撮影●鈴木広一郎 文●濱矢文夫 車両協力●UEMATSU 情報提供●ミスターバイクBG
深化したカワサキ2ストトリプル
3本あるマフラーの後端から出た青白い煙があたりをくゆらし、アイドリングしていると風向きによっては身にまとうようにもやが絡みついて、目の前をただよう。
「ははは、くさいなぁ」そう言いながら顔がほころんでしまう。2ストオイルが燃えるニオイをかぐと昔からお腹の奥のほうがきゅーっとするのはなんでだろう。私だけかな。
街がほぼ4ストロークだけの世界になったことを小馬鹿にするような軽く乾いた、そしてなかなか大きな排気音を投げつけて、路上の異端者は理屈っぽくない魅力を放っている。
カワサキ空冷2ストの代名詞的であるシリンダーが横に整列した3気筒エンジンが発生のもとになっている振動は、マッハ時代からの進化と、ラバーマウント化されていることもあってか、スロットルを大きく開けても許容できる程度。ちまたでじゃじゃ馬と言われたものの末裔とは思えない紳士的なふるまい。
実にあっけなく常識的に動かせてしまう。まあ今まで初代から何台か500SSにも乗ったことがあるけれど、振動があって飛ばすとややトリッキーな面が少し見えるだけで、畏怖するような印象を持ったことがないけれど。
燃料と混ぜて燃やすオイルの量や銘柄の違いで2ストは特性がはっきりと変わり、調整で量を少なくすると鋭い吹け上がりになる。だから過去に乗ったのが焼き付きを避けるために濃い目にしていて穏やかだったのもしれない。
だがそれを考慮してもじゃじゃ馬は言い過ぎで、はじけるようにエネルギッシュで時にやや不安定な若い娘くらいが相当。話はそれたが、そんなマッハと比較して御しやすさは格段に上だ。
クラッチを繋いだところからしっかりトルクがあって、さらに右手の動きに適度なレスポンス。そこでトルクの出るさまが急で過敏に反応するような神経質さはない。7千回転以上に回して、パワーバンドという甘美な現象を楽しんでも、粗野で無作法な感じはない。
カタログスペックだけを見れば、環境対策もあって500SSの最終H1Fの59馬力、5.7キロのトルクから、52馬力、5.4キロにパワーダウンしているけど、停止からのフル加速で高回転に入れ続ければフロントフォークが伸び切って、ふわふわっと前タイヤが地面を離れていく加速がある。
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撮影●鈴木広一郎 文●濱矢文夫 情報提供●ミスターバイクBG
1976 KAWSAKI KH500 A8 SPECFIACTIONS
● エンジン種類:空冷2 ストローク3 気筒ピストンバルブ● 総排気量(ボア×ストローク):498.0cc(60.0 ×58.8mm)● 最高出力:52.0PS/7000rpm ● 最大トルク:5.4kg-m/7000rpm ● ミッション:5 速リターン●全長×全幅×全高:2085 × 835 × 1140mm ● ホイールベース:1410mm ●タイヤ前・後:3.25-19・4.00-18 ●燃料タンク容量:16.0ℓ●乾燥重量:192.0kg ●発売当時価格:37 万5000 円 ※スペックは国内仕様
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