想像を超える快活な走りとジャストサイズの車体の魅力
これまで日本仕様は「スカイウエイブ」、ヨーロッパ仕様は「バーグマン」と車名を使い分けていたが、新登場の200㏄モデルは仕向け地に関係なくバーグマンに統一。
これは世界戦略車であることの表れだろう。
最大の特徴は車体サイズ。国産の主要な250ccスクーターは車体サイズがかなり長い。
見た目の押し出し、大きな荷物収納スペースというメリットは判るが、機敏な走りには向かず、取り回しにも慣れが必要。
駐輪場に収まりにくいという現実的な要素もあるので、日本の交通事情では欧州スクーターのようなコンパクトサイズのほうがいいと感じていた。
参考までに、スカイウエイブ250タイプSは車重214kgで全長2270㎜、ホイールベースは1585㎜。
対してバーグマン200は161㎏、2050㎜、1465㎜。圧倒的に軽くて短い車体だ。
排気量が200ccなので、動力性能にはあまり期待していなかったが、走り出した途端に「えっ!」と驚いた。予想よりも、ではなく、予想もできなかったほど速い。
これは車重差の53㎏に加えて、オートマチックミッションが加速向けに設定されているから。
スカイウエイブは中回転域を使って加速するが、バーグマンは4000回転あたりで遠心クラッチが繋がりだし、アクセルを全開にすると最もパワーが出る7000回転台を保ってグイグイ速度を乗せる。
このためフル加速中は少々騒がしいが、交通の流れは軽々とリードでき、登り坂でもタンデムでもまったくモタつかない。
タイム計測はしていないが、発進から50m程度までのダッシュはどの国産250㏄スクーターよりも速いだろう。
もうひとつ感心したのがフットワーク。
車重差に加え、スカイウエイブ250よりも120㎜短いホイールベース、ライダーを含めた重心位置の高さで、軽く素早く向きが変わる。
これに加速力がプラスされ、人気上昇中の150㏄スクーターよりも1ランク、いや2ランクほど高い機動性。
車重が軽過ぎず、サスのストロークに余裕があるから乗り心地も上質だ。
最高速の伸びや高速クルージング中の快適性は250㏄スクーターに劣るものの、ストリートコミューター適性は間違いなくこちらが優れているという印象。
ヘルメットが2個入る収納力や大型スクリーン、12Vソケットといった実用装備、抑えられた価格も魅力。
250㏄と150㏄で迷っていた人の悩みは深まりそうだ。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高:2055×740×1355㎜
ホイールベース:1465㎜
シート高:735㎜
車両重量:161㎏
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ単気筒
総排気量:199㏄
ボア×ストローク:69×53.4㎜
圧縮比:11.0
最高出力:19PS/8000rpm
最大トルク:1.7kg-m/6000rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:10ℓ
キャスター角/トレール:27度/93mm
変速機形式:Vベルト無段変速
ブレーキ形式 前・後:ディスク・ディスク
タイヤサイズ 前・後:110/90-13・130/70-12
RIDING POSITION
身長:176㎝ 体重:60㎏
写真は足を手前に乗せた状態。
クルージング中はフロアボード前側に投げ出すように伸ばすことで、よりリラックスした体勢を取れる。
足着き性はフロアボード後方の左右幅を絞り込んで足を真っ直ぐ下ろせるようにしているため、数値で判断するよりはるかに良好。
DETAILS
ENGINE:軽量でコンパクトなFI仕様の200㏄水冷単気筒エンジン。
低速から高速まで全域で力強く、パワーフィールもスムーズ。
タンデムや高速走行でも活発な走りを可能としている。
FUEL INJECTION:フューエルインジェクションによって効率よくガソリンを霧化することを可能として、充分なパワーと優れた燃費を両立させている。
TRUNK SPACE:容量41ℓ、ヘルメットを2個一度に収納できる大きなサイズのシート下トランクスペース。
シートを開くと自動点灯する照明も備えているので、夜間でも非常に使いやすい。
REAR:リヤサスは2本サスペンションレイアウト。
スプリングのプリロード調整が可能で、大量の荷物の搭載やタンデムなど、使用状況に合わせてセッティングを行うことができる。
●PHOTO:赤松 孝 ●TEXT:太田安治