アメリカ・カリフォルニアで開催された「Can-Am Ryker(カンナム・ライカー)」のメディア向け試乗会。昨夜はローンチパーティで、その世界観を堪能しましたが、今日からはいよいよライディングへ出掛けます。
クルマのAT免許で乗れ、経済性にも優れる
まずはカンナム・ライカーをじっくり見てみましょう。フロント2輪、リア1輪のスリーホイーラーは、ヤマハからナイケンが登場し話題となっていますが、カンナム・ライカーは車体をバンクさせることはできません。オートバイのようにシートに跨って、バーハンドルを右に左へ切って操りますが、旋回時に車体は傾かないのでバイクに慣れている人ほど違和感を感じやすいかもしれません。
免許も四輪車用となり、クルマのAT限定普通免許で乗ることができます。ヘルメットの着用義務はありませんが、被っていないととても危険ですし、そもそも走行風を頭部や顔に受けるので苦痛です。輸入販売元のBRPジャパンもヘルメットの着用を推奨しています。
高速・有料道路の通行料金や税金、保険は二輪車扱いで、車庫証明も要りません。そう考えると、なかなかにして経済性にも優れる乗り物であることがわかります。
スポーティな走りを実現する足まわり
フロント2輪はダブルウィッシュボーン式、リアはモノサスペンション式になっていて、ショックユニットはザックス製。タイヤ径は前後とも16インチがスタンダードです。ABSを標準装備し、フロントブレーキはニッシン製2ピストンフローティングキャリパーと270mmディスクの組み合わせとなっています。フットペダルを踏めばフロントもリアもバランス良く制動力を発揮する前後連動式で、ブレーキ操作もイージーです。
搭載するエンジンはロータックス製の900cc並列3気筒、あるいは600cc並列2気筒のいずれかですが、今回は900ccモデルだけが用意されていました。最高出力77PS/7100rpmを発揮する、かなりパワフルなエンジンで、クラッチレバーはなくスクーターのように右手アクセルグリップを捻るだけで進むイージーな操作性も魅力となっています。
ライディングポジションは自在に調整可能
驚いたのは、ハンドルやフットペグ&ペダルの位置を自在に前後方向へ調整できることです。工具要らずのワンタッチ機構が用いられ、マウント位置がレールをスライドし、好きな位置にセットすることができます。乗り手の体格を問わず、ジャストフィットのライディングポジションを誰でも手に入れることができますし、気分や状況に合わせてフォワードコントロールのクルーザー姿勢にしたり、前傾のハンドルポジションにしたり自由自在です。
軽快でクイックなハンドリング、コーナリングがエキサイティング!!
まずは、ロサンゼルスの走り屋さんたちが集まることで有名な「マルホランド・ハイウェイ」で、ワインディングを堪能します。穏やかでヘビィなハンドリングを想像していましたが、ハンドルを切ればノーズからズバッと向きが変わり、右へ左へクイックに車体が動き、かなり軽快です。
旋回時はイン側のグリップを引き、アウト側を押す感覚を意識すると、ハンドルへの入力が上手くいきますが、速度と操舵のタイミングがうまく一致すると余計な力を入れずに済み、肩の力を抜いたスムーズなコーナリングが楽しめました。
旋回時に車体はリーンしないものの、シートへの荷重もハンドリングに影響し、ライディングはスポーティでエキサイティングなもの。かなり奥深く、時間を経つのを忘れて山岳路を駆け抜けます。
ちなみに2日間をかけてのテストライドは、ワインディングが中心でした。その旋回力に開発陣もよほどの自信があったからでしょう。山岳路ばかり長時間を走っても、疲れはあまり感じませんでした。
ラリーエディションでダートへ!!
900ccモデルには「ラリーエディション」もあり、なんとオフロードライディングも楽しめてしまうから驚きました。ギャップを拾っても衝撃をしっかり吸収してくれるのは、より高性能なサスペンションのおかげ。ザックス製ユニットのスタンダードではフロント137mm、リア150mmのストローク長ですが、ラリーエディションではKYB HPGにグレードアップされ、フロント162mm、リア175mmに。さらに強化ホイール(リア16→15インチ化)、ハンドガード、スキッドプレートも追加装備され、ライディングモードもトラクションコントロールの介入が少ない「ラリーモード」が追加設定されています。
3輪でのダート走行が、こんなにもエキサイティングとは。これはATV(四輪バギー)のテクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれているからで、リアが面白いように流れ、オフロードバイクのようなカウンターステアが簡単にできてしまうのです。2輪では容易くないテクニックが、フロント2輪なのでじつにイージー。病みつきになる独特の面白さが、カンナム・ライカーにはありました。
もしかすると、オフロード好きのベテランライダーにも好まれるかもしれません。もう体力的に2輪ではキビシイとなったとき、仲間との林道ツーリングやファンライドに4WDではついて行きづらいですが、カンナム・ライカー/ラリーエディションなら広くフラットなフィールドなら同行できるでしょう。ちなみに全幅は1509mm、けっこう細いところも入っていけたことも報告しておきます。
都会にも馴染む近未来スタイル
ロサンゼルスに再び戻り、サンタモニカやベニスビーチ周辺を流すと、スマートフォンをこちらへ向けて手を振ってくれる人がチラホラいます。陽気なカリフォルニアの日射しのせいでしょうか、なんだかこちらも自慢げな気持ちです。クルマもオープンカーをよく見かけますし、バイク、自転車、スケボー、セグウェイ、いろいろな乗り物で移動するカリフォルニアですと、スリーホイーラーもストリートに馴染むように思います。日本の都会でも、センス光る若者が乗ったら、きっとカッコイイのでしょうね。
このカンナム・ライカー/ラリーエディション、日本上陸は2019年春の予定で、価格は未定(100万円台)です。また新しい情報が入ったら、報告したいと思います。2回に渡りましたが、最後までおつき合いしていただき、ありがとうございました。
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