大変長らくお待たせいたしました、冬のテスト禁止期間を終えて、いよいよMotoGPのウィンターテストが始まりました!
舞台はマレーシア・セパンサーキットで、テスト初日はドライ。シーズンオフ中のトレーニング中に負傷した、レプソルホンダのニューフェイス、ホルヘ・ロレンソがテストに参加できなかったものの、テストライダーを含め総26人が参加した模様です。
トップタイムは、ワールドチャンピオン、マルク・マルケス(レプソルホンダ)が獲りました。マルケスはこの冬、左肩の脱臼癖を修正する手術を受け、そこからの復帰走行です。今回は、フィジカルトレーナーを帯同しての走行だったようですが、さすがの走り! もちろんこのテストは、まずは2019年シーズンを通して使用するエンジンスペックを決定するテストですから、タイムは関係ないとはいえ、いいタイムはいい、ってこと(笑)。ガムシャラにタイムアタックにはいかないんでしょうが、テストした結果がトップタイムだった、ってのはもちろん吉兆でしょうね。
2番手にはTeamスズキECSTARのエース、アレックス・リンス。スズキは2人ライダーがいるときでも、どちらかを「エース」と定義することを良しとしないんですが、チームメイトはルーキーのジョアン・ミル。リンスがエースだってことは、自他ともに認める事実でしょう。3番手にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジーヤマハ)で、4番手にはドゥカティサテライトチームのティト・ラバト(アビンティアレーシング)で、ここまでがセパンの「好タイム基準」である2分00秒を切っています。
以下の順位は下の表のとおりですが、気になることがひとつ。タイム順では下の結果表のとおりですが、ある順位ではマルケス、ビリから2番目に落っこっちゃうんですね。それが周回数です。周回数がいちばん少ないのは、レッドブルKTMのテストライダー、ミカ・カリオの20周でしたが、マルケスはそれに次ぐ29周。カリオの20周は、テストライダーゆえ、テスト項目の多いマシンで周回していたから走ってばっかり、とはいかなかったんでしょうが、マルケスの周回数は、やっぱり左肩の術後の経過を見ながら、ってことだったんでしょう。
「長い冬明けにマシンに乗れてうれしいね。でも、もう少しうまく乗れると思ったんだけどな。1~2周ならOKだけれど、まだ全力で走ってないし、すこしライディングスタイルも変えないと。テストはあと2日あるから、そのためにも今日は早く切り上げたんだ」とマルケス。負傷明けに、様子見で早く切り上げた、そこで様子見る、なんでもなければいいな、ってところが現状でしょう。ひと晩寝て、痛みが出てきちゃうとか、普通にありうることですからね。
日本人ライダー、中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU)は初日7番手につけています。これもテストメインの走行の初日順位としては上出来! マルケス、ロレンソ、そしてタカのチームメイトであるカル・クラッチロウは2019年モデルのRC213Vをライディングしますが、タカは昨年マルケスがワールドタイトルを獲得した2018年型で走ります。
これ、2018年の日本GPでクラッチロウに聞いた時に、こんなこと言ってました。
「タカアキが(2018年に)走ってるRC213Vの2017年モデルは、ちょっとエンジンにクセがあって乗りにくいと思うんだ。来年(つまり今年ね)、タカアキは2018年モデルで走ると思うんだけど、走りは変わると思うよ」(クラッチロウ)
その予言が的中して、タカは2018年のスペイン・ヘレスでの最終テストをトップタイムで終えるわけですが、まずはいい位置からスタート。テスト最終日の午後には、みんなタイムアタックに入るでしょうから、そこでの順位も気にしてみたいですね。
ひとまずテスト初日はこんな感じです。写真を見る限り、うお、ニューマシンだ!!って車両は少ないんですが、今日は2018年シーズン明けにイッパツ走った「2019年型になりそうな」プロトタイプや、進化の方向性のチェック、って面が大きいでしょうから、初日より2日目、2日目より最終日、そしてセパンより次回のカタールテストの方が2019年モデルっぽい進化が見て取れると思います。ではまた明日♪
写真/motogp.com 文責/中村浩史