それではどうぞご覧ください。
俺的には「W」と呼ばれるオートバイのルーツは1966年登場のW1(ダブワン)。
80年代初めの俺の青春時代ですら、すでにシブ過ぎの旧車であった。
目利きのあるライダーに愛され続け、今でもたまに目にするが、快調な乾いた排気音が耳に嬉しい。
カワサキがWという車名を復活させたのが1999年のW650登場から。
本格的な懐古主義のオートバイだったので驚いたし、一方ではこういうバイクこそ売れてほしいと期待した。
2011年に675ccから773ccに排気量を拡大する。キャブからインジェクションに変更され、車名もW800となった。
写真は2013年に撮影したもので、世代的にはこのW800。
最近ではネオクラシックという種別もあるが、それで言うならW800はクラシックそのものであり、そのスタイルは「往年の英国車」よりも完成されていて魅力的だ。
このW800の撮影は2013年の冬で、凍結路面を避けて伊豆の海岸線へ向かった。
天候も良かったのでいつも行く海岸に停めて、長い時間かけてスタイリングカットを撮った。
乗ってもらった編集者とWのスタイリングついて語り合ったりする時間もまた楽しい。細かい箇所まで手が入ったデザインひとつひとつに話がはずむ。
Wの特徴のひとつがエンジンのカム駆動方式にベベルギアを採用したこと。
おかげでエンジンを横から見た時に、そのエンジンの形がよく分かる。
エンジンの形を愛でるなんて、オートバイならでは楽しみだろう。
この写真もそんな会話をしながら、空冷フィンの間から向こう側がよく見える様に望遠レンズで低めから撮影した。
今年3月、外観は継承しつつモデルチェンジを果たしたW800 STREETとW800 CAFEが登場した。
排ガス規制の厳しい中、ますます走りも楽しいエンジンになっている。これからも世代を超えてずっと愛されてほしいと思う。
写真・文:柴田直行