高速道路も余裕で走り使い道を大幅に拡大
2012年に発売がスタートした150版も、共通の車体のまま同時に進化した。
200〜250がメインの軽二輪スクーターは、通勤・通学などの市街地走行から有料道路を利用したツーリングまで幅広い用途に適した利便性の高さから人気があるが、PCX150はライバル勢に比べ圧倒的にコンパクトでエンジンも小さい。
その魅力はやはり気軽に乗れ扱えるフレンドリーさと、混雑した都市交通下での機動性の高さ。
つまり、普段はシティコミューターとしてフル稼働させ、休日は郊外へのツーリングといった楽しみ方が提案できる。
そうなったとき、わずか150㏄のエンジンで高速道路をそつなくこなせるのかという不安を抱くだろうが、そんな心配は無用だということが乗ればわかる。
今回の試乗は125版と合わせ、クローズドコースが用意されたが、最高速は125が103㎞/h、150が110㎞/hだった。いずれもメーター読みで、条件が整えばもう少し伸びそうな予感。
登り坂でもグイグイ加速するし、流れの速い郊外の高速道路でも、走行車線(左の車線)をノンビリ流す程度ならまったく問題にしない。
加速性能も鋭く、アクセルをワイドオープンすれば80㎞/hまであっという間に到達するから、首都高など都市高速でも気をくれすることなく走れる。
125版にも言えることだが、ベアリング類の変更によりフリクションロスを低減した新eSPエンジンは振動や騒音がより少なく抑えられていて、アクセル開度一定のクルージング走行ではさらにジェントルなフィーリング。
また、コンパクトな車体ながら100㎞/hを超える速度域でも、前後14インチの大径ホイールとストローク量をしっかり確保したサスペンションのおかげで安定感があり、車体剛性の高さを感じる。
停車時の燃料消費、騒音、排出ガスを抑止するアイドリングストップ機構も健在で、新たにバッテリーの電圧を監視するシステムを採用し、電圧が一定以下になると、自動でアイドリングストップを停止する機能が追加された。
燃費性能がさらに向上し、従来モデルと比較して60㎞/h定値走行テスト値で3.9㎞/ℓ高めた52.9㎞/ℓ、を実現。
これは転がり抵抗をタイヤ単体で20%低減した低燃費タイヤ(IRC製SS-560F/R)の導入も大きいとのことだが、グリップ力も良くバンク時も安心して走行できるあたりにも凄さを感じた。
主要諸元 HONDA PCX150
●全長×全幅×全高:1930×740×1100㎜
●ホイールベース:1315㎜
●シート高:760㎜
●車両重量:131㎏
●エンジン形式:水冷4ストOHC2バルブ単気筒
●総排気量:152㏄
●ボア×ストローク:58×57.9㎜
●圧縮比:10.6
●最高出力:14PS/8500rpm
●最大トルク:1.4㎏-m/5000rpm
●燃料供給方式:PGM-FI
●燃料タンク容量:8ℓ
●キャスター角/トレール:27度/86㎜
●変速機形式:Vベルト無段変速
●ブレーキ形式 前・後:φ220㎜ディスク・φ130㎜ドラム
●タイヤサイズ 前・後:90/90-14・100/90-14
RIDING POSITION ●身長:175㎝ ●体重:67㎏
760㎜のシート高は数値的に変更はないが、足つき性に配慮した新形状シートのおかげでカカトまで両足ベッタリ。
キビキビとした走りと良好な足着き性を実現するため、フロア幅は740㎜に抑えられているが、足もとのスペースに窮屈さはない。
DETAILS
燃費の良さや扱いやすく力強い出力特性で定評を得ているeSPエンジンも細部を改善。
ベアリング類の変更によって、さらなるフリクションの低減を図り、駆動系には伝達効率に優れ高い耐久性のダブルコグベルトを新たに採用。
150/125、両車とも燃費性能をより向上している。
14インチのアルミ製ホイールを採用するのは従来通りで、優れた走行安定性と快適な乗り心地を実現。220㎜ディスクと3ポットキャリパーからなるフロントブレーキも継承された。
スポーティに切り上げられたリアまわりは、大きく握りやすいグラブレール、LEDコンビランプから成り、クリアレンズのウインカーが張り出したワイド感を強調した形状へと生まれ変わった。
キーを抜くと自動で鍵穴をふさぐ盗難抑止に効果的なオートシャッター付きキーシリンダーを採用。盗難抑止効果大だ。