目指したのは「身長180cmでも快適に乗れる」仕様
前回野口シートに「身長180cmの大柄ライダーが快適に乗れるようになるシート」をオーダーしてから約2週間。ついに完成したとの連絡が!
なんでまず最初にシートを加工したか? をここで説明しよう。ライディングにおいて、ライダーがバイクと接するのは、ハンドルとステップとシート。基本この3カ所でライダーはバイクを操るわけだが、ツーリングにおいてシートは長時間座っている事が多くなるから、きちんとしたポジションで、なおかつ十分なクッション性がないと、負担が大きくなるのだ。
特に、日本人の体格を考慮して大きく削り取られたシートだと、大柄なライダーの場合、適正なポジションを取りにくい。ヒザは窮屈に曲がり、座面にかかる荷重も増してしまい、お尻が痛くなりやすくなる。
それに、段差のあるシートでは、前後の体重移動が多いオフロードライディングにおいては、少々乗りにくくなる要素でもある。モトクロスバイクやエンデューロバイクのシートがフラットなのはそのためだ。だから、シートの上面をフラットにして、前後の体重移動をしやすくしたかったのだ。
で、完成したのがこれだ!
なんと60mmの「特盛仕様」!座面もフラットで大満足!
ラリーバイクのようなフラット座面! 大きく盛られたシートは、スタンダードより60mmも高くなっている! これなら膝の屈折率も緩くなり、長時間ライディングも楽になる。
スタンダードのシートとヒザの曲がり具合を比較してみてほしい。スタンダードの方が窮屈になっているのがわかるはずだ。これを解消するだけで、長距離ツーリングが格段に快適になるはずだ。
しかも、表皮はアルカンターラ仕上げ。これはワークスマシン「CRF450RALLY」と同仕様だ。ツーリングの快適性にこだわるライダーなら、きっと気に入るはずだ。
肉厚は増したが足つきのよさにもこだわりが!
さて、アフリカツインのシートは、足つき性を上げるために、前方が大きくえぐられているというか、細身になっている。野口シートにオーダーしたこのシートも、それにならってスタンダードのシルエットを維持している。
と言っても、全く同じではなく、その角度等は微妙に変えてあるという。そのあたりは、このように上から見るとその形がよくわかる。
ところで、シート高が60mm上がったわけだが、サイドはこれだけ細いままなので、足つき性の方は実際どうだろう? 僕も野口社長も身長180cm越えで全く参考にならないので、身長165cm、体重67kgという野口シートの社員さんにモデルをお願いしてみた。
●スタンダード
これがスタンダードのシート。見ればわかるが両足べったりだ。
●野口シート製・スペシャルシート
そしてこれが野口シート製。ジーパンの裾が折り返されているのは気にしなくていいです(笑)
多少かかとが浮くか? という感じ。60mmのアップにしては上出来の足つき性だ。
シートのあんこ盛りなんて、身長が高い人だけのカスタムだと思っている人も多い。確かに足つき性が犠牲になるのは否めないが、それでも多少かかとが浮く程度の差で、適正なポジションとフラットな座面を得られるメリットは大きいと僕は思う。もちろん、多少の犠牲を許容できるライダー向けのカスタムであるのは確かだ。
というわけで、僕の新型アフリカツインは「ラリーっぽいツーリングバイク」に一歩近づいたのだ!
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、有限会社野口装美
写真:三橋 淳、柴田直行
【次回予告】こだわりのシートが完成したばかりだというのに、今度はアイツがやって来た! アイツってなんだ? ということで次回「今度は<S>がやって来た!」をお楽しみに!
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