーロッパで、確固たる地位を築くことになるのだ。

「当時、スズキのヨーロッパでのシェアは、国内4メーカーの最下位、数字でいえば10%ほどだった。それがカタナの登場で、シェアは30%ほどにまで上がって、ヨーロッパでスズキというブランドが一気に知られるようになった」とは、当時の2輪設計部を率いていた横内悦夫さんが述懐してくれたことだ。

カタナはヨーロッパで人気モデルとなり、アウトバーンと呼ばれる現地の高速道路のスピードスターとして君臨。ZやCBよりも前傾姿勢が強く、小ぶりとはいえ、効果の高いカウルとスクリーンがあることで、ハイスピードクルージングに優れたモデルだったのだ。

画像: それまでにないライディングポジションが鮮烈だった

それまでにないライディングポジションが鮮烈だった

そして、まだビッグバイクが一般的ではなかった国内にも、カタナブームは巻き起こった。当時の自主規制で、750㏄以上のモデルを国内販売しない、という取り決めがあったものの、カタナは「逆輸入」という形で国内販売をスタート。これは、海外で売られているモデルを日本の商社、販売店が買い付け、外車同様の扱いで国内販売する、というもので、入荷したての逆輸入版1100カタナは、200万円近いプライスがつけられていた。ちなみに750カタナの販売価格が59万8000円だった頃の話である。

これで、カタナは750/1100㏄が国内に存在することになるものの、ファンはやはり1100㏄こそをホンモノと見立て、そこに憧れたファンは、国内750㏄版に1100㏄専用のパーツであるクリップオンハンドルやスクリーンを単品で購入して装着。これを違法改造として警察の取り締まりが強化され、「刀狩り」と呼ばれるほどに至ったのだ。

カタナはその後、ほぼモデルチェンジされることなく販売を続け、90年代に入る頃には人気も低迷、新車価格が100万円を割り込む時代もあったが、94年に国内正規販売を開始し、2000年に1100台限定生産されたファイナルエディションをもって生産を終了。デビューから約20年で、総生産台数は約4万台といわれている。

それからは、ホンダCB、カワサキZ、900ニンジャと並ぶ絶版人気モデルとなって、現在でも中古モデルが超高値安定。誕生から35年が経った今でも、絶版モデルの中で、もっとも人気の高い1台といわれている。

KATANAの変遷

2000年 SUZUKI GSX1100S KATANA[Final Edition]

画像: 2000年 SUZUKI GSX1100S KATANA[Final Edition]
画像: GSX1100Eをベースとした空冷4ストロークDOHC4バルブエンジン。燃焼効率を向上させるTSCCヘッドを採用し、カタナ用にはクランク系を再設計し、約10%出力アップ。

GSX1100Eをベースとした空冷4ストロークDOHC4バルブエンジン。燃焼効率を向上させるTSCCヘッドを採用し、カタナ用にはクランク系を再設計し、約10%出力アップ。

画像: ゼロ表示の場所が違う、ユニークな針の動きが特徴的なコンビネーションメーター。写真は黒ウィング状トップブリッジのファイナルエディション。

ゼロ表示の場所が違う、ユニークな針の動きが特徴的なコンビネーションメーター。写真は黒ウィング状トップブリッジのファイナルエディション。

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