小排気量車こそカッコ良くすべき。カワサキのその思いを写真で伝えたい
Ninja250のデビューは2007年のパリのモーターサイクルショーのプレスカンファレンスで見た。
そのパリショーの撮影はゴーグル誌ではなく、Heritage&Legends誌で編集長を務めている月岡さんから頂いた仕事だった。
その日のプレスカンファレンスのメイン車種はZX-10Rのフルモデルチェンジで、Ninja250はその前座的扱いだったような記憶。
日本国内ではカウル付きのスポーツバイクの売上が不調な時期で、ゼファーでネイキットバイクを売りまくっているカワサキがなぜ250スーパースポーツ? と正直に言うと首を傾けたものだった。
もちろんその後のNinja250が火をつけた250ブームは皆さんのご存知通り。振り返れば必然にように思えることでも、つくづく先を予見するのは難しいと思う。
今回見てもらうのは2012年にモデルチェンジした2代目のNinja250。カワサキが2016年にスーパーバイク世界選手権(SBK)で年間チャンピオンを獲得し、その記念に発売されたKRTエディションだ。このカワサキカラーのNinja250も売れまくった。
Ninja250の成功の鍵は「カッコいい」のひとことに尽きる。
自分目線の話で恐縮だがNinja250以前にオフロードバイクの世界では、特にキッズ用の輸出向けミニオフ車に大人バイクと同じデザイン要素を盛り込むブームが始まっていた。
空冷バイクにラジエターシュラウド風のカバーをつけたり。子供だってお父さんと同じカッコいいデザインのバイクに乗りたい。当然です。
排気量が小さいからと言ってカッコ悪いバイクで満足するライダーはいない。「むしろ小型車こそカッコ良くすべき」とカワサキはNinja250に夢を託し、世界中のライダーに支持されて、世界中のバイクデザインに影響を与えた、と俺は思っている。
そんなNinja250を撮るチャンスが巡ってきました。「ZX-10Rよりカッコ良く撮ってやるぜ」とカメラマン魂がメラメラ燃えたのを覚えています。メインカットはトビラページ用で影の多いスタジオ風。
そのメインカットですが、2代目Ninja250はロービームは片目、ハイビームで両目点灯です。編集者とじっくり話し合った結果、ロービームで撮影した。ところが3代目Ninja250はロービーム両目点灯に。と言うわけでキレイに撮れたが少しだけ悔いの残る1枚。
でも大丈夫。人気車種Ninja250を撮るチャンスはこれからもたくさんありそうだし。
写真・文:柴田直行
柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。