まとめ:西野鉄兵
知っているだけで失敗を防げるビギナーライダーさん向けの豆知識
バイクを手に入れたばかりの学生時代、僕はありとあらゆる失敗をしました。思い返せば、その多くは知識があれば、防げた失敗です。
自動車学校での教習と、実際のツーリングではずいぶんと勝手が異なりました。ライディングスキルうんぬんのもっともっと前段階。免許取得後、数年間の凡ミスは数えきれません。
僕と同じしょうもないミスはしてほしくありません! 流し読みでもけっこうです。ぜひご一読を!
① サイドスタンドを中途半端にかけがち
サイドスタンドの掛け方が甘くて、バイクがバタンと倒れてしまうのは定番中の定番だと思います。
僕も昔やりました。スタンドが中途半端にかかっていて、駐輪後ちょっと経ったらバタン。しかもシートの上に載せていたヘルメットがころころと崖を転がっていき……けっこうな惨事に。
サイドスタンドはとにかく最後までしっかり掛けることを肝に銘じましょう。
さらにスタンドを出した後、確認のため、軽くちょこんとキックするのがおすすめ。
また傾斜の付いた場所では、ミッション車ならギアを1速に入れて止めましょう。下っている方向にバイクを少し動かして、ギアが引っかかる状態(下り方向に動かない状態)にしておくと安心です。
あと、土や砂利の地面に止めるときもご注意を。
初心者の頃は、まさかスタンドが地面にどんどんめり込んでいくとは思いもしませんでした。平たい石をスタンドの下に敷くなどして、地面を貫かないようにしましょうね。
ちなみに北海道では、アスファルトにもめり込みます。北海道のアスファルトは、冬と夏の気温差に対応するため、柔らかく作られているんです。初めての北海道ツーリングでは注意してくださいね~。
② ハンドルロックでいろいろ失敗しがち
駐輪する際、ハンドルロックは常日頃いつでもかけることを習慣づけておくことを個人的におすすめしたいです。
第一の理由は当然、盗難やいたずらの防止のため。
僕が言いたいのは、第二の理由「かけたり、かけなかったりすることで不必要なトラブルが起きる」ということです。
駐輪時にいつもかけていれば習慣化され、再びバイクに乗るとき必ず最初にハンドルロックを解除しますよね。
ただ、普段あまり掛けていないけれど、ときどきかけるという人は、うっかりハンドルロックがかかったままの状態で、取り回しをしてしまう可能性も。
ハンドルを右に切ろうと思ったけど……動かない! 一瞬パニックとなり、ハンドルロック掛けたんだったと気づいた頃には、もうバイクは倒れているかもしれません(泣)。
とくにイグニッションキーとハンドルロックが別の鍵穴の機種は要注意です。
クルーザーモデルはよく別体になっていて、最近の人気車でいえば、ホンダ・レブル250/500もハンドルロックは専用の鍵穴となっています。
別口タイプの場合、最悪、エンジンをかけてもハンドルロックされていることに気づかない。ハンドルが動かない状態で発進したら大惨事です。
③ 発進時に滑りがち
初心者の頃は半クラッチも上手く使えず、スクーターでもアクセルの開閉がけっこう雑になりがち。なので、発進時に転倒することがよくあると思います。
取材でたびたび初心者やリターンライダーの方向けのライディングスクールへ伺います。ここでも、
転倒してしまう方は、発進するときか止まるときが多い印象です。
優しく丁寧に発進することを普段から心がけるのがおすすめ。エンストするとパニックになるので、回転数はある程度上げたうえで優しく発進できるといいかもしれませんね。
雨の日など、濡れた路面での発進は要注意。とくに道路標示の上、たとえば「止まれ」の白い文字の上などは非常に滑ります。
また、側溝のフタやマンホールの上も滑ります。なので、滑りそうな場所に停車しないのが一番いい。停車してしまった際は、バイクを押し引きして、発進前にずらすのもいいでしょう。
ツーリングでは、峠の路肩などに枯葉が落ちていることも。これがまたびっくりするくらい滑ります。
タイヤ(特に後輪)が接地している路面がどのような状況か把握したうえで発進しましょー!
④ ハイビームにしっぱなしがち
前にクルマがいない状況で、夜間やトンネルなどでハイビームにするのは、もちろんOK。
しかし、普段あまり行なわない操作をすると、戻すのを忘れがち。ハイビームは、前を走るクルマとのトラブルの原因になることがよくあります。
場合によっては、ロービームでも前方にいるクルマにとっては眩しいことも。
バイクのライトの位置、クルマとの距離、道の傾斜具合、これらがピタッと一致すると、ロービームでも前のクルマからはハイビームに見えることが多々あります。
僕も何度か前方を走っていたクルマのドライバーに怒鳴られました……ロービームなのに。怖かった(泣)
ただ、思い返すと、前を走るクルマと僕のバイクの距離が少し近かったのかもしれません。トンネルや夜間の走行では、いつも以上に車間距離を取るのが、あらゆる面で安全に貢献します。
こちらは煽っているつもりなどまったくなくても、クルマのバックミラーで見るとピタリと張り付かれているように感じることがありますからね。
⑤ ヘルメットを逆さまに置きがち
ヘルメットを逆さまにして地面に置くと、〈ヘルメットを逆さまに置くなおじさん〉に怒られます。
ヘルメットを逆さまに置くなおじさん「ヘルメットを逆さまに置くな!」
また、ヘルメットをミラーに引っかけると〈ヘルメットをミラーにかけるなおじさん〉に叱られます。
ヘルメットをミラーにかけるなおじさん「ヘルメットをミラーにかけるな!」
どちらも、ヘルメットの外装・内装を守るため。ひいては、あなたの頭を、命を守るために怒ってくれています。
僕も学生時代、えらくこっぴどく怒られました。ただ、その経験があったからこそ、すぐに正しくヘルメットを置けるようになったのでしょう。いまでは、僕が〈ヘルメットを逆さまに置くなおじさん〉です。どやしたりはしませんが(笑)
あと、初心者の頃は持ち歩くときにも落としがちだったり、ぶつけがち。
持ち歩くときは、面倒かもしれませんが、あご紐をしめた状態にしておくのがおすすめです。
もちろん、かぶるときは、あご紐をしめるのをお忘れなく!