気負わずスイスイ走れる軽快なハンドリング!

ヤマハは共通のエンジンと車体を使ってバリエーションモデルを作る「プラットフォーム」展開を進めている。手始めはMT-09をベースとしたアドベンチャーツアラーのトレーサー、第2弾がフルカウルスポーツであるYZF-R25ベースのネイキッド、MT-25だ。320㏄版のMT-03も同時に登場したが、まずは国内販売のメインとなる250㏄版から話を進めていこう。

画像: シャープで軽快、というMTシリーズ共通のコンセプトを継承しつつ、チーターのイメージに合った「小顔」にも配慮。エッジを効かせた、精悍なイメージを巧みに演出する。

シャープで軽快、というMTシリーズ共通のコンセプトを継承しつつ、チーターのイメージに合った「小顔」にも配慮。エッジを効かせた、精悍なイメージを巧みに演出する。

R25はスポーティーなルックスと、スムーズ&エキサイティングな2気筒エンジン、素直そのものといったハンドリングで、若い世代を中心に幅広く支持されているモデル。それに加えてバリエーションモデルを投入したのは、東南アジアを中心とした新興国で250〜300㏄クラスの人気が高まっているため。世界戦略車として幅広い需要に応える必要があるからだ。

MT-09とトレーサーでは外装パーツや前後サスペンション、マフラーなどが異なるが、R25とMT-25の差異はカウルの有無とハンドル形状程度。両車の開発は同時進行したというから、最初からスポーツ指向とストリート指向のバランスを取りながら作り込まれたのだろう。事実、エンジンや前後サスペンションのセッティングも同一だ。

画像: フロントまわりのパーツも基本的にはYZF-Rシリーズと同じ。標準タイヤは速度レンジの関係で異なり、25がIRC、03がミシュラン。

フロントまわりのパーツも基本的にはYZF-Rシリーズと同じ。標準タイヤは速度レンジの関係で異なり、25がIRC、03がミシュラン。

しかし、MTのイメージはR25とはだいぶ違う。剥き出しのエンジンと高さのあるタンク、アンダーカウルが車体前側に凝縮され、躍動感と静的な迫力がある

ハンドルはR25比で39㎜高く、19㎜手前になった。街乗りやクルージング中の上体は直立に近く、肩や腰に掛かる負担はほとんどない。グリップ位置とライダーとの距離が近いから、小柄なライダーでも手首や肘の余裕が生まれて楽に乗れるはずだ。

2気筒エンジンの恩恵で発進はスムーズ。丁寧にクラッチを操作すればアイドリング回転でもスルスルと動き出し、5000回転程度でポンポンとシフトアップするだけで交通の流れをリードできる。3速の守備範囲が広く、ギアチェンジの忙しさもないから、ビギナーでも落ち着いて走れる。

だが、このエンジン最大の魅力は中高回転域。特定の回転から劇的な加速をするわけではないが、6000回転あたりから徐々に勢いが増し、1万回転まで一気に吹け上がる。それもただ「軽やかに吹ける」のではなく、回転上昇と共に増していくパワーを実感できるのだ。クラス最強のスペックが注目されがちだが、僕はこの過渡特性が気に入った。

画像: 25、03ともにエンジンはYZF-RシリーズのDOHCツインをそのまま継承。パワースペックも36PS/42PSとクラス最強のままだ。

25、03ともにエンジンはYZF-RシリーズのDOHCツインをそのまま継承。パワースペックも36PS/42PSとクラス最強のままだ。

試乗時のコースはあいにくのウエット。しかし、そこで光ったのがハンドリングの素直さだ。カウルという重量物がなく、グリップ位置が近いため、ハンドリングはR25よりも軽く、車体が短かくなったように感じる。切り返しでもハンドルに手を添えているだけで、腰で操るような感覚だ。これなら混雑した市街地でも、タイトターンの連続する峠道でも、気負わずリズミカルに走れる。

SPECIFICATION
全長×全幅×全高 NA
ホイールベース 1482±15㎜
シート高/車両重量 835㎜/約212㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
総排気量 1301㏄
ボア×ストローク 108×71㎜
圧縮比 13.2
最高出力 173HP/9500rpm
最大トルク 14.7㎏-m/6750rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 約23L
キャスター角/トレール 65.1度/NA
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ240㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/55ZR17

シリーズの一員にふさわしい「MTフットワーク」を継承

しかも前後タイヤ、特にフロントの接地感が高く、安心して攻め込めるのも特徴。ウエット路面でもグリップ状態が高い精度で伝わってくるし、滑り出しも穏やかで恐怖感がない。ウエット路面でもフルバンク近くまで持ち込めたのは、このヤマハらしい接地感重視のハンドリングあってこそだ。

同条件で試乗したMT-03も車体に関してはまったく同じだが、70㏄の排気量差でパワー/トルクが2割近くアップしたことでトータルな運動性能はより軽快だ。極低回転域での粘り、低回転から中回転にかけての力強さが大きく増していて、街乗りなら3速ホールドで事足りるほど扱いやすい。42PSというピークパワーはフルサイズの400㏄スポーツモデルに及ばないものの、165㎏の軽い車体がそれをカバーし、ゼロ発進や中間加速はフルサイズ400モデルと互角だし、最高速も180㎞/hに迫る。車検の手間や税金などの維持費が250より高いというネガ要素はあるが、より乗りやすく速い相棒を望むならMT-03の方がいいだろう。

試乗前に、商品コンセプトが『大都会のチーター』と聞いたときは今一つイメージが湧かなかったが、なるほど、このMTは「R25/R3をネイキッドに仕立てただけ」のオートバイではない。MTシリーズの一員らしく、れっきとしたストリート指向の別車種として完成されていた。

画像: シリーズの一員にふさわしい「MTフットワーク」を継承
画像: ボディカラーは25、03ともに3色展開。レースブルーカラーとも言える「マットシルバー1」、上品な「レッドメタリック7」、シックな「ブラックメタリックX」の3色だ。

ボディカラーは25、03ともに3色展開。レースブルーカラーとも言える「マットシルバー1」、上品な「レッドメタリック7」、シックな「ブラックメタリックX」の3色だ。

純正アクセサリーもスタンバイ!

画像: 純正アクセサリーもスタンバイ!

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