21ozデニムの生みの親が新たに挑戦したのは「ヘビーオンス×ストレッチ」という両立困難な新デニム生地!
有限会社ワークスが4月6日(土)、神奈川県葉山で行なわれたイベント「Ignition Ride 3rd.」でこれから展開される新ブランドの製品を国内初公開しました。
ワークスの代表を務める原木真一氏は、株式会社アイアンハートの代表を務めていることでも知られています。「IRON HEART」(アイアンハート)といえば、デニム好きの間で評判のヘビーオンスデニムのパイオニアです。
通常、ジーンズに使われるデニムが12~13ozなのに対し、21ozという極厚デニムを日本国内で開発。ジーンズやデニムジャケットに使い、その強度と耐久性から、バイク乗りにも絶大な支持を得ています。
そんなヘビーオンスデニムの火付け役が、次にどのようなアクションを起こすのか。
神奈川県葉山町「Dark Arts Coffee Japan」で行なわれた新ブランド発表会を含むイベント「Ignition Ride 3rd.」に多くのファンが駆け付けました。
そして、発表された新ブランドはこちらです!
ブランド名「Ignition」(イグニッション)
あれ? 19ozって薄くなってない? と思った方も多いでしょう。
じつはこのジーンズには、ストレッチデニムが採用されているのです!
同じ素材を使い、アウターの展開も予定されています。
ヘビーオンスのストレッチデニム。
その開発には、納得のいく生地の製作に約1年、製品として形にするまで約1年、ここまでたどりつくのにトータル2年以上の歳月を費やした、と原木氏は語ります。
ストレッチデニムは現在すてに二輪用品業界で流行しています。ただ、「ヘビーオンス×ストレッチ」のデニムというのは、これが初めてでしょう。
ストレッチデニムのメリットは運動性の高さです。楽で快適ですよね。ただ、デメリットとして、耐久性の低さが挙げられます。
ジーンズの場合、ヒップポケットに長財布を突っ込んでいると、通常のデニムより早くダルダルになってしまったりするんですよね(そんな経験ありませんか?)。
その問題を解消し、丈夫さとストレッチ性を両立させることなどできるのでしょうか? 原木氏はこう答えています。
「現在流通している一般的なストレッチデニムのストレッチ性を100とするなら、イグニッションのデニムはその8割を捨てました。強度を優先させるため、ストレッチ性は20%程度としています」
そんなことができるんですね! まあ、だからこそ、サンプリングを重ね、ここまでくるのに2年以上の歳月がかかったのでしょう。ストレッチ性能を残す割合も徹底的に比較されたそうです。
実際に完成した新品のジーンズを触ってみると、ストレッチ性というものは、ほとんど感じられません。「穿けばすぐ分かりますよ、こうなります」と原木氏が、自身の穿いているジーンズを触らせてくれました。
たしかに既存のアイアンハートのデニムよりも柔らかく、伸縮性もありました。その上で、厚みはしっかりしていて重厚感は損なわれていません。
早く穿いてみたい! と思ったファッショニスタさんも多いでしょう。この「Ignition」ブランドは、2019年秋に日本ではなく、アメリカから展開する、と同時に発表されました。
「日本は世界一のものづくり大国だと思っています。このデニムの品質の高さをまず、ジーンズ発祥の地アメリカで証明したい」と原木氏は解説。
まずは米国で先行販売、日本での展開はその1~2カ月後、2019年冬を検討しているとのことです。
もともとアイアンハートはすでに海外でもその製品のクオリティが認められ、年々販売率を伸ばしています。イグニッションの製品もまず間違いなく受け入れられることでしょう。そして逆輸入のようなかたちで日本でも展開されていきます。
このジーンズ「19oz Blue Stretch」の予定価格は350ドルとのこと。
同時にストレッチではないものの、従来よりも柔らかい生地を使ったブラックデニムの「20oz Black Taperd」も325ドルで発売されます。
米国での販売を請け負うのは、日本が誇るカスタムメーカーの「KEN'S FACTORY」。カリフォルニア州にあるオフィス「KEN'S FACTORY USA」が現地での販売元を担います。
ジーンズが看板商品となりますが、デニムジャケットやメッシュジャケット、サーマルなどアウターやインナーも展開予定。総じてアイアンハートよりさらにライダー向けの製品がラインナップされていく見込みです。
発表会の最中、原木氏がたびたび「アパレルではなく、うちは“メーカー”という言葉を大切にしています」という口にしたのが印象的でした。maker、makeする者、つまり作り手、製造者。
その言葉からは、デザインだけではなく、生地作りから始めていることへの矜持と、生産者としての責任感がうかがえました。日本で展開される2019年の冬が待ち遠しいですね。
ちょうどヘビーオンスのデニムが履きたくなる時期に国内販売されることを願ってやみません。