キャブレター仕様900ccのエンジンをYZR500ベースのフレームに搭載した2002年前期型から、電子制御フューエルインジェクション990ccのエンジンに変わった2002年後期〜2004年型までが第1世代。全面新設計の2005年型とその改良型といえる2006年型が第2世代。両者の設計思想には隔世の感がある。
Text:Nobuya Yoshimura Photos:Yamaha
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モトGP990cc時代の5シーズンおける、YZR-M1の技術的進化を振り返る
2002年、モトGPが開幕した当時のヤマハは、30年間にわたって積み重ねてきた伝統的手法を守っていた。最初に投入したマシーンである2002年型YZR-M1が、YZR500に似たフレームに、単気筒のモトクロッサーを横に4つ並べたようなエンジンを搭載していたのも、その伝統の表れといえる。
YZR-M1 エンジン(2006)
理由はともあれ目標性能がライバルより低かったのは間違いない。出力も特性も異なるエンジンをYZR500ベースのフレームに積んだのにも、冒険をして失敗をするよりも、とりあえずここから始めれば大外れはないだろうといった消極的な姿勢が感じられた。
スタートでつまずいたヤマハは、急遽、排気量/吸入方式の変更とフレームの手直しをし、2004年には4バルブ/不等間隔爆発エンジンをロッシに託し、ライダータイトルを獲得したとはいえ、マシーンの性能は限界に達し、さらなる向上の余裕はなかった。
そこで、創立50周年にあたる2005年には、熟成路線を捨てて、3年間にやりたくてもできなかったことを一気に盛り込んだ、まったくの新型車を完成させた。これは、800㏄マシーンの母体ともなった。
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