欧州の市場で磨かれたトータルバランスのよさ
ほどよくコンパクトで取り回しやすく、実用的にストリートユースをこなせて、ストレスなくロングランも楽しめ、その気になればワインディングでも十分以上に速い。
しかも、パワースペックや性能を考えたら価格もリーズナブル。
バイク選びに理想的な条件がそろっているのが、このミドルクラスのスポーツネイキッドたちだ。
もともとは欧州を中心に高い人気を得ていたこのカテゴリー。
初期のころはSS由来の600㏄エンジンを搭載するモデルが中心だったが、さらなる扱いやすさを求めて排気量は徐々に拡大され、現在では650〜700㏄の排気量帯が中心となっている。
近年ではヤマハのMT-07が大ヒット。スズキは円熟のVツインエンジンを搭載したSV650をリニューアルし、カワサキもER-6シリーズの後継となるZ650を投入。
そして今年、ホンダからクラス唯一の4気筒モデルとしてCB650Rが登場した。
いずれのモデルもオールマイティな優等生だが、乗り味にはそれぞれの個性がしっかり備わっている。
どのモデルが自分好みかじっくり比較して、ピッタリの相棒を見つけよう。
クラス唯一の直4スポーツ!
HONDA CB650R
CB650Fのエンジン、フレームに手を加えられて登場した新型がこのCB650R。「ネオ・スポーツ・カフェ」シリーズ独特のスタイリングが印象的なモデルだ。
ライバルたちがツインなのに対し、このCB650Rは直4エンジンを搭載。スロットル操作に対する応答は優しく、3速や4速、2000回転あたりでゆっくり流していても、そこから一気にダッシュできる粘りとスムーズさを誇る。パワーバンドの核は8000〜1万2500回転。スタンダードなNKモデルとしては、パワーはさすがに強力で、この回転域を駆使すると速さが際立つ。
ハンドリングは身軽。動きがダイレクトで、機敏な身のこなしができ、よく曲がってくれる。このクラスのネイキッドはおおかた良好な旋回性を持っているが、CBは極低速域から4速全開で走るようなコーナリングまで、良好な旋回性を安定してキープできる。この高速スポーツ性能は大きな魅力だ。操縦性も素直で、サスやフレームのタッチもしなやか。等身大なハンドリングのレベルから逸脱することのない、フレンドリーな特性で、誰でも身構えずに使い切ることができる。
ライバルたちに対し、このCBの抜きん出ているところは動力性能と高速レンジでのスポーツ性能。その光る部分を、誰でも簡単に使いこなせるようまとまっているのがすばらしい。乗り手のスキルも、使い方も選ばないオールマイティスポーツだ。
SPECIFICAITON
全長×全幅×全高 2130×780×1075㎜
ホイールベース 1450㎜
最低地上高 150㎜
シート高 810㎜
車両重量 202㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 648㏄
ボア×ストローク 67×46㎜
圧縮比 11.6
最高出力 95PS/12000rpm
最大トルク 6.5㎏-m/8500rpm
燃料供給方式 PGM-FI
燃料タンク容量 15L
キャスター角/トレール量 25度30分/101㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ310㎜ダブルディスク・φ240㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・180/55ZR17
RIDING POSITION 身長:176㎝ 体重:68㎏
欧州のストリートファイターのような、幅が広く絞り角の少ないハンドルを使っているがまとまりが良い。前傾姿勢だが非常に自然。
シートからタンクはスリムでホールド性もいい。足着きも良好だ。
DETAILS
パワフルだが、全てが穏やかな性格だったCB650Fをリニューアル。
活気のあるエンジンと応答のいいハンドリングを生むシャシー、足まわりを一気に手に入れた。
光るのはアタマひとつ飛び抜けた動力性能だが、エンジンは穏やかな反応だし、ハンドリングにもクセはなく、操作系の応答はこれまで通り穏やかなまま。
扱いやすさはそのままに、走りにスポーティな色気を加え、個性的なデザインを身にまとったスポーツNKだ。