ヨーロッパをスタートし、地中海を渡ってモロッコから本格的なステージが始まり、サハラを越えてセネガルの首都ダカールの海岸にゴールする。このストーリーから多くの人が想起するのは、かつての「パリダカ」だ。アフリカエコレースは「Real Race to Dakar」を標榜し、ラリーファンからの注目を集めている。

画像: 前回、2019年のルート概略

前回、2019年のルート概略

それは2009年に始まった

2008年。ポルトガルの首都リスボンでスタートを待つばかりとなっていたダカールラリーの参加者たちは、突然の中止発表に衝撃を受ける。モロッコにおけるテロの危険性が高まったことで、フランス政府はダカールの主催者ASOに対してラリーの中止を勧告。

これを受けて、契約していた保険会社がラリーの補償を停止したことが決定打となってラリーは中止されたのだ。翌2009年、ダカールは開催地を南米に移転し、アフリカでのラリーの歴史は空白の時代を迎えることになるかと思われたが、アフリカエコレースが始まったのは、その2009年。4輪エントラントとしてダカールで名声を誇ってきたジャン・ルイ・シュレッサーと、ルネ・メッジの主導だった。

画像: Africa Eco Race 2020 - Opening Teaser youtu.be

Africa Eco Race 2020 - Opening Teaser

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伝説のライダーとの関り

アフリカエコレースのオーガナイズには、1981年と1983年のダカール2輪勝者であるユベール・オリオールも関わっていたのだが、まもなくこれを辞することになった。ダカールの主催者であるASOは、知的財産権の所在を理由に、アフリカエコレースをフランスの裁判所に提訴。ASOの主張は一部認められ、オリオールがレースの主催に関与しないことでアフリカエコレースは継続されることになった。オリオールは、かつてダカールのレースディレクターを務めた経験があることが理由だった。現在は、シュレッサーの息子が代表に任に就いている。

純粋な「レース」だ

「エコレース」という名称から誤解されがちだが、このラリーは低燃費を競ったり、非化石燃料車を主役にしたものではない。「エコ」が意味するのは、大量消費や開催地の自然環境、社会・生活環境を無視したラリーではなく、共存と持続可能性を強く意識したラリーを目指すことのようだ。ラリーが開催されることで得られた収益で、小学校や図書館を設立したり、生活環境の改善に寄与するなど通過地域に貢献。また、ビバークでの太陽光発電の利用を進めるなど、地道な取り組みが行われている。一方、競技そのものは、純粋な「レース」だ。

画像: ダカール引退を宣言したばかりのレジェンド菅原義正の新たなチャレンジ。菅原のマシンYAMAHA YXZ1000はフランスの拠点で製作が進んでいる

ダカール引退を宣言したばかりのレジェンド菅原義正の新たなチャレンジ。菅原のマシンYAMAHA YXZ1000はフランスの拠点で製作が進んでいる

世界のラリーは転機を迎えた

かのダカールラリーは、2019年はペルー1か国だけでの開催となった。また2020年もサウジアラビアだけで完結するラリーになることが発表。そこで、本来のクロスカントリーラリーの魅力を持つ、このアフリカでのレースが、かつてないほど注目されている。

パリダカのクラシックルートをたどり、ビバークも町や空港から離れた場所に設けられる。また2輪においては450cc以下という排気量制限がなく、例えばアフリカツインなどの大排気量車も活躍する。ある意味では、プリミティブな魅力を持つラリーでもある。

2020年は、1月5日にモナコをスタート。モロッコ、モーリタニア、セネガル、そしてダカールの海岸へ。レジェンド菅原義正を筆頭に、すでに数名の日本人選手がエントリー手続きを完了しているとの報もある。かつてなく注目を集めているアフリカエコレースについては、このOff1.jpでも継続的にレポートをお届けする。

画像: 増田まみをはじめ、多くの日本人ライダーがエントリー。 btmshop.cart.fc2.com

増田まみをはじめ、多くの日本人ライダーがエントリー。

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