初代が発売されたときワンメイクレースに参戦したんです、全国大会も行ったなぁ(伊藤)
※月刊オートバイ2017年1月号より
ツインエンジン搭載のニューモデル、CBR250RRの国内販売を待ち望んでいるライダーの皆さんも多いと思いますが、今回はあえて、現行モデルであるCBR250Rの実力を再検証してみたいと思います。CBR250RRの発売後も継続販売されると予想されているCBR250Rですが、じつは僕にとって、結構縁のあるモデルなんですよ。
というのも、CBR250Rのワンメイクレースである『CBR250Rドリームカップ』が始まった当初、レースの盛り上がりに自分も役立てたらいいなと思って、初代モデルで参戦していたんです。子供や若いライダーに混じって、地元のSUGOで開催されたレースは全部参戦しましたし、全国のシリーズ戦上位ランキング者が参戦できる、鈴鹿サーキットでの「グランドチャンピオンシップ」にも出場しました。SUGOで勝てたのは、雨のレースだった時の一度だけでしたけどね(笑)。やっぱり体重が重い分、たとえ後続ライダーと100m離れていても、上りのストレートで抜かされちゃう……ずっとその繰り返しだったんです。グラチャンの鈴鹿も、1コーナーからずっと上りなので、体重の軽い小僧たちに散々いじめられました(笑)。自分も子供たちもずっと全開で走ってるから、もう為す術がなかったです。
そんなこんなで初期型にはずいぶん乗ったんですけど、マイナーチェンジ後に乗ったのは今回が初めてでした。上質になったというか、かなり乗り味が変わったので、こんなにも熟成されたのかと驚きましたね。
もともと初代も、コーナーはすごく速いバイクだったんですよ。本当に驚くほど速くて、自分がレースに出た時も、「たぶん(全日本ロードレース選手権の)JSBクラスよりコーナリングスピードは速いんじゃないの?」って思ったくらい。だってSUGOの本コース・1コーナーを、5速で曲がっていけるんですから。そのくらいコーナーは速くて、シャーシのバランスが良かったですね。ただ、ちょっとパワー不足は否めなくて、裏ストレートの半分くらいでエンジンは吹けきっちゃってました(笑)。
現行モデルは以前に比べて2馬力アップしていますが、パワー不足が解消されたというよりも、フィーリングが良くなった印象です。以前は、言い方は悪いけどちょっとチープな印象というか「いかにも単気筒」な、独特のバタバタした乗り味だったんです。でも現行モデルは、ずいぶんと滑らかですね。上まで回せば振動は出てきますが、常用域ではあまり振動を感じないし、トルクもある。エンジンも結構変わっているようですし、トランスミッションのギアレシオも違います。バルブタイミングや、おそらくエンジンのマッピングも変えて、上質感を上手く演出していますね。CBR250Rのライバルとされる車輌は2気筒の250㏄が多いですが、上質さは単気筒よりツインの方が出しやすいんですよ。でも、それに近い上質感を作ってきたことに、今さらですが、かなり驚きました。
HONDA CBR250シリーズの変遷を再確認!
初代は2011年3月、新設計の鋼管トラスフレームに水冷4ストDOHC4バルブ単気筒250㏄エンジンを搭載した、新型軽二輪ロードスポーツモデルとしてデビュー。世界市場に適合するグローバルモデルとして、日本仕様車はタイホンダで生産された。2012年からワンメイクレースの『CBR250Rカップ』(翌年から『CBR250Rドリームカップ』に名称変更)がスタート。
2014年4月のマイナーチェンジではスタイリングを一新。エンジンも吸気系のインレットダクトとコネクティングチューブの形状、バルブタイミングの変更により最高出力29PSへとアップ、良好な燃費性能を実現させた。そして今年7月には、新開発の水冷4ストDOHC4バルブ直列2気筒250㏄エンジン搭載のCBR250RRを発表。日本国内販売は来年と予想されている。