配達業務など、毎日のビジネスシーンで活躍する二輪車の未来を担う電動モビリティがベンリィe:シリーズ。ニーズに応じた原付一種仕様と原付二種仕様が用意され、ぼくらの毎日の生活を支える活躍をしてくれる日も近い。今回はそんなベンリィeの実力を試乗チェックしてみたぞ!

ホンダ「BENLY e:」(ベンリィ イー)シリーズ 解説&試乗インプレ(太田安治)

短距離向けではあるが個人用にもOKの完成度

画像: 税込価格:73万7000円(I、II同じ)/ 74万8000円(PRO) 発売日:2020年4月24日 ※販売は法人向けのみ

税込価格:73万7000円(I、II同じ)/ 74万8000円(PRO)
発売日:2020年4月24日 ※販売は法人向けのみ

ガソリン車からEVへという流れにより、国内外の二輪メーカーはこぞって電動モデルを開発中。だが現状では航続距離が短く、ツーリングを楽しむような使い方は難しい。当面は近距離移動前提のモデルでノウハウを蓄積し、充電スタンドの拡充に合わせて中〜大型モデルが投入されることだろう。

ホンダは1994年に「CUV ES」、2010年に「EV-neo」、2017年に「PCX ELECTRIC」といった電動スクーターを展開してきたが、2020年4月から市場投入されたのが「ベンリィe:」。ただし、社会的責任の観点からバッテリー回収に協力できる法人のみへの販売で、既存のベンリィと同じく新聞やピザ、宅配寿司といった配達業務での利用を想定している。

画像: マフラーがないことと6角形デザインのLEDヘッドライト以外、外観はガソリン車のベンリィと同じ。ボディカラーはホワイト。リアの大きな荷台もガソリン車と同様。販売は法人向けのみで、基本セットにはバッテリーパックと充電器が2個ずつ含まれる。

マフラーがないことと6角形デザインのLEDヘッドライト以外、外観はガソリン車のベンリィと同じ。ボディカラーはホワイト。リアの大きな荷台もガソリン車と同様。販売は法人向けのみで、基本セットにはバッテリーパックと充電器が2個ずつ含まれる。

一見するとベンリィそのものだが、車体右側にマフラーがないのでEV車であることが判る。ベンリィe:には原付一種相当のⅠ(ワン)と、原付二種相当のⅡ(ツー)があり、車体は完全に共通で価格も同じ。違いはモーターの出力だけだ。

これまで多くのEVスクーターに試乗してきたが、ゼロ発進と加速の滑らかさは文句なしにナンバーワン。スロットルを開いてから動き出すまでの僅かなタイムラグ、動き始めのパワーが緻密に制御されていて、アクセルを開けた瞬間にビュン! と唐突に走り出すことはない。

画像: ホンダ「BENLY e:」(ベンリィ イー)シリーズ 解説&試乗インプレ(太田安治)

ベンリィとは違って極低速でもエンジンブレーキ効果が得られ、歩くような速度でもフラつきにくい。配達業務用に割り切っているとはいえ、実に見事な設定だ。

スロットルを全開にするとフラットに速度が上昇し、Ⅰで50㎞/h、Ⅱで60㎞/h程度まで伸びていく。ホンダのデータによると配達業務では30㎞/h以下が常用速度とのことだから、これで充分。全開加速や登り坂では明らかにⅡが力強いが、Iでもパワー不足による危うさは感じなかった。

画像: 原付一種相当の「I」、原付二種相当の「Ⅱ」ともラインアップはスタンダード/プロの2モデル。プロはハンドガード、フロントバスケット、大型リアキャリア、フット式リアブレーキを標準装備する。

原付一種相当の「I」、原付二種相当の「Ⅱ」ともラインアップはスタンダード/プロの2モデル。プロはハンドガード、フロントバスケット、大型リアキャリア、フット式リアブレーキを標準装備する。

EV化による重量増は約10㎏。さすがに押し歩きは重いが、走り出せば気にならず、安定感あるハンドリングが好ましい。今回の試乗会場は教習所だったが、S字部分を使って強引に切り返してみても、車体の剛性不足に起因する不安な挙動はない。これなら荷物を満載してもビクともしないだろう。

法人向けだが、通勤・通学、買い物にも向いている。ガソリン車よりメンテナンスの手間も大幅に減らせ、匂いも音もない。価格次第では個人向けとして普及する可能性もありそうだ。

文:太田安治/写真:南 孝幸

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