モトクロス界の絶対的存在・成田亮選手とはどういう人柄なのか?
モトクロスプロライダーの成田亮(なりた あきら)選手が今シーズンで引退します。
そして、全力でレースができるためにクラウドファンディングを始めました。
あたしは、成(ナリ)さんを応援している、いちファン。レースでの活躍だけでなく、その人柄に惚れたひとりです。
この人の魅力を知ってほしいと思い、失礼を承知で書いた、月刊『オートバイ』(2006年1月号)の理子日記を再掲載いたします。
「成さんの事、書きたいんだけど、著作権あるよね?」とメールした。
「これ、なんて読むんだ?」う、嘘……。
そんな彼は「成田亮」。
モトクロス3年間全日本チャンピオン。
いつもドキドキさせられる。
素顔を知らなかった頃のあたしは、
「あのフェラーリ、成田君のだよ。」
って聞いても、振り向いて「赤」を見ることもせず。
「ふ~ん。ガキのくせに、この泥の中フェラーリで来ちゃうかねぇ。ばっかじゃないの。」って思ってた。
知り合ってから、嫌味なあたしは、当然聞いた。
「いい車乗ってんだってね~。」
ところが彼の答えは、
「子供が好きなんだ。子供達が頑張って、チャンピオンになったら、こんな凄い車乗れるんだって、夢を与えたいんだ。」だった。
言われてしまった……。大切な理由が存在してたんだね。
ある時、盗み聞きしちゃったんだけど、雑誌の取材拒否をしたらしい。
ちゃんとワケがあった。
「ヘルメットを被ってない写真を載せられた。」
彼は怒っていたし、いつもの甘~い感じの男の子と違う人。
かっこいい横顔に、ちょっと見とれてしまった。
ライダーとして大事なことを、考えさせられちゃった。
すべてには理由がある。漢字なんて読めなくてもいい。
それにもワケがあるはずだ。
レースにちゃらちゃら、フェラーリで来るあいつらとは違う。(きゃ~怖くて名指しはできん!)
これを成さんが読み切れるかどうかなんてどうでもいい話。これを読んだら、きっと連絡が来る。
「おーい。これなんて読むんだ?」
「ちょさくけん」なんて読めなくても、
素直でかわいきゃいいよ。月刊『オートバイ』(2006年1月号)理子日記
成さんから「引退する」と連絡をいただいた時は、驚いたしショックでした。
大好きな選手。モトクロスの「楽しみ」がひとつ消えてしまうということ以上に、衝撃的なことでした。
ただ、「今、引退」ではなく「今シーズン闘って引退」という決断に、少し疑問を抱いていました。成さんはこう答えています。
「今期のレース中に、多くの人にモトクロス場に足を運んでもらいたい。今、だいぶ見に来てくれる人も少なくなってるんだよね。でも、俺が引退するからっていったら、モトクロス場に来てくれる人が増えるかもしれない。モトクロスの楽しさを知ってもらいたいんだよね。モトクロスは本当に、いいよ。俺は本当にモトクロスが大好きなんだよ」
この言葉を、聞いたとき、この男はやっぱりただの男じゃないって思いました。
自分のことだけじゃなくて、将来のモトクロスのことを考えている。
素敵な人だなって、あらためて思いました。
そして、相変わらず、「漢字が読めないんだよね」って、言いだして、ほっこりもさせられました。
素直で、真っすぐで、強くて、かっこいい。
あたしも、時間があれば、1戦でも多く成田亮選手の強さを応援しに行こうと思っています。
以前書いた自分の記事を改めて引っ張り出してきて、思ったことは、成田亮って、ヒーローっぽい。うん、ヒーローだ。
きっと、いいとこ見せてくれるはず。
成さん、がんばってね。
文:福山理子