まだ日本に数十、数百のオートバイメーカーがあった頃、カワサキは、航空機技術をベースとした大排気量4ストロークモデルで生き残りをかけた。狙うビッグマーケットは、もちろんアメリカ。日本製オートバイが世界一と呼ばれ始めるきっかけに間違いなく、この鉄の塊の存在があった。

カワサキ「W1SA」主なスペックと発売当時の価格

画像: カワサキ「W1SA」主なスペックと発売当時の価格

SPECIFICATION
●エンジン形式:空冷4ストロークOHV2バルブ並列2気筒
●内径×行程(総排気量):74.0×72.60㎜(624cc)
●最高出力:53PS/7000rpm
●最大トルク:5.7kg-m/5500rpm 
●ミッション:4速リターン
●ブレーキ形式前・後:ドラム・ドラム
●全長×全幅×全高:2135×850×1100㎜
●タイヤ前・後:3.25-19・4.00-18
●燃料タンク容量:15ℓ
●ホイールベース:1420㎜
●乾燥重量:199kg
●発売当時価格:34万8000円

カワサキ「W1SA」各部装備・ディテール解説

リンケージによって右から左にシフトペダルを移すために、シフトロッドはスイングアームピボットをくぐり抜ける形になっている。これによって見事、左シフト仕様になったW1スペシャルは好評を博すことになる。

画像: 元は右チェンジのため、リンクを介して左チェンジとしたエンジン。外観にデザインを受け、カバー類やフロントチェーンケースが引き締まった印象となった。エンジンとミッションは別体で、ケースカバー後方にミッションが見える。

元は右チェンジのため、リンクを介して左チェンジとしたエンジン。外観にデザインを受け、カバー類やフロントチェーンケースが引き締まった印象となった。エンジンとミッションは別体で、ケースカバー後方にミッションが見える。

画像: 冷間始動時に役立つティクラー付きのミクニ製VM28キャブ。650RSでは汎用型となり、チョークを採用。

冷間始動時に役立つティクラー付きのミクニ製VM28キャブ。650RSでは汎用型となり、チョークを採用。

画像: エキゾーストノートは意図的につくり出された。SA後期型は騒音規制クリアのため左右エキパイをパイプで連結。

エキゾーストノートは意図的につくり出された。SA後期型は騒音規制クリアのため左右エキパイをパイプで連結。

ドラム径φ200㎜のツーリーディング式ドラムブレーキはSAから表面パネルが黒塗りになり、エアスクープが付く。これは初代マッハⅢと共通。

W1SAからヘッドランプはφ160mmから175mmに大径化。バルブに変更は無く12V35/25Wのままであった。

画像: 燃料タンクのデザインはモデルごとに変更されたが、容量はすべて15L。SAからペイントタイプとなった。

燃料タンクのデザインはモデルごとに変更されたが、容量はすべて15L。SAからペイントタイプとなった。

画像: タックロール式のブラックダブルシートはスプリングを内蔵した豪華仕様。W1スペシャル後期型から受け継いだ。

タックロール式のブラックダブルシートはスプリングを内蔵した豪華仕様。W1スペシャル後期型から受け継いだ。

画像: シート下はオイルタンクスペースで、サイドカバーにオイル注入口がある。エンジンはW3までドライサンプだ。

シート下はオイルタンクスペースで、サイドカバーにオイル注入口がある。エンジンはW3までドライサンプだ。

画像: ハンドル中央はステアリングフリクションダンパー調整ノブ。右へ締め込むと重くなり、左へ緩めると軽くなる。

ハンドル中央はステアリングフリクションダンパー調整ノブ。右へ締め込むと重くなり、左へ緩めると軽くなる。

画像: メーターはSAから樹脂素材となり大型化。タコメーター内にはニュートラルとターンシグナルランプを備えた。

メーターはSAから樹脂素材となり大型化。タコメーター内にはニュートラルとターンシグナルランプを備えた。

文:中村浩史/写真:長野浩之、島村栄二

※この記事は月刊オートバイ2011年8月号別冊付録を加筆、修正、写真変更などの再編集を施しており、一部に当時の記述をそのまま生かしてある部分があります。

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