名門復活を期待させる1台
ROYAL ENFIELD CONCEPT KX
和歌山利宏
ロイヤルエンフィールドのかつての名車、1938年製KXを再現したVツインコンセプトモデル。わずか半年で造り上げられたショーモデルで、市販化は考えていないそうだが、単なるブランディングとは思えない。EICMAのカンファレンスで製作動画も映し出され、イギリスにあるR&Dの技術を結集させている印象もあったからだ。
発表通り、市販化はないとしよう。でも、CADに蓄えられたデータをもとに、エンジンを水冷化するなど、今日的にアレンジされていくことは十分考えられる。今はインドのメーカーだが、イギリスの名門としての復活を目論んでいるロイヤルエンフィールドだけに、かつての面影を偲ばせる1台に大いに期待したい。
久々にときめいた本格ミドルスポーツW
APRILIA RS660 CONCEPT
和歌山利宏
そもそもレーシングマシンというのは、マシンのコントロールを純粋に楽しめる存在であるべきだと思う。その意味で、アプリリアのコンセプト・RS660にはワクワクする。660ccのパラレルツインと言えば、NC700、MT−07、ニンジャ650と同じ身近なクラスなわけだが、そこに究極のレーシングマシンがいるところがまたいい。
アプリリアは市販化に向けて進めていると言うし、事実、サーキットでのテスト走行がスクープされている。次世代ライダーに向けてスポーツバイクの魅力を発信するのが目標というから、このプロトタイプのワークスマシン然とした美しさはトーンダウンするかもしれないが、ピュアスポーツに期待したい。
“王様”に対抗できる数少ない1台
HONDA CRF1000L AFRICA TWIN ADVENTURE SPORTS
SPECIFICATION
●水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
●998cc
●95PS/7500rpm
●10.1kg-m/6000rpm
●253kg
●24L
●870/890mm
●90/90-21・150/70R18
宮崎敬一郎
大型タンクにストロークを増した前後サス。オフロードアタッカーというより、アドベンチャースポーツとしてのツーリング適性を高めたバイクだ。背が高くなっているので乗り手にはかなりの体格を要求するが、走り出してしまえば、スタンダードのアフリカツインが跳ね上げられたりハンドルを取られたりするような酷路でも平然と走る。
ローダウンのタイプLDも、そんな道で無茶でもしない限りよく面倒を見てくれるが、お勧めはサスの長いスタンダード。このカテゴリーに君臨するドイツの王様、BMWのGSに対抗できる走りを実現できる、日本では数少ないアドベンチャースポーツだと思う。
これぞ立派な「正常進化CB」
HONDA CB1000R
SPECIFICATION
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●998cc
●145PS/10500rpm
●10.6kg-m/8250rpm
●212kg
●16L
●830mm
●120/70ZR17・190/55ZR17
中村浩史
CBナナハン、750F、CBX、CBR、そしてBIG-1に続く、新しい世代のCB。賛否両論ありますし、僕も乗る前には懐疑的でしたが、お借りして1000㎞ツーリングに使って、良さが分かりました。これは立派な、CB750Fの40年後の正常進化版だと思います。
エンジンは力があるし、高回転よりも中回転域が強い。ツーリングでも飛ばしても、ワインディングも街乗りもこなして、カッコいい。これが「ホンダCB」なんですね。
ただし、タンデムと荷物の積載が苦手なのがいまひとつ。「CB」は、そういうとこも大事にしてほしい。願わくば兄弟モデルとして、CB1000「F」を、アナログ2眼メーターとテールカウルありで出してほしいな。