価格だけではない特別感執念が生んだ「別格」の存在
ホンダが世界GPにカムバックを宣言した1977年。その際に掲げた目標のひとつに「革新技術の創造」があった。
それは、当時、2ストマシン全盛の世界GPにおいて、明らかに不利だと思われる4ストマシンで挑戦することだった。
この挑戦に集められたプロジェクトチームが「NR(New Racing)」。
これがNRが誕生するきっかけである。
NR500での世界GPの挑戦は、NS500の投入でフェードアウトしたが、87年にNR750がオーストラリアのレースに登場。1000㏄のレーサーを相手に勝利を掴む。
その5年後、ついに世界初の楕円ピストンを採用した市販車、NRが国内市場に登場する。
一般市販化にあたり、ワークスマシン時代の「New Racing」から「New Road sports」へと定義を変更。
RC30との競合を避けるため、フラッグシップスポーツとして、エンジンからシャシー、装備類、外装に至るまで、当時の最先端技術とマテリアルを集結して完成させた。
価格は520万円。
トヨタ・クラウンの最高級グレードのロイヤルサルーンが411万円の時代に、その値付けができるのは、いかにNRがプレミアムモデルだったのかが分かるだろう。
SPECIFICATION
■全長×全幅×全高:2085×890×1090㎜
■ホイールベース:1435㎜
■シート高:785㎜
■乾燥重量:223㎏
■エンジン形式:水冷4ストロークDOHC8バルブV型4気筒
■総排気量:747㏄
■ボア×ストローク:101.2×50.6×42.0㎜
■圧縮比:11.7 : 1
■最高出力:77PS/11500rpm
■最大トルク:5.4㎏-m/9000rpm
■燃料供給方式:PGM-FI
■燃料タンク容量:17ℓ
■変速比:1速 2.666/2速 2.125/3速 1.777/4速 1.500/5速 1.380/6速 1.240/
■キャスター角/トレール:24°30'/88㎜
■変速機形式:6速リターン
■ブレーキ形式 前・後:ダブルディスク・ディスク
■タイヤサイズ 前・後:130/70ZR16・180/55ZR17