クラシックスタイルと最新パフォーマンスの融合
RnineTはBMW初のヘリテイジスポーツモデル。
今ではフレームとタンク、エンジンを共有するバリエーションモデルが派生し、かつてのデュアルパーパステイストをあしらった「スクランブラー」や「アーバンG/S」、カウル付きのカフェレーサーテイストモデル「レーサー」、シンブルな「ピュア」といった一大ファミリーを構成している。
不思議なモデルで、たとえば、スタンダードのRnineTの場合、見る角度を少し変えるだけで様々な時代のボクサーの面影が見え隠れする。
しかし、何か特定のクラシックモデルに似せようとはしていない。
似せるというか、はっきりとしたクラシカルモデルのビンテージテイストを主張しているのは、ここから派生した4機種のバリエーションモデルたちだ。
どれも基本的には街中からツーリングでの使用途を意識したファッショナブルなストリートモデルに仕上がっている。
欲張らず、日常的な使い方に枠を定めたことで、その範疇の中ではどれも面白いほど個性が際立つ走りっぷりを披露する。これがこのシリーズの最大の魅力だ。
搭載する空油冷4バルブのエンジンはトルクみなぎるフラットな出力特性のもと、ピークでは110馬力を発揮する。
これをしっかり駆使すれば、侮れない速さを生むだけの力だ。でも、そんな味付けはどのバリエーションモデルもやっていない。
目指したのは、間違いなく等身大の使いやすさ。ただカタチだけオシャレに決めるのではなく、過去のクラフトマンシップが造り上げた造形の魅力にこだわりながら、過去の性能に囚われることなく、最新のストリートモデルとして上質な走り、使い勝手を求めていると言っていいだろう。
シリーズ中でスポーティバージョンとして位置付けられるRnineTのみ、フロントに倒立フォークを採用するが、頑丈過ぎていくらかオーバークオリティな剛性バランスになっている。
それ以外のモデルはしなやかな正立フォークを採用していて、これが走りに大きな違いを生んでいる。
THE ORIGIN OF “RnineT”
R90Sで印象的だったのは最高速。当時スペックとして最高速度が表示されていたが、この90Sは「最高巡航速度190㎞/h以上」と出ていた。インパクトは大きかった。
小さなビキニカウルを装備し、このデザインを真似た汎用カウルが色んなところから売り出されていた。
BMW初のデュアルパーパスモデル。
現在のGSシリーズの出発点と言うべきモデルだ。
さらに個性的なモデルをラインアップ!
RnineTから派生した兄弟モデルたちで、基本構成は右ページのG/Sも同様。
ロードスター、カフェレーサー、スクランブラーと、その個性は色々だが、共通しているのは、いずれも正立フォークを採用し、しなやかな乗り味を追求していることだ。
BMW RnineT
2014年に登場したBMWのヘリテイジスポーツシリーズ最初のモデルがこのRnineT。
ちょうどボクサーツインエンジンに水冷化の波が押し寄せてきた時期で、主力モデルが一斉にエンジンをスイッチする中で生まれたネオクラシックスポーツだ。
モチーフとなったのは下で紹介した当時の最速モデル・R90S。
ヘリテイジと言う割に装備は本格的なスポーツ指向で、倒立フォークはスポーツネイキッド、S1000Rのものを使用していた。