2018年で印象に残ったバイク、という問いに、本誌執筆陣が最も多くその名を挙げたのがナイケン。その走りは本当に画期的なものなのか? ナイケンの魅力とは何なのか? さっそく彼らのコメントを見てみよう。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高 2150×885×1250㎜
ホイールベース 1510㎜
シート高 820㎜
最低地上高 150㎜
車両重量 263㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量 845㏄
ボア×ストローク 78×59㎜
圧縮比 11.5
最高出力 116PS/10000rpmm
最大トルク 8.9㎏-m/8500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 18L
キャスター角/トレール量 20度 /74㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ298㎜ディスク・φ282㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70R15・190/55R17
宮崎敬一郎
印象に残るバイクを1台だけ選べ、と言われればナイケンだ。フロント2輪という構成をバイクのレイアウトで実現しただけではなく、そのメリットであるフロントの強烈な接地力を世に知らしめたからだ。
通常の二輪車の次元を越えた様々な走りに対する可能性や高い安定性、安全性は、乗り手に今までとは違った「夢」を見せてくれる。しかも、この革新的な構成を採用した初の大型車でありながら、クセのないハンドリングによる扱いやすさも獲得している。
キャラクターとしてはツーリングスポーツなんだろうが、乗り心地の良さや扱いやすさに留まらず、そのスポーツ性能まで非常に高いレベルにあり、乗り物としての完成度の高さも光っている。
バイクとしての新しい姿と可能性を提案したナイケンは、ニュータイプの3輪モデルとして、これからもバイク界全体に影響を与えていくきっかけになるだろう。
八代俊二
「2018年の1台」と言えば文句なしにナイケンだ。深海魚ラブカの様なルックスは好き嫌いが分かれるだろうけど、個人的にはメカメカしいフロントフォークや複雑な構造のステアリング周りが大のお気に入り。
走っては圧倒的な安定感で精神&肉体の疲労が極端に少なく、さらにあのいかついルックスからは想像もできないくらい乗り心地が滑らかで、ロングツーリングも苦にならなかったのにはビックリ。しかも、跨った状態でマシン全体でバンクするコーナリングは完全にスポーツバイクのもので、グリップ力と安心感は既存のオートバイを完全に凌駕している。体力的に厳しくなってからもスポーツバイクの楽しさを味わえる革新の1台だと思う。
太田安治
ピアジオMP3に乗って以来、前2輪のリバーストライク構造の可能性はまだまだ広がると感じていたが、ナイケンは一つの完成形だと思う。バンクさせて曲がるオートバイの醍醐味を損なわず、前1輪では考えられないフロントの接地力で峠道や悪路での転倒リスクを減らしたことを大いに評価する。
ただ、低速域ではフロント回りの重さ、ハンドリングの粘りを感じるし、峠道では前後タイヤのグリップバランスに不自然さを感じる状況もあった。3輪なのだからと言われればそれまでだが、ステアリングの構造やハンドリングが洗練され、停車時の自立機構が追加されることを期待している。新しい扉は開いたばかり。ヤマハの独創性を見せて欲しい。
青木タカオ
フロント2輪がもたらす安心感から、ナイケンはサーキットではいとも簡単にヒザを擦るほど寝かせることができるし、荒れた路面でスリッピーなタイトコーナーも、不安なく肩の力を抜いて旋回できる。
EICMAで登場したGTはさらに快適性をプラスしたモデルで、まさに鬼に金棒。ぜひ長旅に出掛けてみたいと思う。そして、モーターサイクルのネガを消しつつ長所を伸ばしたLMWは、今後他のセグメントでもきっと楽しいモデルを作り出してくれるはず。たとえば、アドベンチャーとか…!?
今後のシリーズ拡充にも期待したい‼