2サイクル500ccマシンとの混走となった初年度2002年にフルエントリーした4メーカーに加え、全車4サイクルとなった2003年には、ドゥカティ/カワサキ/プロトンKRがフル参戦を開始。2007年の800cc化までの5シーズンを走った990ccモトGPマシン達を紹介。今回はYAMAHA YZR-M1(2002)をご覧いただこう。

Photos:Nobuya Yoshimura and Yasuo Sato

YZR500ベースのフレームにコンパクトな直4エンジンを搭載

YZR500のディメンションを(できるかぎり)継承した車体に積める4サイクルエンジンをテーマに開発されたのは、V型エンジンでのレース経験がないヤマハにとって、スタンダードといえる並列4気筒。そして、ヤマハ製ロードレーサーの伝統を受け継ぐ4軸構成のエンジンだった。

YAMAHA YZR-M1 2002 エンジン

画像: 良好な操安性を誇った同社の2サイクル500㏄マシーンYZR500の車体をベースに、そのフレームに搭載できることを最優先して造られた並列4気筒エンジン。最初期型は排気量が942㏄、吸入方式が電子制御キャブレター、カムシャフト駆動にチェーンを用いるなど、性能目標を低めに設定しているのが特異だった。

良好な操安性を誇った同社の2サイクル500㏄マシーンYZR500の車体をベースに、そのフレームに搭載できることを最優先して造られた並列4気筒エンジン。最初期型は排気量が942㏄、吸入方式が電子制御キャブレター、カムシャフト駆動にチェーンを用いるなど、性能目標を低めに設定しているのが特異だった。

画像1: YZR500ベースのフレームにコンパクトな直4エンジンを搭載

排気量の上限を990㏄と定めた新生モトGPのレギュレーションで許されるかぎりの動力性能を追求したホンダとは対照的に、ヤマハでは当初、2サイクル500㏄マシーンと同等以上という控えめな目標が設定され、エンジンの仕様もそれに合わせたものだった。

画像2: YZR500ベースのフレームにコンパクトな直4エンジンを搭載

フルサイズではなかった排気量(デビュー当初は942㏄、のちに967㏄まで拡大)やチェーンによるカムシャフト駆動、電子制御ディバイスを追加していたとはいえ、基本的にはキャブレターそのものだった燃料系などがその一例。

画像3: YZR500ベースのフレームにコンパクトな直4エンジンを搭載

このマシーンとその小改良版といえる翌年型で2002〜03年の2シーズンを戦い、惨澹たる結果に終わったヤマハではあったが、2003年中に行われた開発体制の全面刷新と合わせて、4バルブ化/クロスプレーンクランクシャフトの採用/電子制御フューエルインジェクションの装備などを盛り込んだ新型車を開発し、ホンダから移籍したロッシの手により、2004〜05年のタイトルを獲得した。

Powered By Bikers Station

「MotoGP伝」関連記事はこちら

2020年1月31日に発売されたMOOK「MotoGP伝1」はアマゾンでも購入できます

This article is a sponsored article by
''.