便利なだけじゃないゲンニの魅力再確認
朝7〜8時台の幹線道路では、昔っからツーキンバトル(バイクたちの通勤ですね)が行なわれている東京。多い時間帯には、信号待ちに10台ものバイクが停止線にビッシリ、なんてこともしょっちゅうある。
ここに、この1〜2年、ちょっとした変化があらわれている。ツーキンバトルの主役は、古くは原付スクーター、そのうちトラッカーやSRの時代もあったし、ビッグスクーターばっかりの時代もあった。
それが今、ツーキンバトルはピンクナンバーだらけなのだ。ピンクナンバー、つまりゲンニ=原付2種。ホントに今の東京の朝の幹線道路は、ゲンニモデルであふれている。
あんまりほめられたことじゃないけれど、朝の渋滞をすりすりっとスリヌケして信号待ちの停止線に並ぼうとすると、ピンクナンバーだらけ、なんてことすら少なくないのだ。
それも一時期、圧倒的ツーキンキングだったアドレスV100(2ストの頃ね)時代と違って、今はスクーターばかりじゃないのも特徴だったりする。
火をつけたのはGROMやクロスカブで、今ではスーパーカブC125やGSXーS125なんてスポーツモデルも混じっている。
ゲンニスクーターの便利さは誰もが知っているけれど、スクーターじゃない、ギアつきゲンニの楽しさにもみんな気づき始めているのかもしれない。
つい先日、総務省が発表した「原付モデルの全国保有台数」最新データ(18年4月1日現在)では、原付一種(50㏄)が32年連続減少の535万台だったのに対し、ゲンニ(51〜125㏄)は15年連続増加の175万台なのだという。
もちろん、これは「保有台数」だから、ナンバープレートが付いている登録車総数をあらわすもので、ナンバーはついているけどサッパリ乗ってない、なんて車両も入っている。
それでも、実感として「ゲンイチ減少ゲンニは増加」がデータとして表れているのだ。
ちなみに、日本のオートバイ保有総台数は1073万台で、そのうちゲンイチがほぼ50%を占め、ゲンニは約16%なのだそう。(データはすべて、「二輪車新聞」の調べによるものです)
ゲンイチに比べて、通行区分やスピード制限のデメリットがなく、250㏄や400㏄、さらにビッグバイクに比べると維持費が安く、軽量コンパクトで乗る人を選ばない、それがゲンニの大きなメリットだ。
けれど、どうしたってゲンニは「仕事の相棒」感が少なくなく、便利な移動のアシなんてイメージも根強い。
高速道路や有料道路に乗れないしね、なんて声も多いけれど、ならばゲンニを遊びの足に使ってやろう!
ちなみに筆者ナカムラは、125㏄ブレイクのきっかけになったKTMの125デュークを衝動買いして、現在125㏄スポーツ2台目のホンダCB125Rを所有。
ゲンニの面白さに目覚めたひとりなんです!
【メリット01】ストリートのスピードに乗れる!
原付一種(50cc)が制限速度30km/hなのに対し、ゲンニはクルマと同じで、道路標示法定速度で走ることができる。
他にも50ccは左側車線を走らなければならないし、2段階右折義務があるケースもあるのに対し、ゲンニにはそれがない。
一般道の、他のクルマの流れにのって走ることができるのだ。
東京→横浜の電車賃で東京→湘南を往復できます!
ゲンニに「便利なアシ」のイメージしかないなら、遊びに使ってやろう、というのがこの企画。
当代きってのスポーツ、スクーター、レジャー、そしてビジネスバイクの代表機種を集めて、編集部からビーチ(神奈川県の江ノ島)まで、片道60㎞のショートツーリングだ。
ビッグバイクで高速道路使って行けば、2〜3時間で帰ってこられちゃうところに、半日たっぷり費やす贅沢。こんなツーリングも悪くないよね。
もちろん高速/有料道路は使えない。一般道をのんびりと、休憩を挟みながらの片道3時間(笑)。平均速度は30㎞/hを下回る一般道ツーリングだ。
意外だったのは、そんなツーリングでも、ゲンニは一般道のスピードに乗って、なにひとつ不便のない走りができたこと。
これは、基本的に左レーンを走らなきゃならなくて、30㎞/h以上出しちゃいけないゲンイチの不自由さとは大違い。
「クルマの流れに乗って走れるのが大きいですね。原付だと30㎞/h制限でびくびくしながら、大型トラックどころか、ミニバンにだって追い抜かれるのが怖いです」というのは、RG50で横浜→岐阜ツーリングをしたことがあるという石神くん。
さらに、一級国道をスイスイと走っていくルートには、当然のように高速道路移動では見られない街並みも見られるし、あれこんなところにこんな道が、おぉシャレたカフェがあるじゃんか、なんて発見もある。
ハッキリ言って、なんの苦労もなく走破できた片道60㎞。
そりゃぁ時間はかかるけれど、ゆっくりのんびり走るなんて贅沢は、いつもセカセカ過ごしている日常生活とはちょっと違う、これもひとつの非日常だ。
ミニサイズだって、ちゃんと休憩をとれば、お尻だって痛くない、おじさんの腰や背中だって悲鳴を上げない。
ライポジがいちばんキツいGSXーRだって、連続2時間でも平気だった。
ちょっとご飯食べに行こうか、なんて走った往復6時間の半日ツーリング。帰ってきてもうひとつ驚いたのは、やっぱり驚異の好燃費。
スーパーカブC125だと、給油たったの2・2L! レギュラーガソリン300円ちょっとで、東京→湘南を往復できるとは! 300円なんて、JR京浜東北線で東京から横浜へだって行けない料金なのに!
