「CB」とはいつの時代も人々が憧れるものだ

「ベンスパ(ベンリィスーパースポーツ)」CB92誕生から60年。

結局CBというブランドはどんな意味を持つのだろう。もちろん、きちんと系統立ててCBとネーミングされたモデルばかりではないのは百も承知。

この60年の歴史の中には、これは本来CBの範疇に入るべき、逆にこれはCBにしては異色だ、というモデルもある。

そのヒントはやはりベンスパの後に発売されたCB72に行きつく。

ナナニイは、かの4ストロークエンジンチューニングの神、故・吉村秀雄さんが惚れ込んだことでも有名な250㏄のモデルだ。

9000回転という超高回転で24馬力、つまりリッターあたりほぼ100馬力をマークし、最高速度は150㎞/hオーバー。

キャッチフレーズは「トップ(4速)70㎞/h以下では走りません」という刺激的なものだった。

ベンスパと同様、それまでは国民の便利な移動手段でしかなかったオートバイという乗り物を、趣味のものとして方向転換したナナニイ。

それまでのホンダモデルの代名詞でもある、プレス鋼板バックボーンフレームは鋼管パイプのダイヤモンドフレームとなり、テレスコピックフォークを採用、早くもこの時期、リアサスはプリロードを3段階に調整できた。

同時にナナニイにはY部品と呼ばれるレース用パーツも用意され、レースを始める腕自慢も増え、ナナニイでレースを始めた、という後のプロライダーもたくさんいたほどだ。

この時の「CB」というネーミングは、ホンダの誇る最高峰モデル、という意味合いだろう。

やがてCBは、車名の末尾に排気量の数字を抱くようになり、この頃のCBには、ナナニイのような手の届かないイメージはなく、それでも65年に登場したCB450、69年のCBナナハンなど、やはりCBはホンダを代表するオートバイ、というイメージだった。

70年代中盤となると、ホンダも他機種ラインアップをスタートし、「CB」とは各クラスにあふれるラインアップのシリーズ名であり、80年代になるとCBを超える存在の車名さえ生まれてしまった。

けれど、歴史上のCBを眺めると、共通項を感じることがある。もちろん一部を除いてだけれど「ホンダらしい」「スポーツ心を持った」「運転することが楽しいオートバイ」そして「カッコいい」ことがCBの共通項である気がしてならないのだ。

「C」はモーターサイクルのC、「B」はクラブマン(=アマチュアのバイク好き、的なイメージ)という説が有力とされている語源どおり、CBとは、昔も今も、バイク好きが憧れるオートバイ、なのである。

初代CBことベンスパから、さらにさかのぼること13年。

1946年9月のある日、ホンダの創始者、本田宗一郎さんは、友人宅で小さなエンジンと出逢う。

無線機に使う発電用の2スト50㏄エンジンだった。

画像1: 「CB」とはいつの時代も人々が憧れるものだ

「これを自転車に取りつけて補助動力に使おう」

そう考えた宗一郎さんは、払い下げの発電機用エンジンを集めては、自転車取付用に改造して販売をスタート。

画像2: 「CB」とはいつの時代も人々が憧れるものだ

翌47年には、自転車補助用エンジンを自社で製造し、販売することになる。

これをホンダA型といった。

今となってはネーミングの意味は定かではないが、第2号車をB型、3号車をC型と名付けたから、これは世に送り出した順番なのだろう。

しかし、焦土にあった日本にモータリゼーションを持ち込んだホンダA型こそ、本当の意味のCBなのかもしれない。

参考文献/語り継ぎたいこと : チャレンジの50年 本田技研工業

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