すでにコチラ<https://www.autoby.jp/_ct/17321130>でもお知らせしていますが、OGKのJIS認証取り消し問題に対して騒ぎが大きくなっているので、も少し解説を。
11月25日 経済産業省と近畿経済産業局から発表がありました。それが「株式会社オージーケーカブトのJIS認証が取り消されました」というもの。株式会社オージーケーカブトとは、OGKとかカブトブランドでおなじみの、ヘルメットメーカー。
統一表記としては、会社名が「オージーケーカブト」で、製品ブランドが「Kabuto」。レース/ストリート用などのオートバイ用ヘルメットブランドでおなじみですね。
「JIS認証取り消し」というんだから穏やかじゃない。JIS規格っていうのはJapnese Industrial Standardsの略で、日本産業規格のこと。つまり、ものづくりにおいて、まず一定の基準を満たしているものに、このJIS規格が認定されます。ちなみに「認証」は生産体制などへのもの、「規格」が製品に対するもので、今回は「認証」、つまり生産体制への審査結果です。
「認証」取り消しの発表内容は以下の通り。経済産業省のウェブサイトから転載しています。
わかりやすく言うと、本文2段目にもあるように「臨時検査をしたら、組み立て場所に関連する記録が長期間きちんと記載されていなかった」ので、それが「品質管理体制がJIS規格適合の基準を満たしていなくて」、それを重大だと認定したため、日本車両検査機関がJIS認証を取り消した、というものでした。あくまでも組み立て場所に対する審査なので「東大阪工場の」JIS「認証」認定を取り消す、というものです。ちなみに「JIS T8133」というのはオートバイ用ヘルメットのことで、自転車用は別規格。つまり、オートバイ用ヘルメットについての通達なんですね。
つまり製品に対する通達ではなく、工場に対する通達です。ひとまず東大阪工場でJIS規格製品を作ることはできなくなりましたが、オージーケーカブトのウェブサイトに記載されている、中国・青島工場での継続生産はOK、ってことです。
最初の発表内容が以上のようなものだったため、あらら?Kabuto製品からJISマークがなくなっちゃう?→市販しちゃいけなくなっちゃう?→公道でも使えない?→レースもだめ?という騒ぎになったのです。Twitterやfacebookで不安をあおる内容も見られるようになり、誰も真相がわからないまま騒ぎになって、当のオージーケーカブトの公式発表が遅れてしまったのも騒動に拍車を掛けました。
ただし、この通産省通達には続きがあって、いったん発表した上記の内容に差し替えがありました。それが最下段の「なお、車両検が実施した試験では、製品の安全性や品質についてはJIS規格を満たしており、問題がないことが確認されました」と。
最初の発表は、この一文が載っていなかったんですね。けっこうデカい一文なのにね。
オージーケーカブトも声明を発表しました。一文たがわずお伝えしますと、コピペになるんですが、これもオージーケーカブトのウェブサイトからの転載です。
たとえば、バイクの車検に言い換えると、車検に合格したけど、提出書類に不備があって車検のシールもらえなかったって感じでしょうか。車検は通ったのに、車検シールがなかったら公道は走れませんから、その意味での「JIS認証取り消し」なんです。
もちろん、まじめに法令通りにやっている事業所、メーカーもあるわけですから、オージーケーカブトは怒られて当然のことをしたわけです。それでも 使う製品に何ら問題なし ってことは言っておかないと。あくまでも安全基準データの不備とか改ざんではありませんので! このへん暴走してるネットユーザーがいるんですよね……。
不明点があったらどんどん問い合わせしましょう! TEL06-6747-8031です!
安全性や品質に対しての問題はない、ってことで、さっそくMFJも声明を発表しました。
すでにMFJ公認となっているヘルメットに対して、今後も公認の変更はなく、競技に使用が可能、ってことです。たとえば今週末にどこかでレースが開催予定だったら、装備車検で混乱しますからね。鈴鹿のNGK杯もあるし、近スポで北川圭一杯もありますから、こういう発表が早かったのはさすがでした、MFJ!
