ライター
コーナーの向こう側に“速さ”への夢を追い求めた時代【1986年HONDA NSR250R/1985年YAMAHA TZR250】
打倒、ヤマハTZRにホンダ決断の時、来たる
ホンダには「決め手」が必要だったのだ。時はレーサーレプリカブームと言われ、4ストローク400㏄、2ストローク250㏄の新型モデルは、サーキットを走るレーシングマシンとの「同時開発」が謳い文句の車両ばかりが目立っていた時代。
なかでも、2スト250㏄の「レーシングマシンそっくり度」は異常だった。RZ250が先鞭をつけた2スト250㏄スポーツに、ホンダは4ストVツインVT250Fで対抗。それまでの250㏄モデルではあり得なかった水冷VツインDOHC4バルブというハイメカニズムは、まさにホンダの真骨頂で、VTはRZを凌ぐ人気を獲得したのだ。
しかし、...
ライター
たぐいまれな造形の存在感は35年経った今も健在【1981年SUZUKI GSX1100S KATANA [SZ] 】
ホンダCBとカワサキZを性能だけでなく上回るもの
それは、スズキの「世界への挑戦」だった。69年にホンダCB750FOURが口火を切った日本の4ストロークビッグバイクヒストリーには、72年にカワサキZ1が、そしてスズキも遅ればせながら76年にGS750で登場することになる。
この頃、ホンダはすでに第2世代のビッグバイク、CB750Fをリリースし、時代は80年代に突入しようとしていた。
スズキも第2世代のGSX1100Eを80年に発表。しかし、ホンダもカワサキも超える1100㏄の排気量をもってしても、たとえそれが性能で上回っても、この2強の牙城を崩すには至らなかったのだ。
必要だったもの、...
ライター
時代は変わっても永遠のライバル【1972年 KAWASAKI 900 Super4 [Z1] /1970年 HONDA CB750 FOUR [K1] 】
オートバイ史をけん引するつぶし合わない好敵手
CBナナハンとZ1、CBXとFX、Fとニンジャ、そしてCBRとZX_R。日本のオートバイ史上において不倶戴天のライバルと呼ぶべきモデルが、ホンダCBとカワサキZだ。
きっかけは1968年に発表されたCB750FOURだった。ナナハンは、日本初の750㏄で、量産市販車初の並列4気筒エンジンを搭載した、日本のオートバイ史に残る名車で、ここから日本製オートバイの世界制覇が始まった、とも言われるスーパーバイクだった。
しかしその頃、カワサキでも、ひとつのプロジェクトが始動していた。CB750FOURが東京モーターショーで公開された68年、すでに走行実...
ライター
Z1を凌ぐエンジンバランス!【1973年 KAWASAKI 750RS[Z2]】
国内最速ビッグを目指した750㏄専用セッティングのZ
世界的なヒットモデルとなった900スーパー4、Z1。その成功を受けて日本でもZ1を販売するつもりだったが、大型バイクに対する社会的な批判が日増しに高まる中で、ホンダの提唱する「国内市販は750㏄まで」というメーカー間の申し合わせが成立。事実上、国内販売が出来なくなってしまった。
そこでカワサキは、Z1をベースに排気量を746㏄にスケールダウンした750RS「Z2」を開発し、1973年2月に発売を開始。スケールダウンとはいえ、DOHC4気筒は魅力十分で、66㎜のボア×ストロークとなったエンジンは良好なバランスを発揮。Z1を凌ぐとも言われ...
ライター
【1980年 YAMAHA RZ250[4L3]】2ストレプリカのフロンティア的モデル【絶版車オブ・ザ・イヤー特別編】
レーサーレプリカを生み出すきっかけとなった大いなる一台
1970年代、オイルショックと米国の「マスキー法」による環境規制から2ストロークの存亡が脅かされていた。ヤマハは「最後の2ストローク」になるという想いと覚悟を胸に集大成モデルを開発。1979年、東京モーターショーで「究極のロードスポーツ」と称しRZ250を発表した。そのセンセーショナルなモデルはライダー達の心を掴み、市販化を支持する圧倒的な声に応えるべく、翌年8月市販化をスタートさせた。
当時はレーサーレプリカという言葉は使われていなかったが、RZは市販レーサーTZ250の公道仕様と言えるモデル。レーシングパーツすらも組み込みが可能...
ライター
数えきれないほどのモデルに乗った2人が語る、俺の忘れられない1台【太田安治】
あんなに魅せられていたZ2のことはすっかり忘れてしまった
73年に免許を取った僕が最初に魅せられたオートバイはカワサキの750RS。燃料タンクの艶っぽい曲線美、当時は珍しかった黒塗装のエンジン、マルチシリンダーを誇示するような4本マフラーの光沢。群を抜いて美しい。アイドルのレベルじゃなくて、ミスコンの世界大会優勝者みたいなもんだから、手に入れたときは泣きそうなほど嬉しかった。
それから何台も乗り継ぎ、技術や知識が少しづつ蓄積されるにつれて、機能や性能への関心が強まった。水平対向4気筒エンジンのホンダGL1000、並列3気筒のヤマハGX750、「4サイクルマッハ」と呼ばれたカワサキZ650...
ライター
数えきれないほどのモデルに乗った2人が語る、俺の忘れられない1台【絶版車オブ・ザ・イヤー特別編】
「CB」「Z」「ニンジャ」が目指した魔法のようなバイクにズドン!
仕事柄、色んなバイクに乗る。魅力的だと言われるバイクでも、その「光るもの」が心にストライクするのはそうそうあるもんじゃない。しかも、じっくりと乗り込んでからじわじわとアピールしてくるものもあれば、走り出した瞬間にズドンっとくることもある。
記憶に残る絶版車と言われて、CB750FourやZ1、ニンジャ900と言いたいところだが、選んだのはかつてとんでもないズドンっを喰らったZZR1100だ。初期型のC型など、今見るとさすがにカクカクしてて古めかしく見える。でも、当時だって地味なルックスで、ちょっと野暮ったくさえ見えた。
何...
ライター
【1979年HONDA CB750F[FZ]】大型二輪免許が取れる今だって”ナナハン”はライダーの憧れだ!【絶版車オブ・ザ・イヤー特別編】
ニューCBの誕生と共にナナハンの本命となった
CB750フォアで大排気量化、4気筒化に先鞭をつけたホンダだったが、1973年にはカワサキからはZ2こと750RSが登場し、1976年にはスズキからGS750が発売される。それらライバル達に立ち向かうべく、満を持してホンダが新しい魅力とパフォーマンスを持ったニューモデルを投入する。『不沈艦』『無敵艦隊』とまで呼ばれたワークスレーサー「RCB」のノウハウを生かしたDOHC4バルブヘッドの4気筒という当時最先端のハイメカエンジンを搭載したCB750Fが誕生した。
CB750Kが豪華な装備のクルーザー的な味付けであったのに対し、CB750Fはセパレ...