神様を祀り、そこで行なわれる神事は土地に根付く文化といっても過言ではない。
今回紹介するのは、オリンピック開催地としても注目される千葉県は一之宮、1200年以上の歴史をもつ、房総最古の浜降り神事が行なわれる一之宮 玉前神社です。
※今回の記事は月刊オートバイ2017年11月号で掲載したものを加筆修正しております。
お祭りはなぜ秋に多いのか? その答えは「稲作」が関係している!
お祭りがなぜ秋に多くあるのか、その理由は日本人にも、また神社のルーツにも、とても関わりが深いのです。
秋のお祭りは、その年に稔ったお米を神様に感謝するために執り行なわれます。
日本人の主食は、お米です。なので、日本中で秋にお祭りが行なわれているんですね。昔々、天上界を治めていた神様が、地上も治めようと自分の孫を遣わせます。
その時に持たせたもののなかに稲がありました。その稲のお陰で、地上に住む僕たちの祖先は稲作を始められたというストーリー。
それなので日本人は、毎年秋に感謝の祈りを捧げてきたんですね。
モテない中学生ボーイのため、出会いの場を提供していたわけではありませんでした。
ところで、神社に納めるお金のことを初穂料といったりするのも、これに由来するとご存知ですか? 神様から教わった稲作。その稲作でできた最初のお米を、自分たちで食べてしまう前に、先ず神様へ感謝のために捧げる。
この稲穂のことを初穂と呼ぶそうです。そのことから神様や神社へ納めるお金を、初穂料というようになったそうです。
稲作は、国民性などにも影響を与えています。収穫はもちろんのこと、田植えや、稲作の全ての作業はひとりでは行なえません。秩序とチームワークが必要です。
この作業を繰り返してきたので、日本人は団体行動が得意だと言われています。自分の個性を最優先させたり、空気を読まなかったりすると、お米は作れませんからね。
日本人が外国から褒められる秩序やチームワークの所以も、稲作とお祭りにあったんですね。
玉前神社でも、神職や氏子の皆さんが一致団結! 力を合わせて、お祭り本番へ進んでいました。
邪魔をしてはいけないと、遠くで見守っていると氏子の親父さんたちから声を掛けてくださいました。
この日は、町をあげてのお祭りの日。立ち入り禁止になっている場所もありましたが、なんと氏子の方々のご厚意で、同行取材させていただけることになりました。
向かったのは、海岸。神社から数キロ離れたこの海岸に、鳥居が建っています。神社からは離れていますが、こちらも玉前神社にとって大切な場所なんです。
玉前神社の御祭神は、海を司る神様の娘神。海と密接な関係があるので、離れている海岸に鳥居があるんですね。
例祭日は、鳥居があるこの海岸にも神輿が来ます。準備でお忙しい中、皆さん手を止めて地元のお話などをしてくださいました。
旅先での地元の人たちとの出会いこそ、神社巡りで一番のご利益ではないかと改めて思いました。予想していなかった、現地の皆さんとの交流。
これからの神社拝走記でも、きっと多くの出会いが待っているのでしょう。鳥居がある海岸で、玉前神社の氏子の皆さんに別れを告げて出発。……旅は続く!
神社一口メモ
巨大なバケツ?
神社でよく見かけるコチラ。名前を天水桶(てんすいおけ)といいます。
文字通り雨水を溜めておくもので、防火用水として使います。消火栓の無い時代には、欠かせないものでした。側面の記録を見ると意外と古いものもあるので、チェックしてみてくださいね。
【この旅でいただいたご当地料理】
房総つけめん
千葉県長生郡一宮町一宮2114-60
見てください、この店構え。知る人ぞ知るお店!
酸味の効いたスープは、ツーリングで疲れた身体にピッタリ。野菜もてんこ盛りで、なかなか「つけ」られません。
店主のおばちゃんのサービスに、優太感激!
文:佐々木優太/写真:関野 温/撮影協力:一之宮 玉前神社
※今回の記事は月刊オートバイ2017年11月号で掲載したものを加筆修正しております。