カワサキ「Z900」試乗インプレ(宮崎敬一郎)
新型のZ900はこれまでよりいくらかエッジの効いた外観意匠に変更され、イメージは随分変わっている。
新たに装備されたのはライディングモードも管理できる大型TFTメーター。ライトもLED化され、ちょっと豪華な構成になった。また、今回改良された部分として、見えないところではフレーム側のスイングアームピボット周辺での剛性アップやサスペンションのセッティング変更なども行われている。
もともと、Z900は非常に優秀なバイクだ。どんなライダーでも乗れる扱いやすさがあり、小柄で車体とパワーのバランスがよく、使い勝手がいい。加えて、このクラスのスタンダードスポーツとしてはちょっと強力な125PSを発揮。
兄弟モデルの「RS」よりも強力で、加速型の減速比だ。これでリッターネイキッドに引けを取らないダッシュ力も獲得、スパイスの利いた走りが魅力だ。
ハンドリングは、まるでマスがエンジンあたりに凝縮されているような手応え。低速でクイックなターンをする時、ツーリング先で出会うようなツヅラ折れの峠道などでその感触が光る。あたかも小さな丸いものがくるっと向きを変えるような感覚で強力に曲がる。
このクラスのスポーツとしてはリーンアングルも深めで、スポーティな走りをさせるとなかなか元気がいい。さらに、ライディングモードも便利で、状況に応じた走りをサポートしてくれる。
今回感心したのがトラクションコントロール。「ロード」と「スポーツ」は共にフルパワーだが「ロード」でのコーナーからの立ち上がりがマイルドに感じるのだ。これは予測作動型の優れたトラコンが、より強めに介入していたから、と後で知った。スーパースポーツなみに滑らかな作動のシステムなのだ。
非常に元気のいいバイクながら、OEMタイヤやサスはハードなスポーツライディング用ではない。
リアサスはこれまでより少し硬めだが、前後合わせて前モデルより細やかなギャップを吸収する快適性を備えている。あくまでも、このクラスにしてはかなりスポーティな走りをこなす、ということだ。
Z900はとてもいいバイクだ。技量に関係なく誰にでも扱いやすく、取り回しはまるで650クラス。プライスも比較的控えめだが、安っぽさは感じない。
市街地やツーリングでも使いやすく、スポーティな走りまでこなす元気のいいバイク。興味があるなら、ぜひ試乗をお勧めしたい。