2代目になってから、エンジンも足まわりもよりスムーズになったよね。(伊藤)
乗った印象を比較すると、初代は「単気筒が好き」というユーザーに向けて、シングルらしさを強調した仕上がりになっていたし、現行モデルは「単気筒でもこれだけ滑らかにできる」と、スムーズさを重視する方向に振った車輌だと思います。
カウルも変わって見た目の高級感を増していますし、サスペンションの動きも良くなっていますね。以前は、フロントサスの動きがバネのみで動いてる感じがしていたんです。それも現行モデルでは、明らかに良くなっている。工作精度が上がったのか、サスペンションオイルを変えたのか、理由はいろいろ考えられますが、しっかりダンピングが効くようになったし、しっとりしましたね。鉄フレームの影響もあって、排気量とエンジン形式のわりには車重がちょっと重いんですけど、重量でサスペンションの動きをフォローしていて、路面のインフォメーションをちゃんと伝えてくれる感触があるんです。おそらく車重がもっと軽かったら、同じサスでもポコポコ跳ねちゃうんじゃないかな。重いなら重いなりの良い面をうまく利用して、コスト面と乗り味を両立させていると思います。
ただ、シート形状を前下がりにして足着きを良くしているせいもあって、ボジション的に以前より後ろが上がった感があります。初期型のリアのイニシャルを2つくらい掛けた感じというか。リアを深く動かして車輌を安定させるのが好みなので、あまりこのポジションは好きではないですが、普通に走る分に違和感はありません。その辺は完全に好みの問題なんでしょうね。
とはいえ、滑らかになったエンジンをはじめ、初代からずいぶん良くなったのは確かです。じつはレースでも、新型になってラップタイムが2秒くらい上がったんですよ。それも納得できる変わりぶりだったし、僕は同じCBRシリーズのCBR400Rがかなり好きですが、イメージが似てるなと思いました。
街乗りも、いい意味で小排気量モデルらしく面白いです。僕はプライベートではFTRを街乗りにしてるんですが、気楽さが凄くいいんですよ。タイヤを温めなくてもフルバンクできるというか(笑)。CBR250Rにも、そういうノリで扱える気楽さがあります。カブ的な面白さ、「全開全開、また全開」みたいに乗る楽しさっていうのかな。立ち上がりの速さは排気量なりだけど、コーナーは本当に速くて楽しいです。鉄フレームだから、車体の動きやタイヤの限界もわかりやすい。サスペンションやエンジンのコントロール、トルクを使って制御することなど、ライディングの基本を学ぶのにすごくいいバイクだと思います。
正直、今回乗るまでは、次にCBR250RRが出てきたら魅力を感じなくなるのかなと思っていたんですが、あらためて「コレはこれでいいバイクだな」と感じました。コストパフォーマンスも優れています。
とはいえ、どんなバイクでも常に走っていたいタイプなので、ツインが出たら出たて、今度はCBR250RRでレースに出ようかな、なんて考え始めているんですけどね(笑)。
今回の燃費
走行距離:590.2㎞
給油量:18.96ℓ
燃費:31.1㎞/ℓ
PHOTO:柴田直行、南 孝幸 まとめ:斉藤ハルコ