ハイパフォーマンスの代表格としてその名を馳せる
ホンダのCBRシリーズは、最初にその名を冠したモデルがデビューしてから30年を超える長い歴史を持つ。
その間に125ccから1100ccまでの幅広いクラスをカバー、レプリカからツアラーまで性格の異なる多彩なモデルが登場してきた。
しかしその歴代CBRの中でも強い存在感と圧倒的なパフォーマンスで注目されているのは、CBR900RRをルーツに現行モデルのCBR1000RRまで発展してきた一連の大排気量スーパースポーツたちだろう。
80年代半ばから90年代にかけてのホンダのスーパースポーツの頂点に位置づけられていたのは、レースでも活躍していたVFR750F〜RVF/RC45のV4エンジンを搭載したモデルだった。
このV4路線と並行してホンダの伝統である直4エンジンを搭載したモデルとしてCBRも存在していたが、87年にデビューしたその最大排気量モデル・CBR750スーパーエアロは、スーパースポーツではなく、あくまでスポーツツアラー的なモデルだった。
90年代初頭には「鈴鹿8耐でRVF750に勝てるマシン」としてCBR750RRの開発が進められたものの、レースにはVFR系モデルが継続して使用されることになり、結局その開発は中止されてしまう。
そんな幻のCBR750RRをベースに開発され、92年にデビューすることになるのがCBR900RRファイヤーブレードだ。
750としてデザインされたコンパクトな車体へ、レースのレギュレーションに縛られず排気量を拡大、理想的なパワー特性を実現するエンジンを搭載するなど、レースに使用されないことを逆手に取ってさらに高性能を追求。その結果、切れ味鋭いハンドリングと優れた動力性能を併せ持った、従来の大排気量スーパースポーツの常識を覆すパフォーマンスを実現し、一躍このクラスの人気モデルとなった。