ちなみにKabutoヘルメットは、2019年から始まったMotoGPでのヘルメット新安全規格をイッパツでクリアしたメーカーです。いまだに基準をパスできずに他ブランドのステッカー貼って使用しているブランドだってあるというのにね。
それでも「んじゃアレはどーすんだ?」「※※は販売自粛って言ってるぞ」とかなんとか、問い合わせについては、オージーケーカブトがウェブサイトで一問一答を掲載。、随時更新するみたいなので、不安な方は見てみて! オージーケーカブト→ http://www.ogkkabuto.co.jp
Kabutoヘルメットが危ないもんじゃない、ってこと。でもオージーケーカブトの東大阪工場は書類記載不備違反をしたんだからJIS「認証」を取り消されて怒られます!っていうのが真相です!
※※※※※【追記】※※※※※
最初の記事アップから追加取材ができたので、上の本文に捕捉を入れます。オージーケーカブトでは現在、ウェブサイト上でQ&A方式のユーザーさんからの質問に答えていて、そことダブる部分があるかもですが、あらためて最新の情報をアップしますね。
まず、JIS認証取り消しの直接的な原因となった「臨時検査をしたら、組み立て場所に関連する記録が長期間きちんと記載されていなかった」件についてですが、これはKabutoヘルメットを製造する工場、その生産比率の問題だということです。
従来、Kabutoヘルメットは東大阪工場/中国・青島工場の2か所の自社工場で生産していましたが、そのうち「帽体の生産を東大阪20%:青島80%」の比率で行ないます、の取り決めでJIS認証を取っていたにもかかわらず、東大阪での帽体成型の生産が20%に届いていなかった、ということなんだそうです。
もちろん中国での帽体成型の生産比率を増やしちゃえ、というものではなく、日本での帽体成型の生産目標値をクリアすべく頑張ったけど届かなかった、ということのようです。もちろん、生産比率目標値に達しなかったわけですから、これは報告義務を怠ったオージーケーカブトのミスです。ここを怒られたわけです!
ちなみに、ここで言う「生産」されるものは、完成品ではなく、ヘルメットのFRP帽体部分。つまりヘルメットの構成部品のひとつで、各パーツを組み合わせて完成させていたのは東大阪工場――だからメイド・イン・ジャパンの旗を上げていたんです。
これを明らかにしてから、ネットでは一部「産地偽装!」って声も上がっていますが、各国で製造された構成部品を、日本に集約して日本で組付けて完成させ、完成品検査を日本で行なっていたわけですから、これはメイド・イン・ジャパンです。これはバイクもクルマも、家電も、みんなそう。念のため日本ヘルメット工業会にも問い合わせたんですが、これは日本製である、ということでした。
これでオージーケーカブトは、東大阪工場/中国・青島工場のうち、東大阪工場のJIS認証が取り消されてしまったわけですから、東大阪工場からJIS規格製品を生産することはなく、出荷されることもありません。もちろん、青島工場は引き続きJIS認証工場ですから、青島工場から出荷される製品についてはJIS規格製品ということです。東大阪工場で生産されていた製品についても、今後は青島工場生産に切り替えていくのだそうです。
オージーケーカブトでは、今ウェブサイト上にある製品ラインアップのうち、●RT-33シリーズ/RT-33R MIPS ●エアロブレード5シリーズ ●IBUKIシリーズから「JISマーク表示」を外しました。これは、青島工場での生産準備が整うまでの間、ユーザーを混乱させてはならないという理由からの暫定的措置で、もちろん世の中にあるKabutoヘルメット、特に上の3シリーズの製品についても、すべてJIS規格製品です。JIS認証を取り消された後は、東大阪工場での生産を停止しているそうなので、JIS認証が取り消された工場からこっそりJIS規格製品が出荷されてはいません、ってこと。
少し混乱しましたが、いま世の中に存在しているKabutoヘルメットは、すべてJISまたはSG規格品ということ。JIS認証が取り消されてしまってから東大阪工場で生産されたものはないので、そこはユーザーさんに安心していただきたい、ということでした。
今後オージーケーカブトは、取り消されてしまった東大阪工場のJIS認証の再取得を目指します、ということでした。
オージーケーカブト、ちょっとやらかしましたが、ユーザーさんは大丈夫、ってことをお伝えしたかったのです。
なお、不安なこと、心配なことがあったら、オージーケーカブトに問い合わせましょう!
問い合わせはTEL06-6747-8031へ。
文責/中村浩史