ビッグバイクで一日500㎞をヒュッと移動することは楽しい。
けれど一般道オンリーで、平均時速30㎞/hを下回るツーリングだって、オートバイの楽しさのひとつなのだ!
【メリット02】省スペース&ハイコスパ!
駐車スペースに苦しむバイクに対し、大きさ的に原付扱いのゲンニは「そこにおいてもいいよ」的優遇があるケースが多い。
写真は、今回のツーリングでお邪魔した「江ノ島小屋」で、駐輪場はないものの、お店の方が「この大きさならここに停めていいですよ♪」と許可をいただきました。
ほか維持費、任意保険の費用が安く、同じ免許枠の250ccと比較して、車両価格も安く燃費もいいケースが多いのもゲンニの大きなメリット。
ギアチェンジがおもしろい!大林和恵
HODNA SuperCub C125
スーパーカブには初めて乗りました。
あのシーソー式ミッションは知ってたんですが、操作は初めて。慣れたらすっごくラクですね。
エンストしないし、なにしろクツが傷まないし、ヒールだって履ける。
女子はスカートで乗りたい時だってあるから、スーパーカブならギリ、大丈夫そうです(笑)。
私は免許を取って250TR、愛車歴はそれだけなんですが、125㏄って自由さがいい。
今回のツーリングだって、まわりの流れに乗って走れるし、のんびりが気持ちよかった。
スーパーカブは郵便局とか新聞配達、オジサマのイメージが強かったけど、このC125は上品だしオシャレに乗れそうです。
DETAILS
見た目の質感も高いアルミキャストホイールとフロントディスクブレーキが、C125のクオリティの高さを物語っている。
ホイール系は17インチでナロータイヤの乗り心地もいい。
アナログスピードメーター中央にデジタル表示を持つ優しいデザイン。
中央にギアポジション、その上部にバーグラフ式燃料計を持ち、時計とオド&ツイントリップを表示する。
ウィンカーやヘッドライトはすべてLEDで新しさとクラシックさを融合。
羽ばたく鳥の翼をモチーフにしたようなハンドルからフロントフォークにつながる造形がスーパーカブの伝統なのだとわかる。
踏み返しつきシーソーチェンジペダルで踏み込み→停止時のみロータリー式となるリターン4速ミッション。
エンジン音も静かで、今回の燃費は実測55km/Lをオーバーしました!
軽い、速い、カッコいい‼石神 邦比古
SUZUKI GSX-R125
まだ自分のバイクを持っていなくて、メインは父のRZ250R。
最近のバイクにはほぼ乗ったことがなくて、RZの前はずっとスズキRG50に乗っていました。
だから、セル一発でエンジンかかるなんて夢のよう。
RGで、最高は横浜から岐阜まで走っていきましたから、原付の不便さをよく知っているので、125㏄っていいな、って思います。
なにより一般道を走っていて30㎞/h制限がないのがイイ!
今回の中ではGSX-Rが良かったですね。軽くて速くてカッコいい。
参ったなぁ、ホントに欲しいなぁ…。
まだ学生です。毎日乗るのに、自賠責も任意保険代も安い125㏄が欲しいなぁ!
DETAILS
水冷DOHC4バルブエンジンを採用。回転フィーリングが軽く、低回転からトルクフル。
今回の取材での実測参考燃費は約45km/L。写真は兄弟モデルGSX-S125のもの。
左右にポジションランプをもつLEDヘッドランプは上ロービーム、下ハイビームの縦型2灯式。
ヘッドライトデザインやフルカウル形状も、GSX-Rシリーズのイメージを踏襲。
コンパクトで見やすいフルデジタルメーター。
ギアポジションやオド&ツイントリップ、時刻や燃料計、燃費なども表示する高機能なもの。
シフトアップインジケーターも装備。
正立フォークと17インチホイールの組み合わせ。
10本スポークデザインのアルミキャストホイールもレーシーで、GSX-Rシリーズらしさを演出している。
ABSは標準装備。