原付一種・二種ユーザーの中には、バイク保険とファミリーバイク特約のどちらがいいのか迷っている方もいるのではないだろうか。
ファミリーバイク特約はバイク保険よりも掛け金が安く済む傾向にあり、おおむね補償内容も問題ない。さらに、掛け金に年齢の影響を受けないこと、保険を使っても等級に影響がないことなどがメリットとしてあげられる。
一方で車両保険のように自分のバイクに対する補償は受けられないこと、ロードサービスは利用不可であることはデメリットとなる。
今回はファミリーバイク特約のメリットや注意点を含め、どちらがいいのか使い分け方を紹介しよう。
文:伊藤フミヒト(自動車保険の窓口)/※写真は原付一種・二種のイメージ
125cc以下のバイク(原付一種・二種)に使える「ファミリーバイク特約」とは?
ファミリーバイク特約とは、自動車保険に付帯できる特約の一種であり、125cc以下のバイク、つまり原付の保険代わりとなる特約だ。他人をケガさせた場合、他人のモノを壊した場合、また自分がケガをした場合などに補償が受けられる。
ファミリーバイク特約には、「自損事故タイプ」と「人身事故タイプ」の2種類があり、人身事故タイプは自損事故以外で自分がケガをした場合も補償が受けられるようになる。
自損事故タイプ | 人身傷害タイプ | |
対人補償 | ◯ | ◯ |
対物補償 | ◯ | ◯ |
自損事故によるケガ | ◯ | ◯ |
相手のある事故によるケガ | × | ◯ |
人身傷害タイプの方が補償は手厚いが、その分費用も若干高い。しかしながら、後遺障害が発生するような事故を想定すると、やはりつけておいたほうが心強いだろう。
ファミリーバイク特約のメリット
バイク保険ではなくファミリーバイク特約を選ぶメリットは以下の通りだ。
・バイク保険よりも掛け金が安い傾向にある
・保険を使っても等級が下がらない
・年齢による影響を受けない
・ひとつの特約で家族全員分をカバーできる
バイク保険よりも掛け金が安い傾向にある
ファミリーバイク特約はバイク保険よりも若干安い傾向にある。
・自損事故タイプ・・・年間1万円程度
・人身傷害タイプ・・・2万円程度
ちなみにバイク保険の保険料は年齢や等級により変わるので一概には言えないが、ここでは1万円〜3万円程度と理解していただきたい。
保険を使っても等級が下がらない
ファミリーバイク特約を使っても、等級には一切影響がない。
そもそも、バイク保険は「等級」というもので保険料が上下する。保険を使わなければ等級は毎年上がっていき、逆に保険を使うと翌年の等級は下る仕組みだ。
つまり、事故でファミリーバイク特約の補償を受けたとしても、翌年以降の保険料に影響はない。ということは、軽い事故でも翌年の等級ダウンを気にせず使えるということだ。
年齢による影響を受けない
バイク保険の保険料には記名被保険者(=主な運転者)の年齢も影響する。特に若い世代は保険料が高く設定される傾向があるが、ファミリーバイク特約ならこうした心配はない。高校生や大学生が記名被保険者である場合も安定的な掛け金で利用できる。
ひとつの特約で家族全員分をカバーできる
ファミリーバイク特約はひとつの特約で家族全員分の原付をカバーできる。つまり、家族内で妻や子供が原付に乗るような場合も、父の自動車保険でファミリーバイク特約を付帯すればいいわけだ。
そして原付が複数台あっても保険料に影響はない。これもファミリーバイク特約のメリットとなるだろう。
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ファミリーバイク特約の注意点
ファミリーバイク特約の注意点は以下の通り。
・ロードサービスは受けられない
・車両保険のような補償はない
ロードサービスは受けられない
ファミリーバイク特約ではロードサービスが受けられない。ロードサービスの例をあげると、事故で車体が破損した場合のレッカーサービスや、走行不能になって帰宅困難になった場合の交通費補償などがあげられる。
こうしたサービスまで希望するならバイク保険を選ぶ必要があるだろう。
車両保険のような補償はない
ファミリーバイク特約の補償範囲は、あくまで他人のケガ、他人のモノ、そして自分のケガだ。自分のバイクに対する補償を希望する場合は、やはりバイク保険を選ぶ方がいい。
バイク保険とファミリーバイク特約、どっちがお得?
金額的なところで言えば、やはりファミリーバイク特約のほうがお得になる可能性が高い。
特に等級があまり進んでない方(6〜8等級など)や、高校生・大学生などの年齢が若い方はファミリーバイク特約のほうが安く使えるだろう。
ただし、いくら安いといってもファミリーバイク特約にはロードサービスや車両保険のような補償がない点には要注意だ。これらを希望する場合はバイク保険に加入することをおすすめする。
まとめ
原付ユーザーにとってファミリーバイク特約は有力な選択肢となることは間違いない。ただし、バイク保険とファミリーバイク特約では補償範囲が異なること、そしてロードサービスがないことは頭に入れておいてほしい。
もしファミリーバイク特約の内容で十分だということであれば、ファミリーバイク特約で済ませてもいいだろう。
文:伊藤フミヒト(自動車保険の窓口)/※写真は原付一種・二種のイメージ
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【profile】伊藤フミヒト
ウェブサイト『自動車保険の窓口』代表。交通事故専門の弁護士30人以上への取材経験を持ち、交通事故の賠償問題に精通。賠償金増額の仕組み、また後遺障害等級認定の裏事情を深く知る。