初めて4メーカーが一つになって協働を開始
交換式バッテリーとバッテリー交換システムの標準化を目指す

4月4日、都内で行われた説明会において、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国産二輪4メーカーが、日本国内における電動二輪車の普及を目的とした協議体「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を創設したことを発表した。平たく言えば、これからの電動二輪車用の交換式バッテリーやフォーマット、交換システムを一緒に作っていこうじゃないかというものだ。我々、ライダーにとっては驚きの光景であるが、これからの未来のために4メーカーが力を合わせて、大きな一歩を踏み出したのだ。

画像: 初めて4メーカーが一つになって協働を開始 交換式バッテリーとバッテリー交換システムの標準化を目指す

日本国内で安心・安全なモノとシステムを生み出し
東南アジアなどでの普及も視野に

四輪の世界では既にハイブリット車や電動モデルが一般的になっているが、まだまだ物珍しい状態と言っても過言ではない電動二輪車。ホンダでは1994年に電動スクーター『CUV ES』をリース販売するなど実は歴史は古いのであるが、電動二輪車は決して根付いているとは言えない。その大きな理由のとして考えられているのが、航続距離と充電時間、そして、車両価格とインフラコストだ。

画像: ホンダ CUV ES (1994年3月10日発売)官公庁や地方自治体などに200台の限定発売を行ったモデル。

ホンダ CUV ES (1994年3月10日発売)官公庁や地方自治体などに200台の限定発売を行ったモデル。

そのなかで、航続距離や充電時間の課題解決に有効だと考えられるのが「交換バッテリー」。その交換バッテリー、そして交換システムの仕様を4社が一緒になって検討し決定、日本国内での標準化を進めていくのが、このコンソーシアムの創設の大きな目的だ。今回はまず国内における原付1種・2種のコミューターでの標準化を目指している。

都心と郊外では整備環境や使用環境も大きく違う日本において安心して使える交換式バッテリーや交換システムを標準化することがクリアできれば、まだまだ電動二輪車の法規的な部分が整っていない発展途上国など、各メーカーが二輪の大きな市場と捉えている国々での普及も可能となり、今後の展開も視野に入っているようだ。

画像: 本田技研工業株式会社 二輪事業本部二輪事業企画部 部長 三原大樹氏

本田技研工業株式会社 二輪事業本部二輪事業企画部 部長 三原大樹氏

画像: ヤマハ発動機株式会社 MC事業本部戦略統括部 統括部長 有西達哉氏

ヤマハ発動機株式会社 MC事業本部戦略統括部 統括部長 有西達哉氏

画像: スズキ株式会社 二輪カンパニー二輪企画部 部長 福留 武志氏

スズキ株式会社 二輪カンパニー二輪企画部 部長 福留 武志氏

画像: 川崎重工業株式会社 モーターサイクル&エンジンカンパニー企画本部 渉外部 部長 古橋 賢一氏

川崎重工業株式会社 モーターサイクル&エンジンカンパニー企画本部 渉外部 部長 古橋 賢一氏

あくまでも交換式バッテリーとそのシステムについて
モデルは各社の考えのもと、それぞれが魅力あるモデルを開発

今回、発表されたコンソーシアムはあくまでも、交換式バッテリーとそのバッテリー交換システムの標準化の検討を進めて、我々、ユーザーにとって使い勝手が良いものを生み出すための協議体。各社のエキスパートが40名ほど集まり、月に一回以上、各社の持っている技術を持ち寄って、ユーザーにとっての使い勝手を議論し、仕様を決めていくものだ。決して、4社で電動モデルを開発するということではないので、これまで同様に各メーカーがそれぞれ魅力あるEVモデル開発し、我々ユーザーに提供していくことになる。

4メーカーそれぞれを見ていくと、既に電動モデルに積極的なホンダはPCXのハイブリットモデルを市場投入し、電動モデルも発表した。さらに、3月に行われた東京モーターサイクルショーでは『CR ELECTRIC PROTO』『BENLY ELECTRIC 』も発表され、新たな領域の電動モデルとして大きな話題となっている。

ヤマハはGogoroと台湾市場でEVビジネスの協業を発表し積極的な動きを見せる一方で、E-Vinoで旅をする『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』で電動二輪車の存在を大きく知らしめている。

現在はまだまだ電動二輪車に対して積極的な動きをみせていないスズキやカワサキだが、今回のことがモデル開発のきっかけとなる可能性になるかもしれない。今回のケースは国内での原付1種・2種の領域であるが、近い将来、交換式バッテリーとシステムが普及し、ステーションなどのインフラが整備されれば、スズキがGSX-Rの電動モデルや、カワサキがZの電動モデルを作る可能性がゼロとは言えないのだ。そう考えると電動二輪車はどんどんと面白くなってくる。

画像: あくまでも交換式バッテリーとそのシステムについて モデルは各社の考えのもと、それぞれが魅力あるモデルを開発

電動二輪車の普及で迎える低炭素社会への動きは80年代を経験したライダーたちからすると、少し寂しいもののように感じるかもしれないが、これまでは想像もしなかった「国産4メーカーの協働」が現実となった今、未来はもしかすると想像もできないような、魅力的な電動二輪車の世界が広がるかもしれない。そんな期待を胸に二輪の未来を待とうじゃないか。

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