ラスト2周でついにマルケスがアタックを開始したか、ドビツィオーゾがほんの少し膨らんだスキにトップに浮上しますが、ドビツィオーゾも後方にピタリ。いよいよラストラップ、という1コーナーでも、ストレートでマルケスをかわしたドビツィオーゾがトップに出ますが、またマルケスが抜いて、って繰り返し。去年もおととしも何度も見た、最終ラップの「マルケスアタックvsドビツィオーゾのいなし」バトルが始まりました。ストレートでドビツィオーゾが速いのは分かってるから、マルケスはインフィールドで抜いておかないと!
そして最終ラップ、ドビツィオーゾ→マルケスのテールtoノーズ、後方にクラッチロウとリンスがテールtoノーズでバトルしている間に、マルケスが10コーナーで1回前に出るも、すぐにドビツィオーゾがトップに再浮上、ならばとマルケスは、また最終コーナーでドビツィオーゾのインに潜り込みますが、マルケスが立ち上がりでやや膨らんだスキに、ドビツィオーゾが逆転してフィニッシュ! 最終コーナーからフィニッシュラインまでの数100mで、マルケスはドビツィオーゾを抜き返すには至らず、ドビツィオーゾが2年連続開幕戦優勝! 去年の開幕戦とまったく同じように、僅差でマルケスが2着となりました。
優勝:アンドレア・ドビツィオーゾ
「レース前まではあまりいいフィーリングじゃなかったから、優勝できてうれしいよ。レースは、きっとマルクと最終ラップでの戦いになるとは思っていた。最後に1回シフトミスで前に出られたけど、そのおかげで前に出たマルクのリアタイヤが厳しそうだな、ってわかったんだ。僕の戦略ははっきりしていて、それがうまくいったね。レースでは、リンスがすごく前に出たがっていて、でもそれを追っちゃうとタイヤが持たなくなるから、なんとかリンスを封じ込めた。リンスはコーナリングスピードが速くて、僕はそこが遅いもんだから、なんとかストレートスピードで封じることができた。そこがレースのカギ。それが最後のマルクとのバトルに役に立ったんだ。最後はやっぱりマルクなら来るな、と思った。他のライダーなら仕掛けてこないよ。だから最終ラップはそこに備えていたんだ。マルクはオーバースピードだったし、進入で詰められても脱出で離せると思ったからね」
2位:マルク・マルケス
「またマルケスが来た!っていうフィニッシュになったね。去年のリプレイを見ているようだった。レースは、僕らが履いたフロントのミディアムタイヤには難しいものだった。それをマネージしながらのレースだったんだけれど、リアタイヤのスピンが激しかったんだ。それでも、このサーキットで本当に速いドビツィオーゾにギリギリまで迫っての2位だから、まぁよし。僕らはもっと速くなるよ。最終コーナーは、ドビツィオーゾもギリギリまでブレーキを遅らせてきたから、無理やりインをついてふくらんでしまったんだ。このサーキットは、ラインを外すとダスティだから、無理にラインを戻すのは危険なんだ。最後の直線も届かなかったね。この週末は、コースコンディションがよくなくて上手く進められなかった面もある。それでも2位になれて20ポイント獲得。サバイバルレースを生き残れたね!」
3位:カル・クラッチロウ
「レースに復帰できただけでもうれしいのに表彰台に登れるとはね。シーズンオフテストは上手くいかなかったから、このレースは一生懸命に作業したんだ。だから、レース前に表彰台イケるか?って尋ねられていたら笑っちゃってただろう。持っているもの、すべて出してのレースだったよ。リアタイヤをセーブしながら、っていう点ではマルクも同じだっただろうけどね。チームにとって、カタールのみんな、ウチでテレビを見ている人にとって最高のスタートだろうね。MotoGPっていうのはこういうバトルで、ここにいられて、しかも表彰台に登れるなんて最高なことだ。(去年のケガで)本当に戻ってこられるかどうかさえ分からなかったんだからね」
去年までのパワーバランス、冬季テストの結果を見れば、わかるひとにはわかるこの順位。もちろん、いくつかのナゾ、たとえばビニャーレスのペースが上がってこなかったこととか、対照的なロッシの追い上げとかがあったし、リンスの前評判どおりの戦闘力、ミルの躍進、ピットスタートでも驚異的なペースで走り続けたファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)の底知れぬスピードなど、新しいシーンもたくさん見られた開幕戦でした。やっぱり、レースはこうでなくっちゃ!
■MotoGP開幕戦 予選決勝レース結果■(※暫定)
1 アンドレア・ドビツィオーゾ ドゥカティ
2 マルク・マルケス ホンダ +0.023s
3 カル・クラッチロウ ホンダ +0.320s
4 アレックス・リンス スズキ +0.457s
5 バレンティーノ・ロッシ ヤマハ +0.600
6 ダニロ・ペトルッチ ドゥカティ +2.320s
7 マーベリック・ビニャーレス ヤマハ +2.481s
8 ジョアン・ミル スズキ +5.088s
9 中上貴晶 ホンダ +7.406s
10 アレイシ・エスパルガロ アプリリア +9.636s
※暫定、と記してあるのは、決勝結果に審議が入ったからです。なんでも、ドゥカティのマシン、デスモセディチGPに取りつけられているパーツについて、違法空力パーツではないか、とホンダ、スズキ、KTM、アプリリアから抗議が入ったそうで、FIMが審議中だ、とのことです。しかし、実はあれ登録時の車両仕様から「取り外す」はOKで「取り付ける」はNG。でもスイングアームへの取り付けはOKだったはずですが……。
(※2 3/26 正式結果となりました)
写真/motogp.com MICHELIN 文責/中村浩史